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(51) 耐震補強工事始まる!

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泉岳寺の再開発区域の中心部にある某マンションで「耐震補強工事」が始まりました。
紆余曲折を経てやっと始まったこの工事は再開発事業者にとって逆風となる可能性があります。以下に詳しく説明します。

耐震補強工事が始まったマンション

【背景】
泉岳寺の再開発区域内には、2015年に住友不動産がこの地にやって来る以前から、老朽化や耐震上の不安から単独建替えを計画していたマンションがあります。
それが今回「耐震補強工事」を始めたマンションです。
既に「建替え決議」直前まで進行していた同マンションの建替え計画は、もし再開発の話が持ち上がらなければ、今頃は20階建ての新築マンションが竣工し、住民たちも新居での生活をスタートしていた筈です。
住友不動産はマンション住民の了解を得ること無く一方的にこのマンションを再開発計画区域に含めてしまったのです。再開発計画を知ったマンション住民は、何度も住友側に対し「単独建替え」の意思を伝え、自分たちを再開発対象区域から外すよう申し入れましたが、願いは聞き入れられませんでした。
それどころか、その後このマンションは事業者側から建替え阻止に向けて様々な圧力を受けることとなり、結果としてマンション住民は様子見を余儀なくされ今日に至っています。
住友不動産は後からこの地にやって来たにも係わらず、「この地で再開発を行うので、今このマンションに建替えを実行されるのは好ましくない。是非とも再開発に応じてほしい」などと一方的にマンション住民に対し「再開発へ同意」するよう求め続けていますが、既に建替え決議寸前まで進行していた同マンションの住民にしてみれば大きな迷惑です。
しかも事業者側は水面下では「何としても単独建替えは実行させない」との強硬な姿勢を示すに至り、マンション内でも「本当にこのまま単独建替えが実現出来るのか不安だ」と訴える住民が相次ぐ事態となりました。
住友不動産側の強硬な姿勢に対する住民の反発には根強いものがありますが、力関係の違いもあり、結果として同マンションの住民は再開発計画の進捗状況を当面見守らざるを得ない状況へと追い込まれて行きました。

【現状】
しかし事態は変化します。事業者が地権者を集めて再開発計画に対する全体説明会を行ったのは2018年3月です。それから2年半が経過した現在も、再開発計画は一向に進まず、地権者の同意取得すら得られていないことから、住民の間では再開発への疑念と共に地震災害への不安が次第に高まって行きました。
もともと耐震上の不安から始まった単独建替え計画ですから、現状のままいつまでも放置しておくわけには行きません。
このような状況を憂慮したマンション管理組合は人命を最優先と考え、もはやこれ以上は待てぬとして耐震補強工事に踏み切ったのだと住民から報告を受けています。
それなりの費用負担は発生するものの、耐震補強工事が完了すれば同マンションの住民は少なくとも当面の間は最低限の安心を得て住み続けることが出来るようになり、事業者側から「耐震上の不安を理由に早急に再開発へ同意」するよう促される心配もなくなります。

単独建替えこそまだ実現できていませんが、このマンションで「耐震補強工事」が終われば、住民に安堵感が広がり、結果として「再開発へ直ちに応じ無ければならない理由」が無くなるため、再開発を進めたい事業者にとっては逆風となることでしょう。

「大地震」は突如として発生し、甚大な被害を地域へもたらします。
人命にもかかわる自然災害は発生してからでは手遅れです。
その意味で、大震災が起きれば被害は人命にも及びかねないとして、もはや再開発計画には「期待」も「依存」もせず、自ら費用を負担してでも耐震補強工事を実施しようと決断したこのマンションの判断は極めて健全、且つ適切であったと考えます。

今もまだ耐震補強対策が済んでいないマンションが…

泉岳寺では既に耐震補強対策を終えた大型マンションが1棟あり、今回耐震工事を開始したマンションがこれに加わることで、マンション全体の約2/3に相当する計165名の地権者の皆さんが、当面は地震への不安に駆られることなく、一応は安心して現在のマンションに住み続けることが出来るようになります。
一方で心配なのは、まだ耐震補強を実施していないマンションです。
地権者数にして70名弱と言ったところでしょうか。
大地震は再開発計画とは関係なく、突如として発生します。
耐震補強を実施するか否かは住民自身が決める事柄ですが、「災害から人命を守る」観点から、行政も助成金を出してまで耐震補強対策を推奨しているのが世間の流れです。
「再開発に応じれば新築マンションへ持ち出し無しで移り住める」などと楽観視する地権者がいたならば、もう一度現実を直視すべきです。
再開発への過度の期待と依存は禁物です。
再開発は計画通りには進んでいませんし、また多くの問題やハードルも抱えており、実際に竣工までこれから何年かかるのかも不明だからです。

「そんなことはない。計画は順調に進んでいる筈だ」とお思いでしたら、是非とも添付「事業スケジュール表」をご覧下さい。
これは事業者側が2018年3月の全体説明会時に地元地権者へ配布した資料です。
事業計画では「今後変更も有りうる」との注釈付きながらも、2020年(今年です!)には「解体着工明け渡し」と記されています。つまり地権者たちは今年中に住居を明け渡す予定とされていたのです。
では実際はどうか? 今も同意書すら集まらず再開発はまだ何も決まっていません。 
それどころか突如として発生したコロナ禍により、世界的規模で社会・経済が大混乱に陥り、その結果、再開発が果たして事業として成り立つのかも不透明となって来ています。
更に、泉岳寺では延べ1,000名を超える地域住民が再開発計画に「NO」の意思表示を港区長に対し示したことで、再開発はもはや簡単には進まない状況となって来ています。

もしこの様な状況下で大地震が発生し人的被害がでたらどうなるでしょうか?
対策への不作為や管理責任等をめぐり訴訟問題へ発展しないとも限りません。
「大地震」はいつも突如として発生し甚大な被害を地域へもたらします。人命にも係わる自然災害は発生してからでは手遅れです。
まだ耐震補強工事が済んでいないマンションの住民の皆さんは、再開発計画への過度の期待は一旦捨て去り、「いのちを守る」観点から今一度地震対策について検討されてみては如何でしょうか? 「備えあれば憂いなし」です!
  

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