行政等の動向

(行-1)都が再開発事業を凍結!

投稿日:2020年5月22日

東京都が再開発事業の休止を決定!

都内の地権者の皆さま!
東京都による再開発事業の休止が決まりました!

都はコロナ対策に人的資源や財源を集中的に投入するため、不要不急の事業を当面休止することを命じた2020年5月5日付「依命通達」を4名の副知事の連名にて都職員及び関係先に対し発布しました。
同通達では「速やかに休止する事業」として「再開発」が含まれています。
具体的な記載は以下の通り。

【速やかに休止する事業<具体的な事業の例>】
・築地市場跡地の再開発手続き、区画整理、市街地再開発など、都市開発の推進に関する事業

*通達の全文に関しては以下URL内のPDFファイルをご覧下さい
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/05/05/03.html
*また抜粋については本トピックスの最後に添付してあります。
*「依命通達」=上級行政機関が下級機関及びその職員に対して発する通達。

この通達により、都が行う再開発関連業務は原則休止となりました。
都内では4月以降、行政協議自体が自粛モードにありますが、再開発事業者は更に、「組合設立」、「権利変換」、「施工」等の許認可を都から取得することが難しくなり、事業計画に影響が及びます。

尚、この通達は都の職員等を対象に発布されたものであり、傘下の区市町村や民間事業者の活動にまで強制力が及ぶものではありません。
泉岳寺では事業者の不公正・不平等な進め方に対する不信感から多くの地権者が今も都市計画決定への同意に難色を示しており、再開発はまだ何も正式には決まっていない状況にあります。
従い、泉岳寺に於いては、今回の都の決定の直接的な影響はないものと思われます。

然し乍ら、再開発事業の許認可権限を有する東京都が、再開発を不要不急の事業だとして休止を決定したことには大変な重みがあります。
もし、傘下の区市町村も今後この動きに追随することとなれば、泉岳寺のような計画段階の事業へも何らかの影響を与えることが考えられます。

一方、東京都内では既に「都市計画決定」が実行され、正式に進行中の再開発事業が多数存在しますが、これらの事業は、今回の通達により事業休止の影響を受けることになります。

また今回、都が「優先度の低い事業」に「再開発」を含めたことから、都の財政事情の悪化とも相まって、今後「再開発事業の見直し」が行われる可能性も出て来ました。
引続き動向には注視してまいります。

再開発事業 – 休止の理由と今後について

●休止の理由は、都がコロナ対策で人的資源や財源を集中的に投入する必要性が生じたため、全庁的に既存事業や業務の執行体制を縮小・凍結させることとなり、その中で再開発事業が不要不急の事業であるとして休止の対象に指定されたからです。

東京都はコロナ対策費として既に1兆円を予算に計上していますが、これで都の貯金と言われる「財政調整基金」を全て使い切る計算となるため、今後更に支出が増えるとなれば都が財政悪化に陥る懸念も出て来ます。
(2020/5/19付時事通信社・電子版より)
仮に都が財政難に転じれば、将来、再開発事業への補助金交付の見直しも行われる可能性が高まります。

●また、今回の通達で私たちが注目したのは、通達の記述の中で「…優先度が低いと考えられる事業のうち、未着手、未発注、一時停止が可能な事業は、原則延期または中止することとし…」なる記載があり、「中止」の文言が挿入されたことです。
「延期」するか「中止」するかは、個別に判断すべきとされたものの、行政の通達で「中止」の文言が明記されたことは注目に値します。
都が将来財政難に陥る可能性も想定し、早くも不要不急と見做された事業の見直しにおいて、「中止」も視野に入れた検討を始めた可能性があります。

●特に再開発に至っては事業を取り巻く環境が以前とは様変わりしています。
テレワークの普及やソーシャル・ディスタンスに代表されるように、私たちの新しい働き方や生活様式は、都心部のオフィス、タワーマンション、ホテル、商業施設、イベントスペースと行った再開発事業を構成する施設すべてにわたり、需要の縮小をもたらす可能性が出て来ました。
今後、再開発事業のあり方が議論され、見直されることはほぼ間違いないのではないでしょうか?

泉岳寺への影響

前述の通り、今回の事業休止決定は民間事業者の活動までをも拘束するものではありません。
このため住友不動産は今後も引続き同意を求めて活動を継続するものと思われます。
しかし例え再開発に総論で賛成であっても、地権者は自己の資産や将来の生活再建に対する保証が住友不動産から書面で得られぬ限り「同意書」は決して提出すべきではありません。
コロナ禍で東京都の再開発事業に対する対応が変化し、ますます将来が見通せなくなってきた今、事業者が用意した白紙委任状の性格を有する「同意書」をそのまま無条件で差し出すことが、地権者にとりどのような結果をもたらすのかをよく考えてみるべき時です。 
将来「こんな筈ではなかった」と決して後悔しないためにも…

-行政等の動向

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