TOP_Topics 再開発、ここに注意

(11)再開発に同意するとは(戸建て地権者編)

投稿日:

戸建住宅にお住まいの地権者の皆さん!

再開発に同意することで、自分の資産がどうなるのかについてご説明します。

一言で言えば、再開発により大切な土地が床に化けることになります。

つまり「不動産から減価償却資産へと財産形態が変換される」のです。

土地は所有していれば30年後も50年後も土地としての価値は残ります。

しかし、一旦再開発で土地を手放し、権利変換で区分所有の地権者棟へ入居すれば、例え入居当時は「等価交換」であったとしても、以後の資産価値は償却により年々減って行きます。
その結果、担保価値も減ってしまいます。

例えば、老後の生活費確保のため、持ち家を担保に融資を受けるリバースモゲージという制度があります。自宅を売却せず亡くなるまで住むことができるため人気を集めています。しかし、取り扱う金融機関のなかには、戸建住宅に限定しマンションは対象外としているところが多くあります。それは担保としてまさに不動産の「土地」が評価されるからです。土地と比べて建物は年月と共に資産価値が減少することから担保価値が低くなります。もちろん交通至便、人気エリア等であればマンションも対象とはなり得ます。しかし、その場合でもマンションの査定額は戸建より低く抑えられるのが一般的なのです。土地が床に化けることのデメリットはこのような部分にも顕著に現れて来ます。

再開発への同意に先立ち、事業者から資産に対する保証を取り付けておかぬ限り結局は損をすると言うのが一般的な見方です。

ではどうすればよいのか?

再開発への同意を行う前に、「土地を含む地権者の資産価値」が将来にわたり担保されることを事業者から書面で取り付けておくことが肝要です。

土地を差し出す以上、それなりの保証または優遇を得るべきだと言うことです。

これを怠ると、将来「こんな筈ではなかった」と後悔することになりかねません。

事業者が言う「取り敢えず同意を、詳細は後日に」などあり得ないのです。

同意書は「土地を含む大切な資産を手放す契約書」だと思って下さい!

「再開発に同意する」とはそういうことなのです。

-TOP_Topics, 再開発、ここに注意

関連記事

(23)準備組合に不穏な動きが…(その2)

地権者の合意形成なき再開発? *事業者のやり方は地権者にとり著しく不公正・不公平だとして多くの地権者が「同意」に難色を示しており、このままでは合意形成は成り立ちません。 *そこで事業者が考えたのが、近 …

(125)高齢者、遂に立ち上がる!

再開発で一番影響を受けるのは高齢シニア層です。 その高齢シニア層が もうこれ以上我慢出来ない! として 「再開発には同意しない」ことを宣言 すると共に 「再開発の中断」を求める要望書を区長へ提出しまし …

(183)「再開発」に依存し続けることのリスク

今回は各地の「マンション区分所有者」の皆さまへのメッセージです。 当地区で現実に起きている問題を参考に、是非とも「マンションの災害リスク」について今一度お考え頂ければと思います。 当地で住友不動産が進 …

(252)三菱地所に見る「地権者攻略」の手口

本トピックスは(251)三菱地所に見る「激安保留床で大儲け」の仕掛けからの続編です。引き続き「芝三丁目西地区再開発」で三菱地所が実際に地権者へ配布した資料を使い、今回は地権者攻略の手口について解説して …

(102)マンション住民を再開発へ引きずり込む法

本トピックスは(100)マンション区分所有者は「使い捨て」?及び(101)マンション区分所有者は「使い捨て」?(その2)から続く「総集編」です。 各地の住民団体、専門家、NPO等を交えて地権者目線でマ …