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(85)地権者必見!4.30付質問状の中身

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(80)住友不動産への質問状からの続きです。

4/30付で地元地権者団体が住友不動産宛へ発送した書簡には
各地の住友再開発にも共通の問題が満載です。
ついては全国の地権者の皆さまへ改めて要点をお知らせします。

4/30付書簡には何が書いてあるか?

書簡では、主として地権者の「財産権」及び「人権」に係わる基本問題を中心に、住友不動産の企業姿勢についても質問しており、住友不動産からの回答を求めています。

【主な項目】

1.「土地から床」への権利変換に関して
2.地権者の権利変換後の「生活再建」に関して
3.マンション区分所有者のいわゆる「1票の格差」問題に関して
4.住友不動産が「保留床」を買い取ることの保証について
5.再開発への不関与を表明している土地所有者の扱いについて
6.住友不動産がコンプライアンス等の行動指針を遵守することの再確認

【解説】

1.「土地から床」への権利変換に関して

戸建て住宅の所有者は、再開発により大切な「土地」が「床」と言う減価償却資産へと変換されます。土地は所有していれば20年後も30年後も土地としての価値は残り、担保価値も保持できます。しかし、一旦土地を手放し再開発マンションへ入居すれば、例え入居の瞬間は「等価交換」であったとしても、以後の資産価値は年々減って行くだけでなく、土地に付随していた担保価値も消滅します。土地資産への保証が得られぬ限り、結局、土地所有者は再開発で損をすると言うのが世間一般の認識です。再開発も不動産取引ですから、「街づくりのためになんとか協力してほしい」などと言った抽象的・観念論的な説明ではもはや通用しません。この問題に関し、土地所有者が理解し納得できる説明を住友不動産へ求めています。どのような形で住友不動産から回答が戻ってくるのか?私たちは感心を持って注目しています。

2.権利変換後の生活再建に関して

せっかく新築の再開発マンションに移れても、「管理費」、「修繕積立金」、「固定資産税」と言った維持管理コストが高額となれば生活再建に支障が出かねません。特に将来「年金生活」が想定される地権者にとり、高額の維持管理費用は致命的です。有名な六本木ヒルズの再開発では、住居棟の維持管理費があまりにも高額であっため住民から反対運動が立ち上がったほどです。また、地権者によっては等価交換の結果、取得できる床面積が減るケースもあり、減少幅によっては狭すぎて生活に支障が出る懸念もあります。
再開発は不動産取引ですから、地権者側は同意する前に維持費や床面積に関し、少なくとも最低限の保証は得ておく必要があります。再開発事業者が
「具体的な条件は再開発の進行と共に徐々に決まって行きます」などと言った曖昧な説明で地権者を納得させることはできません。私たちは住友不動産がどのような具体的な回答をしてくるかに注目しています。

3.マンション区分所有者のいわゆる「1票の格差」問題に関して

たしかに都市再開発法にはマンション区分所有者を「1棟全体で1人」と見做す規定が存在します。しかし、まだ再開発など何も正式に決まっていない現況下で「再開発決定後の規定」を適用しようとすることには無理があります。
このような行為は「法の下の平等」の原則にも反し、また区分所有者の財産権をも著しく侵害する行為であると見做さざるを得ません。
泉岳寺では地権者総数約260名の内、230名(88%)が主要4棟のマンションの区分所有者です。230名もの地権者がたった「4人」としてしか見做されないのですから不平等も甚だしいと言わざるを得ません。
この方式を問題視したマンション住民有志41名が連名で港区長宛に「1票の格差」是正を求める嘆願書まで提出しています。多くのマンション住民が「法の下の平等」原則に反するとして反対する現行ルールに対し、住友不動産はどう答えるのか? 私たちは感心を持って注目しています。

4.住友不動産が「保留床」を買い取ることの保証について

第一種市街地再開発は地権者が事業リスクを取る事業です。従い、再開発ビルで生じる保留床が処分できるか否かは地権者にとり死活問題であると言っても過言ではありません。特にコロナ禍でテレワークが進みつつある現在、
その事業リスクは増大しています。この懸念に対し、準備組合は、過去から何度も「再開発ビルで生じる保留床は住友不動産が買い取るから問題ない」との説明を繰り返し、「住友不動産による確約も書面でなされている」と記した書簡を地権者へ送付すらしています。しかし「その具体的証拠を示してほしい」と要求する地元地権者団体に対し、準備組合は玉虫色の回答しかせず、今も具体的証拠を出してきません。「仲見世優遇住宅疑惑」でも指摘した通り、泉岳寺の準備組合はもはやコンプライアンスやガバナンスの全く機能しない組織と化してしまっていますので、これ以上準備組合に期待するのは無意味です。それならと住友不動産へ直接回答を求めたのが本質問事項です。

5.再開発への不関与を表明している土地所有者の扱いについて

地域住民への充分な根回しもなく突然始められた再開発計画に対し、初期の段階から再開発には参加しないこと(=不関与)を書面にて住友不動産(及び準備組合)へ通告した地権者が5名います。しかし、住友不動産は今も通告を無視し、彼らの大切な土地を5名の承諾を得ること無く、一方的に再開発の計画図面内に書き込むなどして精神的苦痛を与え続けています。幸い、5軒は何れも再開発ビルの建設予定地からは外れているため、この機会に住友不動産に対し、その様な行為を辞めると共に、彼らの土地が再開発の対象区域外となることの確認を求めています。再開発に断固として関わりを持ちたくない地権者の「財産権」や「人権」を住友不動産はどのように扱うのか? 再開発を主導する事業者として地権者の意思を尊重するのか、或いは無視するのか?各地の住友再開発の地権者団体もこの問題には大きな関心を寄せています。

6.住友不動産がコンプライアンス等の行動指針を遵守することの再確認

住友不動産は400年の歴史を誇る「住友の事業精神」を踏まえる形で、社内の全役職員に対し「コンプライアンスの遵守」を求めており、その具体的指針として「法令、社内規則、社会常識、倫理に基づいた事業活動を行うこと」と定めています。更に行動指針は「地域社会との信頼関係の持続が不可欠」とも定めています。
私たちは住友不動産が社員に対し制定した行動指針を高く評価しています。
何故なら、地権者側が住友不動産に対して求めている「地権者に対する公平・公正、且つ客観性・透明性を持った形での事業活動の要求」と概ね一致するからです。 従い、住友不動産による上記行動指針の再確認を求めています。

まとめ

以上が4/30付書簡の概要ですが、質問事項の多くは泉岳寺だけでなく
全国の住友再開発の地権者の皆さまにも共通の問題
ですので、是非とも注視して頂きたいと思います。

再開発は地権者が自らの発意と合意に基づき、事業リスクを負いながら共同で進めてゆく事業です。地権者側が事業リスクを背負う以上、地権者個々人が理解し納得できる条件提示がなされぬ限り安易に再開発に同意すべきではありません。

再開発も不動産取引です。従い、事業者側は地権者に対し「街づくりのために協力してほしい」、「詳しいことは再開発の進行と共に決めて行くので先ずは同意を」、「今は口頭でしかお約束出来ません」などと言った曖昧な説明はすべきではありません。
再開発が地権者の利益になるとの確証があるのなら、地権者の質問や要望に率直に答え、抽象的な形ではなく、具体的にそれらを書面にて提示すると言うのが事業者の役割であり責務です。

泉岳寺の「準備組合」がもはや「地権者の、地権者による、地権者のための公平・公正、且つ透明性を持った組織」ではないことが、「区への情報公開請求」や「仲見世住宅疑惑」等で明らかとなった以上、再開発問題を問う相手先は住友不動産しかいません。
住友不動産は「準備組合」とは異なり、業界の大手企業として信用も実績もある先です。その住友不動産が地権者に対しどのような返答をしてくるのか?
全国の住友再開発の地権者の皆さまにも共通する問題だけに、多くの方々が住友不動産の「返答」には高い関心を持たれておられるのではないでしょうか?

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