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(122)こんなにある!地権者に不利な仕組み

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住友再開発はここまで不平等!


「石の上にも3年」と言う言葉があります。
泉岳寺に住友不動産が入り込んで以来5年が経過しました。
この5年間、業者側は良い話ばかりを発信続けていますが、さすがにこれだけ長期に亘り地元地権者が「再開発」と向き合っていれば、住友再開発の実態が自然とわかるようになって来ます。見えて来たのは、再開発は「地権者の供出する土地」と、「地権者が負担する事業リスク」を踏み台に、住友不動産が高い収益を得ようとする事業ではないかと言う点です。
少なくとも地権者目線でそのように考える住民が増えて来ました。 その詳細については今回も「会話形式」でお届けします。

Aさん
Aさん
港区は再開発(第一種市街地再開発事業)を「地権者が自らの発意と合意で進める事業」だとはっきり言っている。しかし、わしらの面前に現れるのは住友不動産の関係者ばかりだ。しかも彼らは最初から「再開発ありき」の姿勢で執拗に同意を迫ってくる。違和感を覚える。いったいどうしてなのか?
C氏
C氏
それは再開発が彼らにとり極めてうま味のある事業だからです。だから何としても再開発に持ち込みたい。しかし、そのためにはどうしても
地権者を説得して同意を取付ける必要がある。そのような構図です。
Bさん
Bさん
なるほどね!でも再開発ってそんなに業者が儲かる事業なの?
C氏
C氏
儲かるからこそ自社の社員を現場へ常駐させることまでして、執拗に地権者のもとへ「同意」を求めてやって来るのです。
再開発へ持ち込むことが出来れば、行政から大幅な容積率の緩和が受けられます。それを利用して都心の一等地に高層の再開発ビルを建てれば、今まで空間だった場所に多くの「床」ができる。その多くを再開発業者が独り占めして高収益を上げようと言う構図です。更に、再開発となれば行政から多額の補助金まで貰えます。その一方で事業損失が出ても地権者が負担する仕組みです。再開発業者にとりこれほど「うま味」のある商売はありません。それが再開発なのです。
Bさん
Bさん
えっ?私たち地権者が「再開発の主体」なのに、恩恵はないの?
C氏
C氏
もちろん資産に応じた「床」は貰えます。但し、等価交換が原則です。容積率の緩和で多くの床が創造されるのに、その恩恵はありません。
Bさん
Bさん
でも「等価交換」であれば、少なくとも「損はしない」と言うことね?
C氏
C氏
その考えは誤りです。「等価交換」の裏に実は多くの「落とし穴」が潜んでいます。事業者はそれらを地権者へ言いたがらないだけです。
Bさん
Bさん
「落とし穴」って、いったいどう言うことなの?
C氏
C氏
先ず、土地所有者は再開発で「土地」が「床」に変換されることで確実に損をします。「土地」は所有していれば30年後も50年後も「土地」としての資産価値は保たれます。一方、「床」は減価償却資産ですから、その価値は年々減少し、最後は二束三文となります。
事業者が言う「等価交換」は、権利変換のその瞬間だけが等価だと言うだけの話です。これほど重要な話を再開発事業者は地権者の皆さんへしっかり説明してきたのでしょうか?
Aさん
Aさん
それは大変だ!わしは土地所有者だ。そこで事業も営んでいる。
C氏
C氏
経営者なら更に大変です!再開発で「土地」が「床」へ変換となれば、土地の担保価値は消滅しますので銀行融資枠も減る筈です。
Bさん
Bさん
良かったわ!私はマンション住まいだから「土地」の心配はないわね。
C氏
C氏
別の心配が出て来ます!せっかく新居へ入居しても、高額の維持管理費を払うことが出来なければ生活再建が出来なくなります。
ご自身が得る「床」の面積や仕様、入居後の「維持管理費」などの基本条件はちゃんと書面で再開発業者から確約を取っていますか?
Bさん
Bさん
いいえ、取ってないわ。事業者へ要求しても「詳細条件は再開発の進行と共に決まって行くものだ」とか言われ、確約をして貰えない。
C氏
C氏
業者の説明を信じると後日トラブルの原因となりますよ!再開発も立派な不動産取引です。不動産取引では対価を含む詳細条件が決まらぬまま契約書へ捺印する当事者はいません。再開発も同様です。
基本的な条件をすべて曖昧にしたまま、とにかく地権者から同意書を取り付け、手っ取り早く「都市計画決定」へと駒を進めてしまう。そのような住友不動産の手法に地権者は注意すべきです。
Bさん
Bさん
う~ん、なんだか難し過ぎて頭が混乱してしまうわ!
もう少しわかりやすく説明してくれないかしら?
C氏
C氏
それでは、再開発は「業者におまかせで土地を供出し、おまかせで広さも仕様もわからない床を貰う取引」だと言ったらわかりますか?
寿司屋へ行き「おまかせで寿司を握って貰う」のとはわけが違うのです。
寿司屋なら一回食べて高くてマズければ二度とそこへ行かないだけですが、不動産はそうは行きません。大切な資産の処分を信用もない相手先へ「おまかせ」すればどうなるかは「推して知るべし」です。

Aさん
Aさん
そうだったのか!ならば供出する「土地」や「生活再建」に係わる保証を事前に書面で貰うことが、「同意」に際しての大前提と言うことか?
C氏
C氏
基本的にはそうです。但し確約(=保証)を貰うのは住友不動産からです。「信用」も「実績」も「賠償責任能力」も有さぬ任意団体からいくら確約を貰っても、それは「絵に描いた餅」だと心得て下さい。
C氏
C氏
更にもう一つリスクがあります。事業で損失が生じた場合、それを負担するのは地権者です。再開発事業者ではないのです。
この点も再開発事業者はきちんと地権者側へ説明していますか?
これを軽く見てリスク回避策を怠ると、将来地獄を見ることになるかも知れません。まさかそんなことは起きないとお思いでしょうが、岡山県津山市の再開発事業では、事業者に言われるまま再開発に応じた地権者全員が資産を失い、自己破産者まで出ています。

まとめ

「石の上にも3年」と言います。住友再開発に潜む多くの問題点が見えて来ました。住友不動産の手法は、全国どの再開発現場でもほぼ同じであることも地権者間の情報共有を通じてわかって来ました。
従い、泉岳寺で判明したことは、住友再開発でお悩みの全国各地の地権者の皆さまにも是非参考にして頂きたいと思います。
住友再開発には、事業者側が伝えようとしない「落とし穴」も多いので「石橋を叩いても渡らない」くらいの細心の注意が不可欠です。
再開発に同意するか否かはあくまでも地権者個々人の裁量です。
しかし、如何なる決断を下そうと、後日「こんな筈ではなかった」と後悔することだけは避けたいものです。

編集局メモ

因みに、地元地権者団体は過去から住友不動産に対し、再開発における各種基本問題についての公開質問を行なっていますが、住友不動産は自分たちが「事業協力者」に過ぎないことを理由に一切の書面による回答を拒絶しています。詳しくは、(97)住友不動産が回答を全面拒否!をご参照下さい。

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