本トピックスは、以下のトピックスからの続きです。
(203)えっ?この「土地登記簿」は何だ?
(204)この「土地登記簿」は何だ?(続編)
(205)登記簿疑惑で関連業者から「怪文書」が!
(210)登記簿疑惑:17団体が三菱社長へ質問状!
(219)登記簿疑惑に三菱社長は回答せず!
上記の表題をご覧頂くだけで、何が起きているかが即座にご理解頂けると思います。残念ながら、三菱地所レジデンスは地権者たちの質問には一切答えず「沈黙」を貫き通しました。
「地権者買収」が露見?
現場に深く関与するデベロッパーの1社でありながら、17もの地権者団体が共同で送った質問に「沈黙」したとなれば、地権者側はどうしても「買収があったのでは?」と疑ってしまいます。
●そもそも42名もの地権者(と思われる人たち)が都心の超一等地を複数筆も共有すること自体が不自然であり、更に、登記した翌月に共有が解消されたとなれば、なおさら不自然。
●共有者が42名もいれば、当然登記に至るまでに様々な議論が行われ、合意形成まで相当の時間(年単位?)を費やした筈。しかしそのような形跡も確認できず。
●また、土地の所有権取得には数億円単位の資金が必要。42名がどのように資金調達したのかも謎のまま。登記簿を見ても、そこに抵当権が設定された形跡は無い。
●そして何より驚いたのは、参加組合員である三菱地所レジデンスが当初の地権者からの質問には「怪文書送付」で対応。続く17団体からの公開質問には「沈黙」を貫き通したこと。
以上の状況を勘案すると、
「合意形成」に悩む再開発業者側が、
反対者を取り込む目的で、
登記簿と言う公文書を利用して
彼らの所有地が一時的に増えた形をとらせ、
その増加分を「従前評価」に加える見返りに
地権者たちから再開発への同意を取り付けた
と言う仮説が成り立ちます。
一言で言えば「あなたの所有地を一時的に増やすことで従前評価を特別高く評価してあげますから同意書に印鑑を押してね!尚、このことは決して誰にも話さないでね!」と言う手口です。
上記はあくまでも私たちの推測です。しかし、今回の三菱地所レジデンスの不自然な対応により、各地の地権者たちがそのような工作の存在を疑うようになってしまいました。
では、これからどうなる?
不審な登記簿が見つかったことは事実です。しかし真相はわからずじまい。三菱地所レジデンスは、何故そのような登記簿が存在し得るのかと言う「一般論としての説明」すら拒絶しました。
一方で、当サイトの閲覧者の皆さまからは多くの助言や情報が寄せられましたので、どなたか関心をお持ちの方はぜひとも、私たちに代わりお調べ願いたいと思います。
調べる際の参考事項
1.登記簿謄本は最寄りの法務局で取得できる!
トピックス(203)では、疑惑の土地登記簿は再開発のためシステムから消去(閉鎖)されており「取得できない」と報じました。
しかし、その後、閲覧者から、実際に法務局へ出向き「閉鎖登記簿が見たい」として手書き請求書で申請すれば過去の登記簿は取得可能との助言を頂き、当方もこの点を法務局にて確認しました。
過去の登記簿謄本は取得可能です。
そして当該登記簿には共有者全員の
住所・氏名その他の情報が満載です。
2.42名の共有登記は当時の町会が主導?
不審な登記が行われた当時の「三田一丁目町会名簿」(2001年版)を送ってくださった閲覧者もいました。(添付①ご参照)
(因みに、現場の「三田小山町」は三田一丁目町会の所属です)
名簿を見ると、当時の町会は7地区で計65班に分かれていましたが、登記簿上の共有者が、特定の班に集中していることが判明しました。因果関係はわかりませんが、町会の主導のもと、敢えて住民同士が結束しやすい「班単位」で共有者集めが行われた可能性が推測されます。
3.3筆目の登記簿はなんと地積が1,483㎡!
トピックス(203)で不審な登記簿2筆(93.74㎡及び50.97㎡)を公開しましたが、本トピックスでは3筆目の登記簿を新たに公開します。(添付②ご参照)
3筆目も1~2筆目と同様に42名の共有者による登記ですが、なんとこちらの共有登記時点での地積は1,483.73㎡(=約450坪)。公示価格でも数十億円に達すると思われる大型物件で、実勢価格となれば更にこれを上回る額となります。25年前にはまだ地価が安かったとは言え、都心の超一等地にある広大な土地を42名もの地権者(と思われる人たち)が抵当権の設定も無しに共同で取得できるとは常識的には考えられません。やはりそこには何かがあったと考えるのが妥当です。
是非これらの手がかりをもとに、どなたかにお調べ頂くことを願っております。
真相は必ず明らかになる!
既に登記簿上の住所は消滅しており、42名の共有者の大半は現在工事のため仮住まい中ですから、彼らとの接触は容易ではありません。(但し、登記簿を見ると再開発区域外に住所を有する共有者も若干名います)
また、仮に何らかの不正工作が行われていたのだとすれば、今頃は工作者側から42名の共有者に対して「かん口令」が敷かれている可能性がありますので、共有者にたどり着けたとしても果たして真相を語ってくれるかは不明です。
しかし、悲観する必要はありません。
42名も共有者がいれば、
何れ「こんな筈ではなかった」と
権利変換に不満を持つ地権者が出て来る筈
だからです。
その一つのキッカケとなり得るのは、昨今の事業費高騰だと見ています。
事業費高騰でも地権者は安泰なのか?
当該現場の契約詳細まではわかりません。しかし、一般論として「地権者は竣工までは決して安泰ではない」と言えます。
なぜなら再開発では「事業リスク」は地権者が負う原則だからです。工事期間中に多額の追加費用が発生すれば、そのしわ寄せは地権者に来ることになります。
まだ本格工事が始まっていない現時点で、例え形式上「権利変換」手続きが終わり、地権者個々人の従後資産の詳細が決まったとしても、事業の竣工までは「確定」とは言えない筈です。
工事費が全国的に高騰し続ける現況下(注1)で、もし追加費用が発生するとなれば、(予め契約において地権者側のリスクヘッジがなされていない限り)原則として地権者が負担することになります。
この様な経済情勢を勘案すれば、三田小山町では最悪の時期に工事が始まると言っても過言ではありません。
(注2)
何れ42名の共有者たちからも再開発への不満の声が出て来るものと見ています。
まとめ
私たちの目的は三田小山町における「不自然な登記簿」の実態解明ではありませんし、買収の疑いを前提とした犯人探しでもありません。
私たちの主目的は、このような不鮮明な土地取引が実際に存在すること、更には、デベロッパーは都合の悪い問題については説明責任を果たさないと言う現実を世間の皆さま、とりわけ各地の再開発で悩む地権者の皆さまに知って頂くことにあります。
日頃から「地権者の皆さまが主体です」、「地権者の皆さまには丁寧な説明を」などと言いながら、都合の悪い話になるとたちまち口をつぐんでしまうのは、なにも三菱地所レジデンスに限ったことではなく、住友不動産も同様です。
このような業者側の企業体質が今回明らかになっただけでも、地権者側にとっては収穫だったと言えるのではないでしょうか?
「地権者」は再開発事業者と比べ、「知識」、「経験」、そして「情報量」において圧倒的に劣るだけに日頃から注意が必要です。
地権者の知り得ぬところで
様々な土地取引が秘密裏に行われ、
「知らぬ間に再開発が決まっていた」
となれば地権者はたまりません。そのような事態を防ぐためにも、
何かが不自然だと感じたら、
迷わず法務局にて土地登記簿を確認する!
このことはとても大切ではないでしょうか?
登記簿は嘘をつきません!
【添付①】 町会名簿 (表紙のみ掲載)
【添付②】 3筆目の登記簿。P1(物件所在と地積)、P4(共有登記開始)、P7(共有解消)、の3ページのみ掲載。