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(274)三菱地所社員が地権者を「恫喝」か?

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恫喝(どうかつ)とは人を脅して恐れさせることを言います。
なんと三菱地所(注1)が地権者を恫喝した疑惑が持ち上がりました。
事実なら極めて憂慮すべき問題につき、記事として取上げます。

「芝三丁目西地区」では、三菱地所の強引で執拗な勧誘に反発した20数名もの地権者たちが一斉に三菱地所へ「勧誘(接触)不要通知書」を送付したことは前トピックス(273)でも報じた通り。
今後、三菱地所による住宅訪問はもとより、電話、メール、ファクスなど、郵便以外の手段による連絡や勧誘行為は一切お断りと言う厳しい内容です。
本来、三菱地所は接触不要通知を受け取った時点で、なぜ離反者が出たのかを深く考えて反省すべきでした。しかし、あろうことか三菱地所はこれとは真逆の対応をとりました。

接触が無くなれば
地権者様に不利益が生じるおそれがあります

と明記した書簡を地権者団体代表宅へ送りつけたのです!(書簡には丁寧に「問い合わせ先」として三菱レジデンスの担当者名や電話番号まで記載されていました)
三菱地所が行ったこの行為を見過ごす訳にはいきません。なぜなら「接触に応じないと不利益が生じるおそれがある」なる記載は

受け手によっては「恫喝」ともとれる文言

だからです。三菱地所の今後の対応次第では

人権問題へと発展する可能性

もあり得ます。本トピックスではその理由を以下で詳しく説明します。

(注1) この地区のデベロッパーは三菱地所三菱地所レジデンス丸の内よろずの三菱系3社ですが、本トピックスでは便宜上、これら3社を合わせて「三菱地所」又は「三菱」と呼ぶことにします。

 

Contents
1. 再開発業者による恫喝行為は社会的にも許されない!
2. 民法上の「不法行為」に該当の可能性
3. 刑法上の「脅迫罪」や「強要罪」にも該当の可能性
4. 宅建業法違反の可能性も!
5. まとめ

再開発業者による恫喝行為は社会的にも許されない!

「恫喝」とは「人の弱みに付け込み、脅して恐れさせること」を言います。例えば、再開発業者が知識に疎い地権者側へ恫喝を行うことで恐怖心を与え、地権者を再開発同意へ誘導しようとするケースなどがこれに該当します。
「このままでは済まないぞ」や「お前は必ず後悔するぞ」と言った威圧的な発言は恫喝の典型例ですが、この観点から言っても、今般、三菱地所が書簡に記した

接触しなければ不利益が生じるおそれがある

なる文言は恫喝に該当すると考えられます。特に今回、三菱地所はこれを口頭ではなく書面で地権者へ提示していることから、もはや「言ってない」、「記憶にない」などと言った弁解は通用しません。
恫喝それ自体に法律上の定義はありませんが、恫喝を受けた側がそれをどのように受け取るかによっては「不法行為」(民法709条)をはじめ「脅迫罪」(刑法222条)、「強要罪」(刑法223条)、「恐喝罪」(249条)等、様々な法令に該当する可能性が出て来ます。
更に、三菱地所と言う大企業が「地権者」と言う弱い立場の個人に対して恫喝を行うことが社会的に許されるのかと言う議論もなされるべきです。もしこの行為が正当化されるとなれば、他地区の地権者たちも三菱地所の対応に背を向け、集団で再開発からの離反者が出ることが考えられます。またこの問題が表面化すれば一般社会やメディアはこれを「判官びいき」(=大企業による弱い者いじめ)として捉える傾向があるため、決して三菱地所の得にはならない筈です。
三菱地所は社内の危機管理体制も整った優良会社ですから、そんなことは良くわかっている筈。それなのになぜ彼らが接触しなければ不利益が生じるおそれがあるなどと書簡へ書き込み、委縮する地権者たちを更に委縮させてしまったのか?当サイトでもその真意を知りたいところです。

民法上の「不法行為」に該当の可能性

そもそも三菱地所が実質主導する「準備組合」は法人格のない単なる任意団体にすぎず、「事業協力者」を名乗る三菱地所も含め、地権者側にはその様な先と対話する義務も無ければ指示に従う義務もありません。
その様な相手先に対し、三菱地所が「対話しないと不利益になる」などと主張するのは法的根拠のない恫喝的言動にあたります。

「不法行為」の可能性

「連絡不要通知」を提出した地権者に対して、「連絡を拒否すると不利益を被る」と通告する行為は、文脈によっては民法709条の規定する「不法行為」に該当する可能性が出てきます。なぜなら「不利益を被る」と言う表現が、地権者の意思決定(例えば再開発には同意しないと言う決断)を委縮させるような心理的圧力として機能するからです。
また相手が三菱地所と言う圧倒的な社会的地位を有する大手企業となれば、「連絡を拒否すると不利益を被る」なる発言が独占禁止法の禁ずる「優越的地位の乱用」に該当する可能性も出てきます。

刑法上の「脅迫罪」や「強要罪」にも該当の可能性

「対話しないと不利益を被る」なる発言が、例えば、「権利変換時に不当な扱いを受ける」、「補償額が減らされる」と言った具体的不利益へ直結したり、或いは地権者の自由意思が明確に抑圧されたりする場合には、刑法の脅迫罪(222条)や強要罪(223条)の該当要件に近づく可能性もあることも地権者は予備知識として持っておいた方が良いかも知れません。

宅建業法違反の可能性も!

「対話しないと不利益を被る」なる発言がなされた後、三菱地所の社員が何ごともなかったかのように執拗な電話連絡や住宅訪問等を繰り返す場合には、宅地建物取引業法(=宅建業法)違反となる可能性があります。
そもそも三菱地所には宅地建物取引業者として宅建業法を順守する義務があります。また勧誘にやって来る三菱の社員たちの多くも宅建業法に基づく「宅地建物取引士」としての資格を有している筈です。
宅建業法は業者側が取引の相手方に対して「迷惑を及ぼすような勧誘」や「再三にわたる勧誘」を行うことを禁じています。(第47条)
三菱地所側による執拗な訪問や電話はまさにこれに該当すると考えられますので、「もう来ないで」と意思表示した後も迷惑行為や勧誘行為が続く場合には詳細を記録した上で行政監督官庁(国土交通省及び都道府県知事)へ違反通告や苦情申し立てを行うことをお勧めします。
尚、三菱地所は宅建業法違反を回避する目的で、敢えて単なる任意団体に過ぎない準備組合の名を前面に出して勧誘行為を行う可能性が考えられます。これを防ぐため、対話の際には必ず三菱地所の名刺を受け取り、相手が三菱地所の社員であることを確認しておくこと、そして全ての準備組合文書には三菱地所の社名も連記させる等、三菱地所が直接的に関与する取引である証拠を残しておくことを推奨します。(詳しくは弁護士等の専門家へお問合せください。)

まとめ

本来、三菱地所は「勧誘(接触)不要通知」を受け取った時点で、なぜ多くの離反者が出たのかを深く検証し、必要に応じ地権者側へ謝罪すると共に地権者側が納得できる改善策を文書でコミットすべきでした。しかし、三菱地所の現場社員は逆に地権者感情を逆なでする対応をとりました!

接触しなければ不利益が生じるおそれがある

と明記した文書を地権者団体代表宅へ送り付けたのです。
なぜ三菱地所のような、コンプライアンス社員教育が徹底し、且つ本社内に法務部広報部、更には危機管理担当まで配備されている大企業が

接触しなければ不利益が生じるおそれがある

などと言う、受け手によっては恫喝ともとれる内容の文書を地権者へ送り付けたのか? 業界大手企業が行う行為とは到底思えません。

三菱地所のブランドスローガンを見ると

「人を、想う力。街を、想う力。」

と書いてあります。

この内「人を、想う力」について三菱地所のホームページは、次のように説明しています。

街に住む人、街で働く人、街に訪れる人。
どうすればそのお一人お一人に喜んで頂くことができるか。
幸せになっていただけるか。夢や感動を感じていただけるか。
絶えずその答えを追い求めて日々の仕事に向き合って行く。

本当に三菱地所の現場社員たちはそのような決意のもとで再開発を進めようとしているのでしょうか?
是非、三菱地所の社員たちと公開の場で討論をしてみたいものです。

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