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(74)同意書さえ取ればやりたい放題?

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「同意書に捺印された皆さまへ」なる表題の会報が先日、泉岳寺「地権者の会」から地元地権者へ配布されましたので、以下に添付します。
泉岳寺では3年前に住友不動産(準備組合)による都市計画決定に向けての「同意書」の取付け活動が開始されましたが、3年が経過した今も「同意書」は必要数が集まっておらず、「都市計画決定」は実行されていません。
時間の経過と共に地権者側も徐々に知識知恵を身につけ問題点をも認識するようになり、再開発への同意を保留するようになったからです。

では3年の間に泉岳寺では何が起こったか?

会報はこのことを詳しく報じていますので、先ずはじっくりとお読み下さい。

【添付】 

2021.3.26

「地権者の会」会報 (99) 

同意書へ捺印された皆さまへ

皆さま、3年前のことを覚えていますか?
2018年3月に住友不動産(準備組合)主催の全体説明会が開催されその直後からまだ再開発の知識に乏しい私たちに対して準備組合による連日の個別訪問形式による「同意書」集めが始まったことを。
「地権者の皆さまが主体」だとされる準備組合。たしかに役員の大多数は町内の人たちで構成されています。それなのに、連日のように同意を求めて自宅へやって来るのは見たこともない背広姿の業者の人たちばかり。強引さも目立ち、不安で警察へ相談に行った地権者もおられ、準備組合理事長名で詫び状が発行されたこともありました。まだ知識に乏しく、心の準備すら出来ていない私たちを相手に、連日、個別訪問だと称して住戸を訪れ、具体的な条件を確約するでもなく、「無償で新築のマンションに移り住める」と言った甘い言葉でひたすら再開発への同意を求めようとしたそのやり方はどう考えてもフェアとは言えません。素人相手にプロの集団が押しかければ結果は明らかだからです。
今も全国各地で同じことが繰り返されているのかと思うと心が痛みます。
彼らの並ならぬ熱意(=強引さ)に根負けして、「自己の資産」や「将来の生活」についての理解も充分出来ないまま「同意書」へ捺印してしまった方も多かったのではないでしょうか?

あれから3年…

皆さまが捺印されたあの時の「同意書」をいま一度見返してみて下さい。今ならそれが事業者へ資産の処分を任せる「白紙委任状」に近い内容であることがわかる筈です。捺印時にそのことは認識されていましたでしょうか?

あれから3年…

住友不動産側は、住戸の半数が「全く陽の当たらない」地権者棟案を提示してきました。誰も「陽の当たらない住戸」などに住みたいとは思いません。
捺印当時、そのような住宅が将来提案されることを予期していましたか?
また準備組合の地元役員の多くには別途「陽当たりの良い住宅」が用意されており、「地権者棟には入居しない」という事実をご存じでしたでしょうか?

あれから3年…

住友不動産側は、なんと「区域外の費用」まで地権者に負担させようとする「歩行者デッキ」構想を提案してきました。区域外の費用まで負担させられたら地権者はたまったものではありません。事業費が膨らめば、その分地権者が貰える床面積が減少しかねません。捺印された当時、地権者を軽視したこのような提案が行われることを予測出来ていましたか?

あれから3年…

「再開発ビル」を建てたとしても、万一「保留床」が売れず損失が発生すれば、地権者が共同で損失負担を行うことになります。そのことを捺印の際、事業者側から知らされていたでしょうか?住友不動産(準備組合)は「住友不動産が保留床を買うのだから問題は無い」と口頭では何度も明言していますが、彼らは今もその客観的証拠を示して来ません。

さて、既に「同意書」へ捺印してしまった皆さま…

「話が違う!」、「あまりにも理不尽だ!」と住友不動産側へ抗議したところであとの祭りかも知れません。何故だかおわかりですか?
それは皆さまが捺印された同意書は「すべてを事業者に任せる」と言う内容だからです。彼らに言わせれば「今さら文句を言われる筋合いは無い」となります。

まとめ

同意書さえ取ってしまえばあとはやりたい放題?

そう思わざるを得ないほど地権者に不利な施策が次々と提案されています。
同意書の内容が「すべてを事業者に任せる」である以上文句も言えません。
再開発も不動産取引です。自己の資産と生活再建についての詳細を書面で確認しないまま安易にハンコを押しすべてを事業者任せにすることの恐ろしさがここにあります。

あれから3年…

都市計画決定は今も実行されていません。同意が集まらないからです。
今でさえ地権者には受け入れがたい提案が次々と出て来ていますので、今後「都市計画決定」が実行されれば、更に厳しい提案がなされる懸念があります。
将来「こんな筈ではなかった」と後悔しないためにも、私たちは「自己の資産」と「生活再建」についてしっかりと事前に書面で確約を貰い、自身で納得した上で「同意」を行うべきではないでしょうか?それが本来の不動産取引です。
「詳しい条件は徐々に決まって行きます」、「法令に基づき決定致します」、
「再開発とはそういうものです」と言ったセールストークを信じてはいけません。
後日「言った」、「言わない」で揉めないためにもしっかりと住友不動産から書面で確約を取付け、自身で理解し納得した上で同意書へ捺印すべきです。
少しでも「迷い」がある間は決して同意すべきではありません。
既に「同意書」へ捺印してしまった皆さまは、この機会を捉え、もう一度「同意」したことの意味について再考頂ければと思います。

【関係先ホームページ】 https://www.sengakujihumanrights.com/  

【最後に…】

事業者側はやりたい放題?

同意書は最初から「すべてを事業者に任せる」と言った地権者に著しく不利な内容です。このため一旦捺印して提出してしまうと再開発事業者側は後日地権者が「こんな筈ではなかった!」と文句を言ったところで、住友不動産側からすれば「今さら文句を言われる筋合いは無い」となります。(詳細はトピックス(42)これが同意書の正体だ!(その1)をご参照下さい)

そのことを知ってか、地権者から見れば「やりたい放題」とも思える提案が3年が経過したいま、住友不動産側によりなされるようになって来ました。
まだ「都市計画決定」の実行前だと言うのにです…

各地の住友再開発でお悩みの地権者の皆さま!
住友不動産の手法はどの再開発現場でもほぼ同じです。
泉岳寺で起きたことは皆さまの地元でも起きる可能性があります。
自らの資産を守るため、そして将来後悔しないためにも、
是非とも泉岳寺で起きていることを参考として頂ければ幸いです。

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