先ずは本記事に添付した10枚の同意書をよくご覧下さい。
これは住友不動産が東京都港区で推進中の「三田三・四丁目市街地再開発」において約150名の地権者が提出した「組合設立への同意書」の内の10枚です。
港区の情報公開制度を利用して区から入手しました。
個人情報保護の観点から氏名・住所等は黒塗りされていますが「日付」は公開されています。かなりの部分が黒塗りされているため、何度見ても誰のものかは特定できないようになっています。
ところが150枚もの同意書を何度も見返すうちに、直感的に何か不自然さを感じるようになり、そこで今度は「日付別」に同意書を並べ直して見ました。
添付10枚はいずれも「平成30年1月26日」付にて提出された同意書を抽出したものです。並べてみて驚きました!
日付の筆跡に注目ください!
どうやら同一人物により記入されたもののようです。
私たちの調査では、同一人物が複数の物件で10もの所有権を有しているケースは確認出来ませんでした。更に同意書内の「住所・氏名欄」の黒塗りの形状からみて明らかに地権者は1名ではなく、複数いるものと推測されます。
つまり同一人物が地権者であった可能性は極めて低いと言うことです。
以上は公開された資料を分析した結果わかったことです。
ではなぜ筆跡が同一なのか?
残念ながら、私たちは泉岳寺の住民であり「三田三・四丁目市街地再開発」の地権者ではありませんのでその詳しい理由まではわかりません。
再開発の許認可権限を有する監督官庁(東京都、港区)もさすがに筆跡までは細かくチェック出来ず、見過ごしてしまった可能性もあります。
しかし、もし「同一人物が他人の同意書を10枚も書いていた」ことが事実だとすれば、それは社会通念上どう考えても不可解と言わざるを得ません。
様々な推測が成り立ちますが、今回、皆さまへは事実のみをお知らせし、こちらからのコメントはあえて差し控えます。
皆さまのご想像とご判断にお任せしたいと思います。
泉岳寺は大丈夫なのか?
三田の件は不問でも、泉岳寺の件となれば話は別です!
三田も泉岳寺も共に住友不動産が主導する再開発です。
実は、住友不動産は泉岳寺でも三田と同じ手法を使おうとしていたことが、「同意書の取得」段階で発覚していました!
泉岳寺では2年前から事業者側が地権者宅をまわり「都市計画決定への同意書」集めを行っていますが、なんとその初期の段階で、事業者は地権者に対し「日付は空欄でお願いします」なる指示を出していたことが多くの地権者の証言で明らかとなっています。
日付と言うのは「同意の意思表示」の重要な一部を構成します。その「日付」部分を何者かが勝手に記入して意思表示を完成させたのだとしたら問題で、もちろんそのような形で取付けた同意は無効とすべきです。
地元「地権者の会」では事業者側に「何らかの不正の意図が疑われる」として、武井港区長へこれを告発すると共に、今まで事業者が取付けた同意書は無効であり、その様な同意書を根拠に区は「都市計画決定」を判断すべきではないとして「嘆願書」まで提出しているそうです。
なぜ日付を空欄とさせたのか?
泉岳寺に関する限り、その理由はほぼ解明出来ていますが、その詳しい説明は別の機会に一つの独立した「トピックス」としてお伝えして行きたいと考えています。
まとめ
地権者にとり「同意書」は大切な資産を手放す契約書の様なものです。
その同意書が事業者側により操作され、地権者の意思に反して再開発が実行されるなど絶対にあってはなりません。
それを防ぐには私たち住民一人ひとりが問題意識を持つことが重要であり、また再開発事業者を見る厳しい目を持つことも必要です。
安易な気持ちで事業者と接すれば、将来「こんな筈ではなかった」と後悔することになりかねません。再開発区域内の地権者であるならば、少なくとも無関心でいることだけは避けたいものです。
【添付①】 平成30年1月26日付「組合設立同意書」10枚
【添付②】 当該10枚の内、「日付部分」のみを拡大したもの。