再開発計画の現状
「泉岳寺周辺地域市街地再開発」計画は”第1種再開発”に該当するため、地権者による合意形成が再開発の大前提となります。
(法令では地権者の2/3の同意取得が基本的な要件とされ、また港区では「都市計画決定」の実行に際しては「概ね80%の地権者同意を取得すること」を区内各所の再開発事業者に対し行政指導しています)
しかし泉岳寺では、再開発計画が一方的で不公正・不公平であるとして多くの地権者が「同意」に難色を示しており、事業者はもはや正攻法で再開発(都市計画決定)の手続きを進めることが難しくなっています。
このような状況下、「準備組合」が不穏な動きを!
近隣地域では2020年3月にJR「高輪ゲートウェイ駅」が新規開業しますが、なんと「準備組合」はJR新駅から国道をまたいで再開発区域までを繋ぐ「歩行者デッキ」を自らが設置することを大義名分に、行政に再開発を認めさせようとする動きを見せ始めたのです。
このため再開発区域とは関係のない周辺地区の町会長が7名も連名で港区長や準備組合宛に「再開発の一環として歩行者デッキを設置してほしい」などと記した要望書を提出したのです!(もちろん再開発区域内の町会はその様な要望書は提出していません)
外部の複数もの町会長が自発的にこのような要望書を提出するとは考え難く(案の定、実際に某町会長は「ある人物から頼まれた」と証言しています)、準備組合の裏工作が疑われますが、もし事実とすれば彼らが標榜する「地権者主導の準備組合」、「皆さまの準備組合」と言った発言は虚構であったことになります。
何が問題なのか?
歩行者デッキはJR新駅の利用者の利便性を高めるための公共設備です。
それを、地権者でもない区域外の人たちが、なぜ道路管理者である国土交通省やその他の関係省庁に対してではなく、わざわざ法人格さえ有しない民間の「準備組合」宛に要望書を出したのか? 明らかにこれは不自然です!
また民間再開発の一環としてこれを行えば、一部は補助金が出るとしても結局は再開発組合(=地権者)が建設費や維持費を負担することになりかねません。その結果、地権者が権利変換で貰える床面積が減る懸念も出てきます。公共設備を一部地域の地権者の負担で設置するなどおかしな話なのです。
目的は何か?
何としてでも都市計画決定へ駒を進めたい準備組合側の焦りの表れでしょう。
現状では再開発計画は一方的で不公正・不公平であるとして多くの地権者が「同意」に難色を示しており、事業者はもはや正攻法で再開発(都市計画決定)の手続きを進めることが難しくなっています。
このため、準備組合は自ら(或いは有力者などを使い)町会などに働きかけ周辺住民をも巻き込むことで「歩行者デッキの設置」を大義名分に行政を動かし都市計画決定へと駒を進めようとしているのではと懸念しています。
もしこれが現実となれば、それは「区域内の地権者を軽視した再開発」ということになり、今の準備組合は「皆さまの準備組合」を標榜しながらも、実際にやっていることはこれとは逆だったと言うことになります。
港区は今後どう対処するつもりなのか?
事態を憂慮した地権者代表が港区の担当責任者と面談を行いました。
地権者の合意形成なしでも都市計画決定を実行するのか質問をしたところ、泉岳寺は「第一種市街地再開発」(権利変換方式)に該当するため、あくまでも地権者の合意形成が再開発推進の前提となる。従い、この点を無視して都市計画決定を実施することはない、との回答が区からありました。
然し一方で、区は都市計画決定の実施に際し、「概ね8割の地権者同意を取得するよう事業者を行政指導」しているが、これは必ずしも法的要件ではないため、地域全体の諸事情を総合的に判断し、8割に満たずとも都市計画決定を実行することはあり得るとも回答。
後者は極論すれば、「例え同意者が少数でも都市計画決定の実行はあり得る」と解釈できないこともありません。しかしそうなれば地権者の猛反発は必至です。住民運動も起きかねず、続く「組合の設立」にも大きく影響を与えることとなります。
「組合設立」段階では厳密に「地権者の2/3の同意」が法的要件とされています。それだけに、ここで多数の地権者が反発して「2/3の同意」が達成されなかったとなれば行政にも責任と混乱が生じます。従い、区としてもあえてリスクの高い判断はしないのではと考えています。