引き続き「1票の格差」についてです。
マンション地権者は「1棟全体で1人」と見做すルール。このルールがいかに不平等で且つ不当であるかを以下にわかりやすくご説明します。
例えば、再開発区域内に100人の地権者がいて、その構成は「4軒の戸建住宅と96人の区分所有者が住む1棟のマンション」で構成されていたとします。
事業者側のルールに従えば、マンションは「1棟で1人」ですから地権者総数は100人ではなく5人となります。このケースでは、例え96人のマンション地権者全員が再開発に反対したとしても、4人の戸建て地権者が賛成すれば「5人中4人が賛成」、即ち「8割の地権者同意」が成立してしまいます。
実際には100人中96人が反対(反対率96%)だと言うのに「8割が賛成」したとされて「都市計画決定」(=法律による地域全体への網掛け)が実行されてしまうのです。
事業者側にとり、これほど都合の良いルールはありません。マンション地権者のことなど気にかけることなく、僅か4人の戸建て地権者の説得に成功すれば8割同意が得られて再開発を進められるのですから。
そんなバカな話はないとお思いでしょうが、これが泉岳寺で事業者が進めようとしている再開発のルールなのです。
このように事業者側は、地権者が再開発の知識に疎いことを知ってか、自分たちにとり都合の良いルールを押しつけて来る傾向があります。
不公平だと申し出ても、「このように決めました」とか「他でもこのルールでやっています」とか言われます。しかし、実際には都市計画決定において「同意率」の計算方法に関する法的規定はありません。存在しないのです!
事業者はこの事実を知っています。地権者の多くはそこまでは知り得ません。本来は事業者がしっかりとルールを説明し地権者の了解を取るべきなのです。
しかし彼等は地権者の了解を取ろうとはせず、自分たちに都合の良いルールを一方的に押しつけてくるのです。
フェアではありません。
マンション地権者の皆さん!
平等の原則、そして財産権や人権にも関わる重要な問題にも関わらず、自らの意思が反映されないまま法の網が被せられてしまっても良いのでしょうか?
一旦、「都市計画決定」が実行されてしまうとなかなか撤回は出来ません。
後日、「こんな筈ではなかった」と気がついても手遅れなのです。
それだけに地権者側も日ごろから勉強をして、事業者側から決して不平等な扱いを受けないよう気を付けねばなりません。
自分の資産は自分で守るしかありません。黙っていても誰も助けてはくれません。「1票の格差」を是正するかしないかはマンション地権者の皆さまご自身の判断となります。