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(21) 再開発事業の実態はこれだ!(その2)

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●前項では大都市圏で行われている保留床を伴う再開発事業の実態は「ビルの大半を事業者が独り占めしようとする地上げ事業」であるとお伝えしました。

●再開発は地権者が供出する土地があってこそ実現出来る事業です。大都市圏では再開発ビルの床面積の8割を事業者が取り(保留床)、地権者の取り分(権利床)は僅か「2割」との客観的な調査結果もでています。

●事業者が増床分を独り占めする実態が地権者に知れ渡れば、当然再開発に同意しない地権者が増えます。ですから事業者は「あなたの資産は○億円です」とか「タダで新築マンションに住めますよ」と言った話題で地権者の関心を新たな床から生まれる巨額の不動産価値には目を向けさせないようにして再開発を進めて行きます。つまり、「再開発によって新たに生まれる儲けの全体像」や「収益構造」については触れない。いや「触れて欲しくない」のです。
(「木を見せて森を見せない」とはこのことを言います)

再開発は不動産会社が確実に儲けることが出来る事業だということを今ここで再認識して下さい!

その理由は数えきれぬほどあります。先ず、業者は再開発申請により行政から容積率を緩和して貰い、延床面積を増床させることが出来ます。更に行政から多額の補助金まで貰えるのです。言うまでもなく補助金は我々の税金です。一方、地権者に対しては資産を(再開発後の評価額ではなく)現在価値にて評価し、これを「等価交換」と称して地上げして行きます。移転費用等の諸経費は別として地権者が貰える分は原則これだけです。しかも現在価値(=再開発前の低い地価)で土地を地権者から巻き上げるのです。事業者は更に容積率の緩和により創出された再開発ビルの増床分も手中に収めます。

「8割が保留床(=事業者取り分)で2割が権利床(=地権者取り分)」との大都市圏での調査結果はまさにこのことを証明しています。

戸建て地権者にとり条件は更に過酷で、土地を失い、それがマンションや事務所・店舗の床と言う減価償却資産に変わります。「等価交換」と言ってもそれは入居の際の「その瞬間が等価」だと言うだけで、以後、資産価値は年々毀損して行きます。マンション地権者の場合も、所有形態こそ変化しませんが、例え無償で新居へ移り住めたとしても、以後、高騰する「管理費」や「修繕積立金」、「固定資産税」等にどう対処して行くかと言う課題が残ります。

年金生活者に取ってはまさに死活問題です。

地権者がこれだけ苦労を余儀なくされるのに、事業者は地権者の犠牲の下に「濡れ手に粟」で確実に収益を上げて行く。それが再開発の実態なのです。

私たちは決して不動産会社が儲けることに反対しているのではありません。

彼らは営利目的の企業ですから儲けて当然です。

しかし、私たち地権者の犠牲の下で事業者だけが儲けることは許しません。

再開発は地権者が供出する土地があってこそ実現出来る事業です。

その様な性格の事業である以上、再開発でもたらされる「新たな資産価値」の一部は私たち地権者へも還元されるべきではないでしょうか?「地権者へは現在の資産価値相当分を等価で保証します」では到底納得できません。

●例えば、「10階建てのマンション」が再開発で「40階建てのビル」に建て変わるとします。すると今まで空間だった部分(即ち11階~40階)に30階分もの新たな「床」が創造されるのです。この新たな「床」スペースを全て事業者が独り占めしてしまって良いのでしょうか?

再開発は地権者が供出する土地があってこそ実現出来る事業ですので、事業者が納得行く説明をしない限り、地権者側も再開発へは同意しない。ただそれだけの話です。

事業者はなかなかこのような説明をしようとしません。都合の悪い話はしたくはないのでしょう。地権者の無知につけ込み、「同意書さえ取ってしまえば勝ち」だとでも思っていたのでしょうか?しかしそれは全くフェアではありません。

実態を知ってしまった以上、地権者側に急ぐ必要などありません。事業者に急かされても「同意」する必要も義務もないのです。先ずは事業者からの納得行く説明を受けたあと、「総合的に判断して決める」の姿勢で良いのです。

●さて、皆さまには「木」を見ると同時に「森」を見ることの重要さもお分かり頂けたでしょうか?幸い、泉岳寺ではまだ再開発は何も決まっていません。単に民間事業者が「再開発をやりたい」として地権者から同意書を取り付けようとしている段階に過ぎません。だからこそ、この問題が今後どう展開して行くのか、全国の皆さまに実況中継して参りますので、是非とも関心を持って見守って頂きたいと思います。

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