TOP_Topics 再開発、ここに注意

(10)謎の「モデル権利変換書」

投稿日:

「モデル権利変換書」は、地権者の大切な資産に関し、現在評価額(従前評価額)が、従後(再開発後)にどのように変換されるのかを示したもの。

資産評価額に係る書類であるだけにある意味、地権者が最も関心を示す書類です。しかし、泉岳寺で配られた「モデル権利変換書」、実は以下の2つの問題を抱えています。

事業者側が「モデル権利変換書」を「都市計画決定への同意書」とセットで配布したこと。

同意書はあくまでも都市計画決定手続きに入るか否かの地権者同意を問うものですが、これが「モデル権利変換書」と一緒に配られたことにより、同意書本来の目的が希釈され、あたかも「資産額とその変換率について同意するかの問題である」との誤解を地権者へ与えた可能性があります。都市計画決定への同意欲しさに、その誘因として地権者にとり関心の高い「モデル権利変換書」が意図的にセットで配られたとも考えられますが、もし事実だとすれば不適切・不公正な手法であり容認することはできません。

「モデル権利変換書」それ自体が出所不明の怪文書であること。

モデル権利変換書には地権者の従前資産額や従後の変換内容が細かく数字で記載されているものの、よく見ると、作成企業名の記載は無く責任者印もない。つまり誰が作成したかも不明な1枚の紙切れに過ぎません。

世間で言う「絵に描いた餅」です。出所不明の書類ですから、後日地権者が「こんな筈ではなかった」と裁判所に訴えても証拠になるか分かりません。事業者はこのような何の責任も生じることの無い紙切れを見せつつ「再開発への同意」を地権者へ要求してくるのですから尋常ではありません。

事業者は知名度の高い企業を中心に構成されています。そのような先が社名の記載すらない書類を見せて地権者から再開発への同意を取り付けようとしたのですから極めて不適切であると言わざるを得ません。
いったい事業者側のコンプライアンスはどうなっているのでしょうか?

(因みに、種々の問題点を事業者へ提起しても彼らは「自分たちは事業協力者であり、事業者ではない。事業者は準備組合だ」と説明するでしょう。しかし、どのように釈明しようと事実上の事業者が誰であるかは皆が知っています。仮に準備組合名が記され理事長印が押されていたところで、あまり意味がありません。そもそも業歴も信用も資金力も無く、再開発全体を統括した経験すら持たぬ理事ばかりで構成される準備組合に地権者の大切な資産を託すことなど到底できません)

このように再開発には地権者が気をつけなければならない「落とし穴」が数多く存在します。これらは「違法」とまでは言えませんが「不適切」です。地権者側もしっかり勉強をして知識を身に付けないと後で後悔することになりかねません。

何かわからないことがあれば、家族や友人、ご近所、そして専門家の方々へ相談して下さい。そして一番大切なことは、自分が理解し納得しない限り決して同意書にハンコは押さないと言うことです!

-TOP_Topics, 再開発、ここに注意

関連記事

(147)準備組合は「正確な情報発信」を!

準備組合はなぜ「自分たちが常に正しい!」のか? 住友不動産が首都圏各地で深く関与する「準備組合」には共通点があることが各地の団体との意見交換でわかってきました。 それは、地元地権者が問題点を指摘しても …

(73)これが同意書の正体だ!(その2)

不平等な「同意書」を正当化するための新たな手口? 本トピックスは(42)これが同意書の正体だ!(その1)からの続きです。 住友不動産(準備組合)が地権者に対して捺印するよう求めている「都市計画決定への …

(86)仲見世優遇住宅疑惑

本トピックスは(84)疑惑へと発展か?(その3)からの続きです。 「準備組合離れ」の始まりか? 「仲見世優遇住宅」疑惑で2ヶ月以上も沈黙を続け、結局、説明責任を果たさなかった「準備組合」に対し、遂に住 …

(121)高齢者はつらいよ(その2)

高齢者にとり「再開発は障害だらけ」! 本トピックスは(117)高齢者はつらいよからの続きです。 高齢シニア世代の地権者が抱える問題や悩みを、引続き「会話方式」にて取り上げてまいります。 Aさん再開発の …

(105)「数字の演出」にはご注意あれ(その2)

本トピックスは(104)「数字の演出」にはご注意あれの続編です。 区内各地の住民団体が団結し、港区長へ調査を申し入れました! 再開発事業者は果たして、公平・公正、且つ透明性を持った再開発事業の推進を行 …