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(153)港区役所は区民を蔑視か?

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「蔑視」とは相手を低く見てあなどることを言います。
そのような港区役所の対応が再開発担当部局で表面化しました。
現在、武井港区長に対し事実関係の調査を依頼中ですが、8月31日の期限までに回答がなかったため、事実を皆さまへ公表することとします。

いったい何が起きたのか?

発端となったのは、東京タワーから僅か1キロしか離れていない都心部で最近計画が始まったばかりの「芝三丁目西地区市街地再開発事業」。
準備組合の設立経緯に疑念を抱いた区域内の住民団体が、港区の担当部局を訪れ問題点の指摘を行うと共に解決に向けての相談を行っていたところ、区の担当係長が同団体代表に対し、
今後、区宛の書簡は事前に区の担当者へ内容を見せてほしい、
区への相談事項は、再開発業者から返答させる、
との指導を口頭で行ったとされるもの。
区が地権者に対して「検閲」まがいの行為(注1)を行い、且つ相談への回答を民間再開発業者へ「丸投げ」すると言った行政指導は明らかに常軌を逸していることから、住民団体側は発言を行った担当係長に対し、どのような理由でそのような指導を行ったのか「説明を求める書簡」を令和4年7月8日付で発送しました。(「添付②」をご参照下さい)
しかし、その書簡が役所内部で回示された形跡はなく、行方不明となっていることが判明したのです。

(注1)「検閲」とは、公の機関が個人の思想や表現をなかば強制的に取り調べ、改めることを言いますが、日本国憲法第21条2項は「検閲は、これをしてはならない」として「検閲」行為を禁じています。

なんとこの書簡は「不存在」とされた!

このような行政指導を知った区民が、自身で「説明を求める書簡」の中身を確認したいとして、区へ情報公開請求(注2)を行ないました。しかし、そのような書簡は「提出された経緯が無い」として武井区長名で「不存在通知」が届いたのです。(「添付①:不存在通知」をご参照下さい)

(注2) 港区には「情報公開制度」が存在しています。これは「港区情報公開条例」に基づき、区民等からの請求を受けた場合には、区が保有している情報について公開する義務を負う制度です。閲覧は無料のため、区民の貴重な情報源となっています。全国の自治体でも同様の制度が存在する筈ですのでご確認下さい。

港区へ提出した書簡が適切に処理されず、その結果、一般市民がその情報を知り得ることが出来なかったとしたら問題です。
当地には、区内各地の住民団体で構成される「港区へ公正で透明性ある再開発事業の審査・手続きを求める区民の会」(略称「区民の会」)なる監視団体が存在しています。事態を憂慮したこの団体がさっそく独自に調査を行った結果、同書簡は「配達証明付き郵便」で区へ発送されていた事実が判明。しかも当該係長が7月12日に受け取っていたことを証明する「郵便物等配達証明書」まで出て来たのです。
(「添付③:配達証明書」をご参照下さい)

なぜ武井区長はこの書簡を「不存在」としたのか?

確実に届けられた書簡がなぜ区役所内では「不存在」とされたのか?
残念ながら、その理由は不明です。
そこで「区民の会」では、2022年8月23日付で港区長に対し、真相究明を求める「質問状」を提出しました。(添付質問状をご参照下さい)
しかし、回答期限である8月31日までに、区からの回答はありませんでした。
通常、港区の再開発担当部局は地権者からの公開質問に対しては書面による回答をよこします。では、なぜ今回は回答をしないのか?
その理由も現段階では不明です。

なぜ港区は地権者蔑視の対応を行ったのか?

あくまでも推測に過ぎませんが、同地区では最近、住民団体代表が交代しており、そのことが、港区の「地権者対応が変化」したことの一因となったのではないかと考えています。私たちの見立ては次の通りです。

1. 舞台となった「芝三丁目西地区」では、最近、地元住民団体を長年牽引してきたA氏が地域から転出することになり、これに伴い、住民団体代表が交代している。
2. 当該地区では今から20年ほど前に大手デベロッパーが再開発計画を立ち上げたものの、辣腕A氏が地域をまとめ上げ、公平・公正な再開発事業を求めて強力な住民運動を展開したため、結局、地権者による「合意形成」には至らず、業者が再開発計画を断念した経緯があると伝え聞いている。(再開発業者を地域から撤退させたほどの人物であれば、A氏は港区も一目置くほどの存在であったと推測される)
3. その辣腕活動家のA氏が地域を去り、新たな代表者と交代した以上、港区役所としてはこれを「渡りに船」と考えた可能性は否定できず、これが「区の対応の変化」に結びついたのではと推測。

しかし、如何なる事情があろうとも、行政監督官庁として中立であるべき港区が、相談に来た地域住民(=区民)を蔑視したり差別したりするような行為は決して許されません。

まとめ

港区役所を含む地方自治体は、そこに属する住民に対して公正・公平、且つ透明性を持った形で再開発行政を行う義務があります。
またそこで働く職員も公務員として憲法第15条2項が定める規定、即ちすべて公務員は全体の奉仕者であり一部の奉仕者であってはならないと言う規定の遵守を求められています。地方自治体が市民の納める税金の一部で運用されていることも勘案すれば、役所が市民を軽視し、再開発事業者寄りの行政を行うなどあってはならないことです。
ましてや、役所が「市民を蔑む行為」に及ぶなど言語道断です。

私たちの地域を管轄する港区役所は、日頃から私たちの生活全般にわたり各種サービスを提供してくれる大切な存在であり、感謝の念に堪えません。それだけに今回の再開発担当部局の対応は、もし事実であれば残念でなりません。
今回の事案に関しては、まだ区から書面による回答が得られていないこともあり、区への具体的なコメントは差し控えることとします。

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