本トピックスは(205)登記簿疑惑で関連業者から「怪文書」が!からの続きです。
三菱の「怪文書送付」に多くの地権者が反応!
不可解な登記簿謄本が発見された現場は、三菱地所レジデンスが再開発業者(参加組合員)として関与する、都内港区にある三田小山町西地区市街地再開発事業の開発区域内。
何が問題なのか?
1. 再開発に向けた活動が行われている最中、一度に42名もの地権者(と思われる個人及び法人)が共有で所有権登記を、しかも複数の土地に対して行い、更にその翌月には登記抹消と言う、にわかには信じがたい事実が登記簿謄本から明らかとなった。
2. この事実を知った都内の三菱再開発区域内にある某地権者団体が、これを一種の「買収行為」ではないかと捉え、「自分たちの地区でも同じことが起るのでは?」と不安を抱いたことから、何があったのかを知るため、関係先である三菱地所レジデンスの社長に宛て質問状を送付した。
3. ところが、あろうことかその回答は怪文書形式で発行され、しかも文書は郵送ではなく何者かが質問者宅へ直接投函、更にその直後から「一度会ってお話ししたい」コールが質問者宅へかかってきた。
4. 上記の一連の事実が世間へ公開されたことから、各地の地権者間で「三菱地所レジデンスは何かを隠そうとしている」との疑惑が広がり、事態を重く受け止めた都内17の住民団体が、結束して同社社長へ質問状を送付する運びとなったもの。
都内17団体が三菱社長へ送った質問内容!
今回、三菱地所レジデンス社長へ質問状を送付したのは品川区9団体及び港区8団体の、合計17の住民団体により構成される2つの地権者団体。
詳細については添付「質問状」をご参照ください。
既に三菱地所レジデンスは、怪文書の送付者に対し、個人情報やコンプライアンスを理由に回答を拒絶していることから、新たな質問状では「三田小山町西地区」で具体的に何があったのかを追究するのではなく、あくまでも登記簿謄本に記載されたような事実が一般的にどのような状況下で起り得るのかを、不動産取引のプロである三菱地所レジデンスに問う内容となっています。
三菱地所レジデンスに対しては、各地で多くの地権者が抱くに至った「裏工作の懸念への不安」を払拭するためにも、地権者の誰もが「理解」し「納得」し、そして「安心」して再開発事業へ参画できるよう、再開発事業者としての責任ある回答を求めました。
なぜ質問状を送付したのか?
理由は明快です。
三菱地所レジデンスの怪文書を巡る不可解な行動により、各地の地権者たちが「買収工作ではないか」と疑心暗鬼になったからです。今回の三菱の対応が大企業とは思えぬ、あまりにも常軌を逸したものであったため、火に油を注ぐ結果となってしまったことは否めません。
街で巡回中の警察官と目が合った瞬間、意図的に目を逸らす行動に出れば警官から怪しまれますし、ましてやその場から逃げ出せば、罪は無くても警官は追いかけて来ます。三菱地所レジデンスの社員たちも、深く考えずに常軌を逸した行動に出てしまい、各地の地権者たちの疑念を深める結果を招いてしまった感があります。しかし、社長宛の質問状を「怪文書」の形で回答したことは、如何なる理屈を述べようと「三菱グループ企業」らしからぬ愚かな対応であり、三菱地所レジデンスが同社の大切な顧客でもある「地権者」を見下す姿勢が露わになってしまったことは否めません。
地権者が考える真相
推測ながらも考えられるシナリオは、
地権者から「同意」を得たい再開発業者側が、
一部地権者の土地面積を一時的に増やすことで
当該地権者の従前評価額を割り増す工作をした
のではと言う仮説です。
再開発業者の社員たちは地権者の同意欲しさに「あなただけには特別に良い部屋を」などと平気で畳みかけることが各地で報告されています。しかし一方で、再開発は市民の税金まで投入される公共性の極めて高い事業ですから、特定の地権者を優遇することは許されません。そこで業者側が考え出したのが、一時的にせよ地権者の所有地を増やす形で「書類上の体裁」を整え、その事実を以て従前評価に反映させると言う手口です。従前評価額が確実に増えるため、地権者なら誰だって喜びますので、結果として同意率も高まります。一方、業者側にとっても所有記録が登記簿謄本に記載されるため、合法的な取引であることを第三者に対して装うことも可能となります。
事実であれば極めて巧みに考案されたシナリオだと言えます。
まとめ
再開発(第一種市街地再開発事業)は、再開発事業者にとり極めて収益力の高いビジネスですが、地権者による合意形成無しには先に進めることが出来ません。
そこで一部の悪意ある業者は意図的に高い同意率を演出しようと様々な工作を行います。主なものとしては、
1. 地権者の買収
2. 土地の細切れ分筆
3. 同意書の改ざん
があります。その中で今回の「登記簿疑惑」は「地権者の買収」に該当する可能性があるとの判断から取上げました。
再開発は市民の税金も投入される限りなく公共性の高い事業であるだけに、再開発事業者には公平、公正、且つ透明性をもった活動を行うことが要求されます。しかし、それを見守るのは地権者を始めとする地域住民です。もし不自然な活動があれば、決して区域内でとどめようとせず、広く社会で情報共有することが何よりも大切です。
さて、三菱地所レジデンスからはどのような回答が届くのでしょうか?
【添付】 2024/2/6付、三菱地所レジデンス(株)社長宛書簡
(黄色のハイライターは本トピックス用に当方で引いたものです)