本トピックスは(137)「準備組合離れ」はじまる?からの続きです。
「準備組合離れ」の背景には「皆さまの準備組合」とは名ばかりで、その実態は「住友不動産が牛耳る組織」であることが地権者の間で知れ渡ってしまったことがあります。
住友不動産は「準備組合」と言う組織を利用して、地権者に対して巧みに不平等な施策を実行しようとします。しかし、この不平等な仕組みに気付いた地権者側がいくらそれらの問題の是正を要求しても、住友不動産は「準備組合」の陰に隠れ、問題に正面から向き合おうとしません。(不平等な施策であるがゆえに、知名度の高い住友不動産としては自社名が公表され、世間から批判を受けることの無いよう、敢えて「準備組合」をリスク回避の為の防波堤として利用しているのだと推測されます。)
このため、泉岳寺では多くの地権者が「もうこれ以上、再開発話には翻弄されたくない!」として、再開発話に背を向けるようになってきたと言うのが大きな流れです。
「住友不動産が牛耳る準備組合」の問題は、実は泉岳寺だけでなく、住友不動産が各地で展開する多くの再開発現場でも存在することが、各地の地権者団体との情報共有を通じてわかってきています。
では「住友不動産が主導する準備組合」のどこが問題なのか?
主な理由を地権者目線でわかりやすく解説して参ります。
【準備組合はここが問題 #1】
準備組合は「自分たちが再開発の事業主体である」と宣伝します。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
準備組合の実態は「信用」も「実績」も「資金力」も、更には「賠償責任能力」もない単なる任意団体です。
任意団体ですから、金融機関から融資を受けることも出来ません。
港区も「地権者側に準備組合との対話義務はない」ことを確認しています。そのような先からたとえ書面で「確約」や「補償」を取り付けたとしても、最終的には「絵にかいた餅」となりかねません。
「話が違う」と訴えても、準備組合が相手では泣き寝入りです。
準備組合はそのような団体なのです!
【準備組合はここが問題 #2】
その様な団体にも関わらず、準備組合は地権者に対し再開発への「同意書」を自分たちへ提出するよう求めてきます。
(注:区市町村によっては「同意書」を必ずしも要件としない自治体があります。そのような地域では「同意書」集めが行われないケースもあるようです)
しかし、住友再開発において準備組合が配布する「同意書」の書式をよく見ると、多くの場合、「再開発の手続きを進めることに同意する」と言う趣旨のたった3行の文章しか書いてありません。
(詳しくは(42)これが同意書の正体だ!(その1)をご覧ください)
これではまるで準備組合へ全てを任せる「白紙委任状」です!
大切な土地資産を差し出すことになるにも関わらず、地権者が対価として何を得るのかも未定のまま、「同意」だけはさせられるのです。
まさに不平等な内容の「同意書」なのです!
【準備組合はここが問題 #3】
準備組合は「皆さまで構成される組合」だと言いながら、いつも地権者のもとへ勧誘にやって来るのは住友不動産の社員です。
準備組合の集会でも、司会進行から質疑応答まで一切を取り仕切るのは住友不動産の社員です。とても違和感があります。
表向きは「地権者が主体」だと言いながら、準備組合の実体は営利目的の住友不動産が牛耳る組織であることは明らかです。
住友不動産が実質支配する準備組合。
それが「準備組合」の実態です!
【準備組合はここが問題 #4】
そもそも準備組合は地権者が真に知りたい事柄や解決を求める問題等に正面から向き合おうとしません。
例えば、泉岳寺では…
・ 「土地から床への変換」に伴う地権者への補償問題
・ 権利変換後の地権者の「生活再建」の問題
・ 陽の当たらない地権者住居棟の問題
・ 保留床の買い取り保証の問題
・ 区域外の費用まで地権者が負担する「歩行者ブリッジ」問題
・ 安全面での問題が指摘される、公園の移設問題
・ マンション区分所有者の「1票の格差」問題
・ 再開発に於ける「高齢者」問題
・ 仲見世住民専用住宅疑惑
等々、数えればキリがないほど問題は山積しています。
地権者の組織が地権者からの問題提起に答えようとしない!
もはやこれは準備組合のあるべき姿ではありません。
【準備組合はここが問題 #5】
問題に向き合わないばかりか、「問題そのものに背を向ける」姿勢にも批判の目が向けられています。
都合の悪い問題を指摘されると、準備組合は説明責任を果たすどころか「正確でない情報が取り沙汰されている」などとして論点をそらそうとさえします。
「保留床の買い取り問題」では、準備組合は「住友不動産が引き受ける」と公言しながら、その証拠書類を求めると、「準備組合事務所へ来れば契約書を見せる」などと信じがたい回答を平気でしてきます。契約の専門家でもない一般の地権者が契約を「見せられる」だけで一体何がわかると言うのでしょうか?地権者を見下したやり方です!
また「陽の当たらぬ地権者棟の設計案」では、問題が指摘されながらも、準備組合が地権者へ配布した膨大な資料の片隅に「同案が採用された」なる主旨の記載がなされていました。地権者に気づかれぬよう「既成事実化」を謀ろうとする住友再開発の手法には要注意です。
「誤った考えがある」、「既成事実化」、「事務所に来れば見せる」と言った主張や行為は、大型事業投資に携わる組織としては考えられぬ「幼稚な対応」であり、残念ながら、地権者の無知や無関心に付け込む手荒な手法だと言わざるを得ません。
これらは泉岳寺だけでなく、各地の住友再開発の現場でも確認されていますので、各地域の皆さまもご注意ください。まさに
「住友不動産の企業姿勢」にこそ問題があると言えます!
【準備組合はここが問題 #6】
そもそも地権者が自己の資産のリスク管理を考えた場合、交渉相手は信用も実績もない「準備組合」ではなく「住友不動産」となるのが社会一般の通念です。これはまさに取引の基本だとも言えます。
しかし「住友不動産」と協議しようとしても、彼らは準備組合の陰に隠れてしまいます。日々地権者の元へ勧誘にやって来るのは住友不動産の社員であるにも関わらず、質問となると「準備組合へ聞いてくれ!」と言うのですから地権者はたまったものではありません。
これほど不透明な不動産話はありません!
「当社は事業協力者にすぎない」は住友不動産が好んで使う「回答拒否」の常套句です。しかし「事業協力者」は法律や条令に基づく制度ではないため、準備組合に加入していない地権者には、その実体が何であるかは知る由もありません。単なる彼らの一方的な論理だと言わざるを言えません。
むしろ地権者目線からすれば、住友不動産が「事業者」であり、地権者こそが住友不動産の利益最大化に貢献させられる「事業協力者」であると言えないでしょうか?
そのような再開発事業は地権者にとり「百害あって一利なし」です。
これでは「準備組合離れ」が起きるのも当然です!