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(14)遂に離脱者が!

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他のトピックス欄でも数多くの例を挙げていますが、事業者が進めようとする再開発の手法の多くは地元地権者にとり不平等、且つ不公正なものであると多くの地権者が感じています。残念ながら、事業者側の状況に改善はみられません。

それどころか彼らは地権者が同意するまで長期戦で臨む姿勢も見せ始めており、この結果、最近では再開発への賛否をめぐり地域社会(=ご近所)の人間関係に軋轢も生じつつあります。

このような現状を危惧した地権者が遂に再開発から離脱する動きを始めました。2019年6月には全地権者の15%にあたる方々が正式に再開発計画には参加しないことを宣言し、事業者並びに港区長へ書簡にて通告を行いました。

これらの方々は決して再開発に反対したわけではありません。ただ
1年以上に亘り再開発が議論されてきたにも係らず、結局、地権者同意(=合意形成)は得られなかったこと、
②そのような結果にも係らず、地権者が「同意」するまで半ば永遠に勧誘を続けようとする事業者側の姿勢に疑問を抱いたこと、
③昨今、再開発をめぐり計画区域内での人間関係(=ご近所付き合い)に軋轢が生じはじめてきたこと。
これらを総合的に勘案し、「再開発に関与しないことが最善の選択肢である」との結論に至ったようです。「もうこれ以上再開発の議論に巻き込まれたくない」と言うのが本音なのでしょう。地域の人間関係にも軋みが見え始めてきた今、苦渋の選択ながら、再開発からの「離脱」は極めて良識ある決断であったと言えます。

再開発には関与しないことを決断したため、離脱書簡では事業者側に対し、
今後すべての連絡(書類発送や電話連絡を含む)をして来ないこと、
計画区域内へ彼等の住宅を含めようとする一切の行為を止めること、
もしこれらの要請を無視して行為が行われた場合には、後日裁判の証拠として保全されること、
等が明記されました。

一見すると強い口調のように感じますが、彼等は決して再開発に反対したわけではありません。諸事情を総合的に勘案した結果、「再開発に関与しないことが最善の選択肢である」との結論に至り、再開発からの離脱を決断しただけなのです。

【離脱を決意するに至った主な理由】
具体的には、事業者側による以下のような対応や地域社会の変化が背景にあったようです。
地権者の了解を一度も得ることなく、一方的に地権者宅を再開発区域に含めてしまったこと、
あたかも再開発が既定路線であるかのように振る舞い、地権者の意見を尊重しなかったこと、
形ばかりの説明会を何度も開催することで一方的な既成事実の積み上げを謀ろうとする意図が見えたこと、
「日付」を空欄のままにした「同意書」を地権者から取り付けようとしていた行為が発覚し、このままでは同意書が改ざんされかねないとの懸念が生じてきたこと、
⑤1年以上議論をしたが結局、再開発への合意形成はなされなかった。それにも関らず、事業者は合意が得られるまで今後も長期にわたり活動を続けようとする姿勢に転じたこと、
⑥再開発の賛否をめぐり、昨今では域内の人間関係にも軋轢が生じてきたこと、等々。

とりわけ域内の人間関係(=ご近所付き合い)に亀裂が生じ始めたことは深刻な問題です。再開発への勧誘が今後も続けば地域社会が崩壊する懸念すらあり、これは港区が目指す「区民が快適で安心できる生活環境の実現」とは完全に逆行する形となります。区も決して賛同はしないでしょう。

人間関係までが軋みはじめたことを目の当たりにし、もう一度再開発計画が持ち上がる以前の平穏な生活に戻りたいと考えるのも当然です。そのような願いもあり再開発には「賛成」でも「反対」でもなく、「離脱」と言う選択をした

その意味で離脱をされた方々は極めて良識ある判断を行ったと言えます。

このままでは泉岳寺で更に離脱者が増えるかも知れません。

 

注)当ホームページで使用する「事業者」又は「開発事業者」の用語は、住友不動産の他、再開発推進に携わるコンサル、設計事務所、その他関係企業や個人を包括するものとします。

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