本トピックスでは、再開発の主導者が好んで使う
準備組合が「事業者」で、住友不動産は「事業協力者」
と言う「決まり文句」について検証して行きます。
もっともらしく聞こえるフレーズですが、良く考えればそれぞれに「法律上の定義」などはなく、実に曖昧な用語であることがわかります。
問題は、泉岳寺周辺地区の準備組合が、両者それぞれの具体的役割と権利義務関係について、4年が経過した今も地元地権者に対して、何も詳細を知らせない点にあります。
知りたくても当地の準備組合は詳しく説明しようとしないのです。彼らは住友不動産との間で締結した「事業協力に関する覚書」の存在を盾に曖昧な説明を繰り返すばかりで、肝心の覚書の詳細を公開しようとはしません。
「地権者の皆さまのため」の準備組合が、対象地域の地権者に覚書を開示しないのは極めて不誠実です。その一方で準備組合は地権者からの「再開発への同意書集め」に奔走しているのですから、まさに不透明な不動産取引そのものだと言っても過言ではありません。
「準備組合ニュース」も不正確な説明ばかり!
準備組合は曖昧な説明しかしないことを自ら暴露してしまいました!
準備組合が地元地権者に対し定期的に発行する「準備組合ニュース」。
その「準備組合ニュース第38号(7月発行)」に掲載された、組合員との質疑応答における準備組合の回答には驚くばかりです。
開発事業の事業主体(施工者)は誰なのか?
この質問に対し、準備組合は再開発事業の主体は「再開発組合」であり、準備組合は「その前身」として再開発の検討を行っていると答えました。
回答のどこが問題なのか?
事業主体が「準備組合」ではなく「再開発組合」であるならば、事業主体ではないことを自ら認めた「準備組合」が自らを「事業者」と称するのは詐称ではないでしょうか?
準備組合はこの点の説明を避けています。
その「事業主体ではない準備組合」が地権者から「同意書」まで集めているのですから、なおさら彼らには自らについての説明責任があります。
単に「その前身です」で済まされる問題ではありません。
この問題は「経歴詐称」の事例と対比することが出来ます。
例えて言うならば、医学部の学生が自らを「医者の前身」であるとして、早々と「医師」を名乗り世間から信頼を得ようとする行為と似ています。
相手が医師だと錯覚すれば、いとも簡単に人々は「医学生」のアドバイスに応じてしまいかねません。
準備組合も、その実態は「社会的信用」も「実績」も、そして「資金力」もない単なる任意団体にすぎません。その準備組合が実際には「事業主体ではない」にも関わらず、自らを「事業者」だと名乗れば、無知な地権者は準備組合を信じて「再開発に同意」しかねません。もしこのような行為が各地の住友再開発の現場で横行しているとすれば大問題です。
社会も決してこれを許さないことでしょう。
事業協力者である住友不動産の立場は?
この質問に対し準備組合は、「住友不動産は事業協力者として選ばれ、同社とは『事業協力に関する覚書』を締結している。住友は貸付金、人員派遣、ノウハウの提供を行い、再開発組合設立後は保留床の買取など事業性の担保を担う役割を果たす」と答えています。
回答のどこが問題なのか?
だれがいつの間に住友不動産を選んだのでしょうか?しかもその住友の役割は大まかにしか述べられていません。
スペースの関係上致し方ないことかもしれませんが、問題は準備組合が「事業協力に関する覚書」を対象地域の地権者に公開しない点です。
このため何が書かれているのか今も厚いベールに覆われたままです。
覚書を見ない限り、住友不動産の具体的役割を知ることは出来ません。
例えば、準備組合は「住友は保留床の買取を行う」と回答していますが、重要なのは住友が「いくらで買取るか?」です。
例え金額の明示はなくても、住友不動産が「市場の適正価格で買取る」ことが覚書に明記されている必要があります。価格以外の取引条件も確認する必要があります。条文によっては専門家の意見を仰ぐ必要も出て来ます。
しかし準備組合はこれらの点を一切曖昧にしたまま詳細を語ろうとはしません。もし住友に「二束三文」で買われるようなことがあれば、地権者は損失を被ることになります。
「事業協力者」に法的定義が無い以上、その役割と権利義務関係を知るには「覚書」の公開が必要不可欠です。
しかし準備組合はその公開を行おうとはしません!
なぜ公開しないのか?
その理由は、覚書が「一部の再開発を望む住民」で組織されたとみられる準備組合により締結された点にあるからだと考えられます。
そもそも都市再開発法に「事業協力者」と言う言葉はありませんので、住友の具体的役割を知るには「覚書」の公開が必須です。しかし準備組合は「覚書」を公開しようとはしません。何故なのでしょうか?
やはりそこには公開できぬ何らかの事情があると考えるのが自然です。地権者にとり不平等な内容が明記されている可能性があります。
まとめ
再開発の事業主体は「本組合」であり、「準備組合」ではないことを、準備組合自らが「準備組合ニュース」において明らかにしました!
その準備組合が自らを「事業者」と称するのは詐称ではないでしょうか?
また準備組合が数億円規模の融資を住友不動産から受けている以上、住友の圧力に屈し「地権者の皆さまの準備組合」が形骸化していると多くの地権者が考えても当然です。
両当事者間の力関係により、覚書の中身も地権者にとり不平等なものである可能性があります。
覚書が公開されない以上、「事業協力者」とされる住友不動産の実態も、「一部の再開発派住民が結成した準備組合なる組織のアドバイザー」に過ぎないと考えるのが妥当ではないでしょうか?
これを知ってか港区も「準備組合問題」に深く関与しようとはしません。
区は地権者に対しても「準備組合との対話は義務ではない」と公言しています。港区も準備組合は正式な事業者ではないとの認識であることが容易に推測されます。
これが、実際には事業主体ではないにも関わらず、自らを「事業者」と名乗る準備組合の実態なのです。
準備組合は「事業者」であり、
住友不動産は「事業協力者」である!
地元の地権者たちが長年聞かされ続けてきたこの決まり文句も、よく考えてみれば、4年が経過した現在も、地権者にはその詳細が知らされぬままです!
地権者がこの点を追求しても、準備組合は住友不動産との「事業協力に関する覚書」が存在することを盾に、曖昧な説明しかしません。
住友と交わした「覚書」を、あたかも水戸黄門の印籠のように扱おうとする準備組合は地権者に対してあまりにも横柄であり、そしてなにより不誠実です。
この「覚書」が目に入らぬか!
中身は見せられないが私たちを信じなさい!
そのような態度をとる準備組合を信じることなど到底出来ません。
「地権者の皆さまのため」の準備組合が、対象地域の地権者に対して
住友不動産と交わした「覚書」を今も公開しようとしない一方、準備組合は地権者から自らを「事業者」と称して「同意書」集めに奔走しているのですから、まさにこれは、不透明な不動産話であると言わざるを得ません。
不動産取引には「落とし穴」があるので注意が必要だと言われます。
曖昧な説明ばかりを繰り返し、
詳細情報を公開しようとしない準備組合
そのような準備組合に地権者の「大切な土地資産」を託す価値はあるのでしょうか? 地権者はこの点を良く考えて見るべきです。
さて、皆さまの地区の準備組合は大丈夫でしょうか?