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(59)理事が準備組合を訴えた!(その2)

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トピックス(54)理事が準備組合を訴えた!からの続きです。
これは東京都葛飾区・京成立石駅前で計画されている再開発案件において、デベロッパー(事業協力者)側が準備組合を実効支配し、地権者理事たちには重要情報を知らせないと言った差別が行われていることに疑問を抱いた某理事が情報公開を求めて準備組合を東京地裁へ訴え、2020年2月に原告が勝訴した事案です。

裁判を通じて地権者理事たちの知り得ぬところで書類が「改ざん」されていた事実が発覚し、その中には同意していない地権者が「同意した」とされる虚偽の報告書まであった由。更に原告によれば準備組合に常駐する事業協力者側の社員までもが「改ざん」の事実を認めたとのことで、結果として原告勝訴の判決が出たのとほぼ同じタイミングで
「事業協力者」であるA社は工事の受注辞退を自ら申し出たそうです。

今回の裁判を通じ、
「事業協力者」が実効支配する準備組合の弊害が明らかとなった
ことに、私たち泉岳寺の住民だけでなく、他地域の複数の地権者団体やマスコミまでもが強い関心を示しているため、立石裁判のその後について調べて見ました。

立石再開発の現状

京成立石駅周辺地区では現在3カ所にて再開発案件が進行中で、今回の事件はそのうちの一つである「立石駅南口東地区再開発」で起きました。
葛飾区は昨年、この区域を対象に「都市計画決定」を実行しており、現在は「組合設立」に向けて準備が進んでいる段階です。
そのさなかに今回の訴訟が提起され、デベロッパー(事業協力者)が実効支配する準備組合内部の実態が明らかになり、更には地権者が「同意した」とされる虚偽の書類まで見つかったのですから言語道断と言わざるを得ません。A社による工事受注の辞退は当然の結果であると言えます。では「都市計画決定」を実行した葛飾区の責任はどうなのか?

葛飾区役所の対応について

私たちは立石地区の地権者ではありませんし、また葛飾区民でもありません。
従い、役所がどのような形で再開発事業へ関与しているのか詳しい事情まではわかりませんが、最近気になる事実を確認しました。
私たちは先日、葛飾区役所(総務部区政情報コーナー)に対し、
「立石駅南口東地区再開発にて葛飾区が“都市計画決定”を実行した際に地権者の同意があったことを確認する資料一式」の情報公開請求を行いました。
しかし、何ということでしょう。
私たちに郵送されてきた葛飾区からの回答書には、
「そのような情報は存在しません」と記されていました。
(添付、令和2年11月4日付「情報不存在等通知書」をご参照下さい)

役所側に資料保管の義務はない?
区の説明では、同意状況が客観的にわかる書類は法律に基づく手続き要件ではないため準備組合から資料の提出を受けてはいないが、確認だけはしっかり行っていますのでどうぞご安心下さいとの立場です。
しかし、今回の立石における再開発事業は裁判を通じて準備組合が「同意書」の偽装まで行っていたことが確認された事業です。
そのような問題含みの事業であるにも関わらず、葛飾区が「地権者の同意があったこと」を確認する資料を保管していなかったと言うのは「要件ではない」とは言え不自然だと言わざるを得ません。

葛飾区役所のホームページを見ると、
権利者の皆さんによって構成される市街地再開発準備組合が街づくりの検討を行っています」などと明記されています。そう言いながらも区は権利者の皆さんである証拠を出せないと言うのですから、誰が見てもこれは不自然です。いったい誰のための区役所なのか?
地権者同意の偽装まで確認された以上、葛飾区は自らが中立・公正であることを示す意味でも区民(地権者)に対し説明を行う責任があるのではないでしょうか?

再開発現場のこれから

過去に現地では特に目立った反対運動などは起きておらず、そのまま今日に至っているようです。昨年「都市計画決定」が実行されたことで、現在準備組合が注力するのは「本組合」設立に向けての活動と言うことになります。
因みに「組合設立」に際しては、「都市計画決定」とは異なり、地権者及び借地権者のそれぞれ2/3以上の同意取得が必要となる等、様々な法的要件が厳格に定められています。

さてこのような状況下で、今後、地権者が「同意書偽装の事実」や「葛飾区による同意の確認への対応」を知るところとなればどうなるでしょうか?
地権者側からの反発が起き、今後「組合設立」への影響を与える可能性も出て来ます。
仮にここで反発が高まり「地権者及び借地権者の1/3以上が再開発には同意しない」となれば再開発計画は頓挫します。実際にそうなるか否かはあくまでも今後の地元地権者の対応次第ですが…

いま現場で起きつつあること

①私たちがこの件をホームページ上で報じて以降、原告の元へは大手メディアの取材も入っているようですので、いずれ記事として世間へ報じられる可能性も出て来ました。
②立石には地元の街並みを守ることを目的に近隣住民有志で構成される会が存在し、「かわら版」にて再開発に関する諸問題を地元住民へ定期的に報じています。
③またホームページ上でも立石再開発に反対の立場を取る下記サイトが立ち上がっています。 https://savetateishi.wixsite.com/non-be
④一方、再開発に疑惑を持った地権者からは「都市計画決定」の妥当性をめぐり新たな訴訟が最近提起されたとの情報も入って来ました。(現在、詳細について確認中)

裁判での判決を契機に再開発の進め方に疑念を抱く近隣住民が徐々に増えつつあるように見受けられます。再開発がこのまま進むのか?それとも中断されるのか?すべては地権者の今後の動向次第です。当サイトでも引続きこの事案を注視して行きたいと思います。

まとめ

立石で計画されている「第1種市街地再開発事業」は地権者がリスクを負う事業なだけに、地権者不在のまま事業が進められることがあってはなりません。
葛飾区役所は「権利者の皆さんによって構成される市街地再開発準備組合」などとホームページ上で語っていますが、実態はそうではないことが裁判を通じて明らかにされました。
裁判により明らかとなったのは事業協力者が実効支配する準備組合の姿であり、そこでは地権者理事たちに対する情報統制だけでなく、同意書類の改ざんまで行われていたと言う事実です。

私たちは立石で起きたこの事例を「他山の石」として重く受け止める必要があります。
同様のことは全国どこでも起きる可能性があるからです。
実際に泉岳寺においても、事業協力者である住友不動産が実質的に準備組合を主導しており、また当初から地権者にとり著しく不公正・不平等な形で再開発計画を強引に推進しようとしています。(その実態については、当ホームページの各トピックス蘭をご覧下さい)
私たちは泉岳寺で行われている不当な再開発事業計画の実態を、他地区の地権者の皆さまを始め広く世間一般にも知って貰うべく、今後も泉岳寺にける住友再開発の実態を事実関係を中心に情報発信して行きますので、引続きご支援をお願いいたします。

【添付】 葛飾区が発行した「情報不存在等通知書」

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