2018年3月、まだ初期の頃の話です。
地元地権者を集めた再開発説明会があり、100名ほどの地権者が出席しました。その席上、事業者側から「再開発を進めたい。詳しい条件は後日決めさせて貰うとして、先ずは都市計画提案への地権者の同意がほしい」との要請がありました。その際、「既に80%の地権者が準備組合に加盟している」との説明がなされたため、「もう殆どの地権者が再開発への同意を決めているのか。再開発の流れには逆らえないのか」と多くの出席者が感じたことと思います。
しかし、説明会の終盤に行われた質疑応答で地権者側から出てきたのは再開発への疑問を呈する質問ばかり。肌感覚では当日の出席者の圧倒的多数が事業者側の説明には納得をしていない様子でした。
どう考えても「既に80%が加入」なる説明とは大きなギャップを感じたため、後日事業者側に尋ねてみました。彼らの説明はこうでした。「区域内の地権者は260人いる。このうち区分所有のマンションが5棟あり230人を占めるが、マンションを全体として1人と計算すると合計32人の地権者がいることになり、この計算で行くと準備組合への加入率は80%程度となる」との説明でした。
世間一般の感覚とは異なる説明でしたが、彼らは80%が「加入した」と言ったが、再開発に「賛成した」とは言っていない。だから間違いではないのです。しかし私たち地権者側から見ると、このような算出方法には違和感があり、またこのような算出方法に関する事前説明もないまま「80%」と言う数字を持ち出されると、地権者が賛成の方向に誘導されてしまう懸念もあります。
このような説明のしかたは極めて巧みでありフェアではありません。
地権者としては注意が必要です。