(54)理事が準備組合を訴えた!及び(59)理事が準備組合を訴えた!(その2)からの続きです。
東京都葛飾区「立石駅南口東地区再開発」において準備組合の理事が準備組合を訴えた裁判を通じ、同意書の改ざんまで行われていたことが明らかとなったこの事件。
しかも準備組合を牛耳るデベロッパー側社員の関与まで明らかとなったこの事件は、
デベロッパーと地権者との信頼関係を揺るがす大事件として地元のミニコミ誌も大きくこの件を取り上げ、配布を通じて地権者へもその詳細が伝えられた
ようです。(添付:「たていしさまたより60号」をご参照下さい)
さて、同意書が改ざんされていた事実を知った地権者はどのような反応を示すのでしょうか?
同地区では「都市計画決定」が実行され、これから「組合」が設立されようとする段階です。
組合を設立するには地権者及び借地権者の2/3以上の同意取得等が法的要件として必要になります。もしここで多くの地権者が準備組合の不正行為に反発し、2/3以上の同意が集まらなければ組合は設立できず再開発計画は頓挫します。
全ては今後の地権者の動向次第と言うことになります。
余談になりますが、「たていしさまたより」の2枚目後半は近隣地区における上記とは別の再開発(立石駅北口地区再開発)についての記事です。
こちらの再開発計画も現在大きな問題に直面しており、地権者が共同で事業リスクを負う「第1種市街地再開発」の怖さが如実に露呈した事例としてぜひ記事を最後までお読み下さい。
因みに、こちらでは再開発後に再開発ビルへ移転する筈だった葛飾区役所が(コロナの影響で?)移転するメリットがないとして移転計画(=保留床の取得)見直しを表明したのです。そのような状況にも関わらずデベロッパーはそのまま再開発を進めようとしており、結果として地権者が「ハシゴを外された」形となっているもの。もし保留床の新たな引取先が見つからなければ、地権者に損失負担が生じる懸念が出て来ます。
先日トピックス(55)地権者必見!再開発の破たん事例(その1)で取り上げた岡山県津山市の再開発破たん事例と酷似しており、まさに「歴史は繰り返す」のではと心配になります。