トピックス(31)では住友不動産は有名企業グループの一員であることもあり、負のマスコミ報道に対しては脆弱性があることを述べました。
弱点を有するからこそ日頃の「社会との良好な関係構築」と共に「健全なる企業活動の実践」が何よりも大切で、住友グループの「広報委員会」においても「住友」ブランドのイメージ向上のためグループ企業がこのことを実践するよう各社へ呼びかけていることも述べました。
しかし上記とは裏腹に泉岳寺では(少なくとも地権者目線で見る限り)相変わらず開発事業者側による一方的で強引な再開発への勧誘活動が絶え間なく続いており、しかもそれが地権者にとって不公正・不平等な形で行われ、中には地権者の人権にも抵触しうる事案まで存在するとして港区長宛に行政指導を求める嘆願書まで提出される等、問題が山積したままです。
企業としての弱点を抱えつつも、なぜここまで地権者が嫌がる行為・行動を不公正・不平等な形であからさまに続けることができるのか?
その理由について推測してみました。
その結果、着目したのが
「準備組合」が彼らの防波堤として果たす役割です。
つまり、「準備組合」を敢えて再開発の「事業者」に仕立て上げることで、もし住友不動産が問題や不祥事を起こしたとしても、彼らは「私たちは単なる事業協力者にすぎません。実際の事業者は準備組合です」と説明することが可能となり、企業名が世に報道されるリスクを減らすことが出来るようになると言うことです。いざとなれば準備組合に責任を負わせ、自らは即座に撤退することさえ可能となります。
(因みにこれは企業としての立派なリスクヘッジ策の一つです)
そのように考えると「準備組合」の存在は彼らにとり、自らの弱点をカバーすることができる非常に「都合の良い仕組み」であることがわかります。
事業経験に乏しい一部の地元地権者たちを「事業者」に仕立て上げ、地権者主導の準備組合(とされる組織)を設立させた上で自分たちは敢えて裏方にまわるのです。
裏方とは言え、そこでしっかり「事業協力者」と「事務局」双方の業務を押えれば、そこに住友不動産が実効支配する準備組合の体制が出来上がります。
弱点を補った上に、更に準備組合を実効支配することまで出来てしまう。
再開発事業者にとり、準備組合ほど「都合の良い」仕組みはないのではないでしょうか?
残念ながら、泉岳寺では上記のような形の「準備組合」が存在していると言わざるを得ません。このような姿の準備組合では再開発事業者が圧倒的に優位に立ち、地権者側はほとんどメリットを享受することができません。
およそ「地権者が主体の準備組合」とはかけ離れた状況にあります。
現在、首都圏内にはこれから準備組合を結成しようとする段階にある地域が多数あり、当ホームページへ「準備組合設立の是非」について相談に来られる方々も増えています。
これらの地域の地権者の皆さまには、先ずは再開発の仕組みと実態について学んで頂くと共に、再開発事業者が準備組合を設立したがる背景にはどのような裏事情があるのかもしっかりと見極めた上で対応をして頂きたいと願う次第です。
準備組合はあくまでも地権者が主体となり設立・運営されるべき組織であり、開発事業者が自らの弱点を覆し責任を回避するための組織であってはなりません。