再開発で一番影響を受けるのは高齢シニア層です!
それはなぜか?
高齢者にとり再開発は障害だらけだからです。
その根本原因は…
再開発が実は長期間を要する事業だと言う点にあります。
再開発は実際には竣工まで20年前後を要する息の長い事業なのですが、事業者はこのことをあまり地権者へは語りたがらないようです。
正直に語れば高齢者層の多くが「再開発に対して消極姿勢」となるからだと考えられます。
過去のトピックスでも何度かこの問題を取り上げて来ましたが、今回は「再開発がまだ良く理解できない」と言う皆さま向けに、「会話方式」で高齢シニア世代の地権者が抱える諸問題をもう一度わかりやすくまとめてみました。
そう言えばたしか以前、事業者側は再開発は6~7年で終わるような話をしていたな。2018年に手渡された「事業スケジュール表」でも「2020年度に解体着工・明渡し」などとはっきり記されている。しかし今はもう2022年だ。
多少の計画遅れは仕方ないとしても、町の様子は今も昔も全く変わっていない。
こんな調子では、再開発は6~7年どころか15~20年はかかるのではないかな?
6~7年なんてとんでもない!再開発は実はとても長い年月を要する事業らしいですよ。しかし業者は私たちにはそんな話はしないのよ。
そこで調べてみたら、あの有名な「六本木ヒルズ」の再開発は竣工まで17年かかったそうよ。更に、その近所で進行中の「三田小山町西地区」の再開発に至っては、26年が経過した今もまだ工事は始まっていない。結局、竣工まで30年以上かかることが決定的となったみたいですよ。
そうなのか!再開発が20年前後もかかるとすれば高齢者にとっては致命的だな!私はもう70歳を過ぎている。今から再開発だと言われても、年齢的に再開発を見届けることが出来るか不安になってきた。
それに再開発が決まると、私たちにとり何よりも辛いのは2度の引っ越しね。
高齢で身体が不自由になってから「仮住まい」で引っ越しを繰り返したりしたくはないわ。場合によっては途中で「介護施設へ入居」することになるかも知れないし、最悪の場合は寿命により永遠に戻って来ることが出来ないかも知れない。
そう考えるとなんだか「自分が健康なうちに戻るぞ!」と言った気力も失せて行く。
再開発の話が持ち上がってから5年が経過したが、結局、何も決まらなかった。一方、この間に私たち地権者は全員が確実に5歳も年齢を重ねている。
残りの人生もそう長くはない。もうこれ以上再開発話に翻弄されたくはないな。
仰る通りです。実は高齢シニア世代の地権者にとり、再開発は障害だらけなのです。辛いのはなにも「2度の引っ越し」だけに限りません。一旦「仮住まい」生活が始まれば、長年のご近所付き合いも無くなります。
また単身者の場合、「仮住まい先」を見つけるのも一苦労です。今も「高齢者には部屋を貸したがらない」家主が多いからです。更に「仮住まい」で港区以外の区市町村へ移るとなれば介護支援体制も変わります。同時に医療支援体制も変わるかも知れません。引っ越し先によっては病院やクリニック、そして担当医の変更も余儀なくされるからです。まさに高齢者にとっては「命を削られる話」だと言っても過言ではありません。これだけの不便さを覚悟しても再開発に応じる価値が果たしてあるのか?地権者はこの点を慎重に見極める必要があります。
たしかに再開発も決して悪い考えではないのだが、5年待ったにも係わらず再開発が一向に進まないと言う現実は高齢者層にとっては致命的だな。
私はもはや年齢的に持ちこたえることはできそうにない。
今後は再開発には依存せず、今のままの生活で人生を全うする道を選択したい。
これは何も高齢シニア世代に限った問題ではありません。再開発が20年前後かかる前提に立てば、現在40歳代の現役世代の地権者層も注意が必要です。今は現役として安定収入が期待できていても、20年後には自身が「年金生活」に入る可能性があるからです。
それって、つまり年金生活者の身分では再開後の新居には住めないと言うこと?
現状ではその可能性は高いです。新築の再開発マンションへ入居するとなれば、管理費や修繕積立金、それに固定資産税もそれなりの額の支払いが必要となります。再開発が終わり新居へ入居できても、今度は再開発後に果たして「生活再建ができるのか」と言う新たな問題が発生します。
それは困ったわ。事業者側へ質問しても「維持管理費等の詳細は再開発の進行と共に決まって行くので今は言えない」の一点張り。具体的には何も答えてくれない。やっとのことで新築マンションへ入居出来たとしても、そこで生活再建ができなければ何のために再開発に同意したのかわからなくなってしまうわ。
仰る通り、この問題はとても重要です。
新居で貰える「床の面積」や「維持管理費」などの基本事項がまだ何も決まっていないのに、事業者は地権者に対し「先ずは同意書がほしい」などと平気で言って来ます。なんだか不自然な不動産取引だと思いませんか?
一度冷静になってよく考えて見て下さい...「話の順番が逆」なのです。
確かに言われてみれば「順番が逆」だな。条件も確定しないのに「同意書」を提出するのはおかしい。ではどうしたら良いのか?
地権者にとり、再開発後も新居で「生活再建」が出来ることは絶対条件だと言っても過言ではありません。この点についての保証を得られぬまま安易に再開発に同意すれば、将来どのような結末となり得るかは「推して知るべし」です。従い、再開発事業者から再開発後の「生活再建」に対する具体的保証を書面にて取付けることが何よりも肝要です。
繰り返し言いますが、自己の「資産」と再開発後の「生活再建」への保証が得られてから再開発への「同意」を行なうべきです。この順序を間違えないで下さい。再開発事業者が言うように、「先ずは再開発への同意を!詳しい条件は後日」などあり得ないと心得て下さい。
まとめ
再開発が長い年月を要する事業である以上、その影響を最も受けるのは高齢シニア世代です。
いつ実現するかわからない再開発事業にこれ以上夢を託すよりは、現実を直視し「再開発には依存せず、今のままの生活で人生を終えたい」と考える高齢シニア世代の地権者が増えて当然です。このことは何も泉岳寺に限ったことではなく、どの再開発現場でも似たような状況ではないでしょうか?
残り少ない人生の有効な過ごし方を真剣に考えれば、
「再開発には応じない」と言う決断も
一つの立派な選択肢ではないでしょうか?
YouTube動画を作成しましたのでご視聴下さい。(以下のサムネイルをクリックすることでご覧頂けます)