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(268)業者に「誤った説明」をさせないためには…(要約)

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トピックス(267)を公開したところ、閲覧者から「全くその通りだ」、「当地区でも同じことが行われている」と言ったコメントが多数寄せられました。
地権者にとり大変重要な部分ですので、前トピックスで報じたポイントの「要約」を簡潔明瞭に纏めてみました。

 

Contents
1. 地権者が忘れてはならないこと
2. 不動産鑑定士による誘導にはご注意
3. 業者は鑑定士を都合よく利用している?
4. 地権者側の対策
5. まとめ

地権者が忘れてはならないこと

*それは「従前評価方針」、「保留床単価」、「増床ルール」等の基本事項の決定権はあくまでも組合側(=地権者側)にあると言う点。
*従い、組合と利益相反関係にある開発業者が決めるものではない。
*但し、「保留床単価」に関しては、再開発業者の保留床購入に関係するため、組合が業者側と事前協議し同意を得た上で組合が最終決定。

不動産鑑定士による誘導にはご注意!

*不動産鑑定士は国家資格であり、その裁量範囲も多岐にわたるが、問題は「誰が依頼者か?」で鑑定評価も大きく変わり得る点にある。
*再開発業者が実質支配する組合では、開発業者寄りの鑑定士が特命採用されるケースが多い。そのようにして採用された鑑定士は地権者に不利な評価を行うので要注意。
*地権者側でも独自に不動産鑑定士を起用し、別途鑑定を依頼することも有効。

業者は鑑定士を都合よく利用している?

開発利益の独占を狙う再開発業者は地権者に向け「3本の矢」、即ち、
1. 「開発利益なしの従前評価方針」
2. 「激安保留床単価」の既成事実化
3. 地権者に対する「増床制限」
の3本を放つが、何れも「地権者主体」と言う再開発の原則から逸脱した説明であることから、地権者側から議論を挑まれると論破できない。
そこで業者側は国家資格の鑑定士に説明させることで、あたかも主張が正しいかの印象操作を地権者へ与えようとするので地権者は要注意。

地権者側の対策

*鑑定士の業務範囲を限定し、地権者側が計算式やルールを事前に決めることで鑑定士の操作余地をなくすことが望まれる。(注1)

(注1) 例えば、
従前評価額=(保留床単価×総専有面積)-事業費とする
保留床単価=近隣相場×70〜80%とする
と言ったように組合側が先に算定ルールを決めてしまい、鑑定士はその枠組みの範囲内で業務に専念させる(=操作余地をなくす)等が重要。

*また不審な説明は常に「書面で提出させる」ことを徹底させることで検証可能にし、地権者に不利となる安易な誘導説明の防止に努める。

まとめ

*再開発業者にとり「鑑定士」は地権者を欺くために都合よい道具となり得るため、逆に地権者側としては鑑定士の業務範囲を最小限に絞ることが防御策となる。
*何より重要なのは「公平・公正・透明性ある計画推進」を徹底追及する姿勢。
*そして「自身で理解し納得しない限り同意しない」姿勢を貫くこと。
一定割合の同意がなければ再開発は成立しないため、これが地権者
にとっての最大の武器となる。

以上、地権者の皆さまの参考となれば嬉しい限りです。

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