皆さまは、以下のような地権者棟に住みたいと思いますか?
表向き「皆さまによる再開発」を標榜しながらも、実際には強引に「自社ファースト」の姿勢を貫こうとする住友不動産側の企業姿勢に泉岳寺では多くの地権者がどう対応して良いかもわからず困惑しています。この様な企業姿勢は、地権者が権利変換後に住むことになる「地権者棟」の建築プランにおいても如実に表われました。その実態を皆さまへお知らせします。
1.地権者棟への住民の期待感
現在、泉岳寺において計画されている再開発計画(「第1種市街地再開発事業」)は地権者が供出する土地があって初めて実現させることが可能となる事業です。
地権者(地主)にしてみれば大切な土地を差出し、それが原則として地権者棟の「床」と言う減価償却資産に化けるわけですから、当然の事ながら再開発へ同意する以上は、その見返りとして満足の行く地権者棟へ入居出来ることを期待します。
ところが住友不動産側は地権者に対し、住環境に問題の多い「地権者棟」のプランを一方的に提案し、極めてアンフェアな形で地権者の同意を水面下で取付けようとしていることが、今般地権者側からの情報提供により明らかとなって来ました。
2.過去に住友側が行った提案
2018年3月に地権者たちは全体説明会に招集され、その場で住友不動産側は地権者たちが将来住むことになる住居だとしてA案、B案、C案と3種類の「地権者棟」の案が記された資料を地権者全員へ手渡しました。
しかし提案は行ったものの、その後住友側からは何の包括的、具体的な全体説明がないまま2年半が経過し、現在に至っています。
3.最近の住友側の不可解な動き
ところが最近、彼らは「C2’案」と称する案を携えて地権者の理解と同意を促そうと個別に地権者を回っていることが判明しました。地権者からの情報提供で初めてわかった事実です。
A案でもB案でもC案でもない新たな「C2’案」とはいったい何なのか?
なぜ住友不動産は地権者全員に対し正々堂々と新提案を公表しないのか?
それとも何か公にしたくない事情でもあるのか?
そもそも多くの地権者は建築設計や開発デザインの基礎知識など有していません。
そのような地権者を相手に個別に説明して理解を得ようとするやり方は公正とは言えません。
知識に疎い地権者が個別に説明を受けたところで正当な評価など出来ないからです。
4.専門家に依頼して初めてわかった「地権者棟」の実態!
地権者の無知につけ込んだとしか思えないその様なやり方には何らかの理由がある筈だと考え、私たちは建築の専門家へ住友「C2’案」の検証を依頼しました。
3D-CADで立体化し、日陰を起こしてみた検証結果は実に驚くべきものでした…
年間を通して全く日の当たらない「北側住戸」がなんと全体の約半数もあることが判明したのです。
また住友側が作成した図面には、
オフィス棟(40階173m)や13階建ての中層地権者棟から生じる日陰が極小に描かれていることも判明しました。
もし故意に極小に描かれていたとすれば地権者を欺く行為です!
(関連データを添付しますので皆さまも是非ご確認下さい)
これらは専門家や多くの地権者の知見を集約しない限りなかなかわかり得ない事実です。
少なくとも個々の地権者が図面を見せられその場で即座に判断できるレベルではありません。
もし事業者側が、実態が露呈しないよう敢えて地権者全体への説明を避け、知識に乏しい個々の地権者を相手に個別に説得しようとしたのだとすれば極めてアンフェアな手法であると言わざるを得ません。
今回のコンピューターによる3次元化日影を用いた「C2’案」の検証結果から、
住戸の半数が北向きとなるばかりか、
多くの住戸が年間を通して日が全く当たらない
と言うデータが得られました!
閑静な高輪の住宅街で快適に暮らしていた地権者たちが再開発に応じることで、竣工後は北向きの部屋をあてがわれた上、日が全く当たらない住戸で暮らして行くことになるのです。しかもなぜか北面住戸は南側と等価交換率が現状「全く同じ」だというのですからどう考えてもおかしな話です。
皆さまはこんな地権者棟に住みたいと思いますか?
残念ながらこれが住友再開発の実態なのです。
どこまでも「住友ファースト」であり、「地権者」のことなど二の次なのです。
いったいどこが「地権者の皆さまによる再開発」なのでしょうか?
少なくとも多くの地権者が感覚的にそのように住友不動産の再開発を捉えています。
さて、住友が提案する再開発は「第一種市街地再開発事業」であり、地権者が共同で事業リスクを負う形の事業です。地権者は事業リスクを負わされた上、竣工後には日の当たらない地権者棟に収容されることになるのですからたまったものではありません。
今回、専門家の指摘により初めてわかった事実です。
知識に乏しい地権者を相手にこの様な提案と進め方をしようとする住友不動産側のやり方は果たしてフェアだと言えるでしょうか?
もし事実を知れば誰もこれを受け入れようとはしないでしょう。
だからこそ住友は実態が公とならぬよう、敢えて知識に乏しい地権者を相手に個別に説得を重ねている…少なくとも私たちはその様に理解しています。
5.地権者にできること
上記でおわかりのように「再開発事業者に言われるまま」では地権者たちの住環境は劣悪なものとなりかねません。しかし地権者側にも反省点はあります。これからは地権者側も従来のような「業者任せ」や「受け身」の姿勢ではなく、積極的に要望や提案を事業者側へ出して行くべきではないでしょうか?
地元「地権者の会」では、今後、建築の専門家も交えて「快適な住環境」についての検討会を開くことを考えているようで、是非とも真の意味での「皆さまの再開発」を実現して貰いたいものです。
【添付】 今回の検証結果に関する資料一式(合計9枚)
1枚目:住友「C2’案」のデメリットについて
(住友傘下の準備組合が地権者へ提出した図面をベースにデメリットを書き入れ
たもの)
2枚目:事実と異なる陰影
(同じく、準備組合が地権者へ提出した図面に記された陰影等の問題を指摘)
3枚目:日照の検討結果
(多くの住戸が年間を通じて全く陽が当たらないことが確認された)
4~9枚目:日照のシミュレーション
(季節別、時間帯別データ)