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(198)住友再開発、終わってみれば…

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今回取り上げる再開発事業は、東京都港区内「JR田町駅」から徒歩5分と言う、国道沿いの都心一等地で住友不動産が行う

三田三・四丁目地区第一種市街地再開発事業

厳密に言うとまだ工事は継続中で完了は2025年の予定です。
しかし、目玉の42階建て「住友再開発ビル」は既に竣工しテナントも入居済であり、また「地権者棟」も完成し地権者が既に居住していることから、再開発の中枢が出来上がった現時点で、地元住民の評価も取り入れながらこの事業で明らかになった住友再開発の実態のいくつかを地権者目線で報じて参ります。
まだ工事が継続中であることから本格検証はこれからですが、各地で住友再開発の是非を検討中の地権者の皆さまにとり、少しでも参考となれば幸いです。

本事業の概要については、下記港区ホームページをご参照ください。
https://www.city.minato.tokyo.jp/saikaihatsu/kankyo-machi/toshikekaku/shigaichi/saikaihatsu/saikaihatsumitasanyon.html

1.「住友再開発ビル」は空室だらけ!

いまだ半分にも満たない入居率!

本年3月に竣工した地上42階、地下4階の「住友再開発ビル」(正式名:住友不動産東京三田ガーデンタワー)ですが、なんと竣工から7か月が経過した今も「床の6割が空室のまま」と言う実態が上記画像の通り国道沿いからも確認できます。(注1)
よほどテナントがいなかったのか、隣接する住友三田ツインビルから一部テナントを移転させているとの話も聞こえ、そのせいか隣りの住友ビルでも空室が発生している点にもご注目下さい!
賃貸オフィス情報を見ると、この「住友再開発ビル」は今も26の床が空室となっていることから、このままの状況が続くとすれば、オフィス賃料の年間逸失額は推定で約70億円に達するのではと危惧されます。これは総事業費1,600億円の4.3%に相当する極めて高い数字であり、また本事業には100億円近い補助金(=市民の税金)まで投入されている現実も勘案すれば、まさに

住友不動産の事業投資計画の甘さが露呈

したと言わざるを得ません。

(注1) 一方、地下に目を向けるとB1/B2はレストラン街として5区画ほど店舗スペースが用意されているようですが、現時点での出店は1店舗のみ。地下も計算上は空室率80%となります。ビル全体が空室だらけで人が集まらないのですから飲食業が出店したがらないのも納得できます。

2.「歩行者デッキ設置」のカラクリが見えてきた!

「歩行者デッキ」は、住友再開発ビルからJR田町駅に向け国道をまたぐ形で近々設置される予定ですが、この「歩行者デッキ」は再開発区域内ではなく、明らかに区域外に設置される設備です。この辺の事情を港区役所へ問い合わせたところ、費用は再開発組合(=地権者)が負担し、しかもそれは港区への「寄付」として処理されることが判明しました。それだけではありません。港区との寄付契約によれば、再開発終了後も組合が「維持管理費」を負担し続けると言う驚きの内容です。(添付契約書ご参照)
しかし再開発が終われば組合は解散します。解散後はいったい誰が費用負担を引き継ぐのか?まさか地権者棟の管理費に上乗せして住民に負担させると言う目論見なのでしょうか?
組合(=住友不動産)側は今もこの点を地権者棟の住民に対して書面で明らかにしてはいないようですので実態は不明です。
私たちは、この心配が杞憂に終わることを望むばかりです。

なぜ組合は区域外の「歩行者デッキ」を寄付したのか?

それは「寄付」の見返りに「容積率の緩和」を受けるためです。
容積率緩和で潤うのは住友不動産です!緩和措置は「保留床の増加」に寄与し、その分住友は収益を増やせるからです。
一方、地権者側に住友のような恩恵はないようです。地権者が「歩行者デッキ」から得るのは「生活上の利便性向上」だけだとしたら、あまりにも不平等な処遇だと言わざるを得ません。
費用負担を地権者に強いる一方で、収益は住友不動産が独占。これに加えて「地権者は等価交換して終わり」だとしたら住友再開発は地権者にとり耐え難い事業だと言うことになります。
他地区の地権者の皆さまは、この「三田三・四丁目再開発」での事例を是非とも参考として頂きたいと思います。

3.住友は再開発後の「地権者棟」まで管理!


再開発が終われば地権者棟も「一般のマンション」です。しかし再開発組合は住民による自治方式(=理事会方式)を認めず、第三者(住友系列会社)に管理を行わせると言い出したのです。
しかも今年になってからこれを言い出した点に住友側の狡さがあります。この第三者管理方式は「住民の決定権が奪われる」、「管理会社が自ら工事を受注し、金額まで決定してしまう」と言った住民への弊害が多く、国土交通省もこれを問題視し、現在「指針」作りを急いでいる状況です。(7/25付日本経済新聞)
このため、地権者棟内では「まるで住友による植民地支配だ!」と嘆く住民までいますが、今ごろ悔やんでも「あとの祭り」です。

まとめ

本トピックスでは、「三田三・四丁目再開発」の完成が近づくにつれ明らかとなってきた住友再開発の実態の内、

空室だらけの再開発ビル、
区域外の設備への「寄付」行為、
再開発後も住友に管理され続ける地権者棟住民、

の3点を取り上げました。
何れも地権者にとっては耐え難いものばかりですので、他地区の地権者の皆さまは、是非とも三田で住友不動産が推進する再開発事業の実態を「他山の石」として頂きたいと思います。

再開発は地権者が「主体」となり、「事業リスク」を自ら背負いながら進める事業です。それだけに、コロナ禍以降、再開発を取り巻く経済環境が変化した現実(=オフィス需要が減少する一方で、資材高騰や職人不足で事業費が高騰している現実)を地権者はしっかりと見極めた上で、いま再開発を進めるべきか否かを冷静に判断する必要があります。
地権者とは利害が異なる再開発業者の説明を決して鵜呑みにすべきではありませんし、こう言う時期だからこそ信頼できる再開発事業者を選び直すことも場合によっては必要なのではないでしょうか?

 

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