TOP_Topics 再開発、ここに注意

(9)高齢者はつらいよ

投稿日:

再開発のしわ寄せを一番受けるのはご高齢の地権者です。

ご高齢と申し上げましたが、再開発が20年前後かかるのが一般的な状況下では、20年後に年金生活に入る可能性のある世代(すなわち現在40歳代以上の皆さま)も注意が必要です。

以下は再開発で起きうるシナリオです。(高齢、且つ年金生活者の場合)

  1. 再開発計画が立ち上がると、先ずは同意を求めてプロ集団が自宅へやってきます。現役を離れた世代がプロ集団相手に対等に交渉することは困難です。「持ち出しなしで新築マンションに入居できる」などとうまい話ばかり聞かされ、結局、よく理解しないままハンコを押す結果となりかねません。
  2. 再開発が決まりいよいよ工事が始まる段階になると、地権者は補償金を貰って何年間か仮住まいをすることになります。
    ここでも様々な問題に直面します。

    1. 地域社会がなくなります。親しいご近所の人たちともお別れです。
    2. 引っ越しで介護支援体制も変わります。 他の区や市へ移ると制度や条件も変わります。
    3. ③ 医療支援体制も変わります。引っ越し先によっては病院も変わります。
    4. ④ 仮住まい先がなかなか見つかりません。 高齢者は家主に敬遠されがちです。これが今の日本社会の現実なのです。

  3. いよいよ工事が竣工し、新築マンションに入居したとしても更なる問題が待ち構えています。
    1. 生活再建ができなくなる。
      新築マンションであるがゆえに高騰する「管理費」や「修繕積立金」等をどう支払って行くかの問題に直面します。年金生活者の場合は僅かの増額でも致命的となりかねません。事業者はこの辺の具体的数字を出したがりません。高すぎて出せないのかも知れません。
      生活再建が出来なければ、住宅を売却し、より安い物件へと引っ越さざるを得なくなります。再開発に賛同はしたが、結局は地域から出て行かざるを得ない結末となりかねません。
    2. 昔のコミュニティは戻ってこない。
      数年間も地域から遠ざかれば戻って来ない(来れない)仲間も多くいる筈です。以前の街並みも消滅しています。

  4. そしてなにより、竣工まで元気でいられるかもわからない。たとえ存命中でも、地権者棟には入居できず、介護施設等での生活を余儀なくされるといった懸念もあります。
    以上のように、再開発は高齢者には不安材料だらけなのです。
    再開発が実際には竣工まで20年前後かかる可能性のある息の長い事業であることを考慮すれば、現在40歳代以上の方々も今からしっかりした人生設計を立てた上で再開発に賛成するか否かを判断する必要があります。

-TOP_Topics, 再開発、ここに注意

関連記事

(166)「石の上にも5年?」 地権者に見えてきた真実!

「石の上にも3年」と言う言葉がありますが、3年どころか5年近くも住友不動産から再開発への勧誘を受け続けていれば、さすがに地権者たちの目にも住友再開発の背後にある様々な仕掛けが見えてきます。 地元「地権 …

(32) 弱点を覆す策略?

トピックス(31)では住友不動産は有名企業グループの一員であることもあり、負のマスコミ報道に対しては脆弱性があることを述べました。 弱点を有するからこそ日頃の「社会との良好な関係構築」と共に「健全なる …

(123)同意率かさ上げ疑惑に港区も加担か?(1)

例え「手続き上は合法」だったとしても、 事業者が再開発を進めるために 同意者数の水増しを行うなど 決してあってはならないことです。 ましてや、その疑惑が生じたにも関わらず 行政が事業者の行為を疑問視せ …

(195)住友不動産が「地域防災」の妨げに?

住友不動産こそが 地域防災対策の阻害要因だ! そのように考える地権者が最近、当地区で増えて来ました! 今年は関東大震災の発生からちょうど100年の節目にあたり、メディア各社も将来の首都直下地震への注意 …

(145)「不安商法」は断じて許さない! 

不安商法とは、その名の通り住民へ過度に不安を煽ることで契約を獲得しようとする不当な商いのやり方を言います。 不動産分野で「不安商法」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、悪徳な「シロアリ駆除業者」や「リフォ …