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(183)「再開発」に依存し続けることのリスク

投稿日:2023年5月22日


今回は各地の「マンション区分所有者」の皆さまへのメッセージです。
当地区で現実に起きている問題を参考に、是非とも「マンションの災害リスク」について今一度お考え頂ければと思います。

当地で住友不動産が進めようとしている「再開発計画」は、勧誘開始から5年が経過した今も、地権者による合意形成が難しい状況にあります。
それもその筈、この間に地権者側に不利となる施策や手法が次々と発覚
問題を解決しようにも、手の内を読まれた(?)住友不動産が地権者の公開質問への書面回答を今も拒み続けていることから、合意形成どころか、果たして再開発が実現するかも不透明な状況にあります。
一方で、

地震を含む自然災害はいつも突然やって来ます!

このような状況下、いつまでも「再開発計画」に依存し続けることの防災面でのリスクが、マンション住民を中心に叫ばれるようになってきました。その実態を皆さまへお知らせします。

泉岳寺地区は「老朽マンション」だらけ!

当地区では地権者総数約260名の内、なんと230名が僅か4棟の「老朽マンション」の区分所有者で占められています。地権者数で見る限り、当地区は「典型的なマンション街」だと言っても過言ではありません。
これら4棟のマンションは何れも築50年前後が経過しており、「建替え」、「改築」、「耐震補強」、等の防災対策が以前から急務となっています。
然しながら、「再開発こそが唯一の選択肢」であるかの如く執拗に勧誘活動を続ける住友不動産の企業姿勢が、ある意味で阻害要因となり、可及的速やかな対策実施が出来ない状況が生じています。(注1)

(注1):当地区には「建替え推進決議」を行ったマンションまでありますが、再開発区域の中心部に位置する同マンションが単独で高層マンションに建て替われば、再開発計画自体が頓挫しかねず、このため住友不動産側の有形無形の働きかけにより、5年以上経過した今も、建替えに向けた諸手続きができない状況にあります。

当地区での問題はこのような状況が5年も続いている点にあります。
この5年間でマンションの老朽化は更に進行してしまいました。
繰り返しになりますが、

地震を含め、災害はいつも突然やって来ます!

突然の災害により建物が倒壊し、人命に関わる被害まで生じたとなれば、管理組合の責任が問われることにもなりかねません。
当地区のマンション区分所有者たちは、そもそも実現するかも不透明な再開発話にいつまでも依存し続け、マンションの災害対策を怠ることの危険性を、今一度「自身と家族の安全の問題」として、冷静になって考える時期に来ています。

「再開発」と「建替え・改築」、どちらが得か?

長い間議論され続けて来たテーマですが、災害対策を喫緊の課題として捉えた場合、もはや結論は明らかです。

「再開発」の場合、
たとえマンション区分所有者全員が賛成しても再開発は進みません!

再開発は区域全体の問題であるため、マンション単独では進められず、区域全体の合意形成が必要だからです。今も区域内に不同意者が多数存在する状況下では再開発は当面進む見込みはありません。

「建替え」、「改築」、「耐震補強」、等の場合、
マンション単独での決議を以てこれを実行に移すことができます!

再開発以外の選択肢であれば「区分所有法」や「マンション管理規約」が定める一定数の賛成によりこれを実行することが可能となります。

「再開発」は区分所有者が全員賛成したとしても実行できないのに対し、「建替え」や「改築」等であれば、過半数~4/5の賛成票で実行できる。
この点が両者の大きな違いです。

なぜ「再開発」以外の選択肢が進まないのか?

「建替え」、「改築」、「耐震補強」、等が一向に進まない理由の一つとして、区分所有者に「再開発」しか選択肢を与えようとしない再開発業者側の「巧妙な手口」と「強行姿勢」の存在が指摘されています。

都内各地の再開発現場では、再開発準備組合が、マンションの「管理組合役員」を「準備組合理事」として迎え入れる行為が横行しています。
業者側の目的は、管理組合役員をマインドコントロールすることで、管理組合理事会を再開発賛成へと仕向け、最終的にはマンション内の区分所有者全員を再開発賛成へと誘導することにあると考えられています。
また、業者がマンション内の物件を地上げすることで、業者自らが区分所有者となり、管理組合の理事会内部へ入り込むケースも散見されます。
地上げ自体は合法的な経済行為ではありますが、もし「建物の除却」を目的とする再開発事業者が「建物の維持管理」を目的とする管理組合内部に入り込み、館内で堂々と建物の除却を前提とする「再開発」への勧誘活動を始めたならば、どのような結末となるかは言わずもがなです。
本来、「再開発事業者」と「マンション管理組合」とは利益相反関係にあることを、この機会に皆さま是非ともご認識下さい。

住民の「無知」、「無関心」、「他人任せ」は致命的!

マンション管理組合は「住民自治」が原則ですから、いまこそ組合員一人一人がマンションの維持管理に積極的に参画することが強く望まれます。
決して「無知」、「無関心」、「他人任せ」であってはなりません。
知らぬうちに「管理組合が再開発事業者に乗っ取られていた」と言う事態もあり得ます。また「委任状」だらけの総会のもとでは、住民の真意とは異なる決議が粛々と実行されてしまう懸念があることもお含み置き下さい。

災害はいつも突然やって来る!

当地区では5年が経過した今も、再開発への「合意形成」が成立する気配はありません。
掛け声ばかりで5年の歳月が流れてしまった今こそ、当地区の区分所有者たちは「老朽化マンション対策」を急ぐ必要があります。

災害はいつも突然やって来ます!

「無知」、「無関心」、「他人任せ」はもはや許されません。
ましてや実現するかも不明な再開発に依存するなどもってのほかです。
再開発は業者にとっては極めて利幅の大きいビジネスなだけに、彼らは諦めずに今後も5年、10年、15年と勧誘を続ける可能性があります。
因みに、当地区と同じ港区内にある「三田小山町西地区再開発」では、準備組合設立から都市計画決定まで実に22年を要し、29年目となった現在も工事は未着工です。
当地区では老朽マンションの区分所有者が突出して多いだけに、三田小山町のようになることを誰も望んではいません。一方で、

災害はいつも突然やって来ます!

建物が倒壊し、人命に関わる被害が生じてからでは手遅れです!
管理組合の責任も問われることになりかねません。
いつ実現するかも見通せない再開発話に依存するあまり、

老朽化マンションをこのまま放置し続けても良いのか?

それを判断するのはマンション区分所有者の皆さまご自身ではないでしょうか?

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