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(12)再開発に同意するとは(マンション地権者編)

投稿日:2019年11月27日

区分所有マンションをお持ちの地権者の皆さん!皆さんは、事業者による「再開発なら皆さん持ち出しなしで新築マンションに住めますよ」の一言に心を動かされそうになりませんでしたか? たしかに老朽化したマンションにお住いの方々は、新築の地権者棟へ出費無しで移り住めるわけですから、それ自体は決して悪い話ではありません。それに土地の権利を手放してマンションへ移り住む戸建て住宅の地権者と異なり、マンション地権者の場合は「マンションからマンション」への移転ですから抵抗も少ない筈。

しかしご注意ください!

世の中には「うまい話には裏がある」とか「タダほど高いものはない」と言った格言がありますが、ここでも事業者があまり話したがらない事情が潜んでいます。

取り敢えず主な2点をご説明します。

移転後は居住面積が狭くなる可能性があること
一つの懸念事項は、新居では居住面積が狭くなる可能性があると言う点です。 但し、これはマンションごと、地権者ごとのケースバイケースで決まりますので、必ず狭くなると言うわけではありませんし、逆に広くなるケースもあり得ます。
しかし、泉岳寺で配布された「モデル権利変換書」を分析した結果では、マンション地権者の約7割が現在よりも狭い面積しか割り当てられないことが判明しました。 区域内にある某マンションでは床面積が40m2前後の住戸も多数あり、今以上に狭くなると生活が成り立たなくなると言った声も出ています。(5)謎の「モデル権利変換書」でも説明しましたが、作成企業名や責任者印もなく、一体誰が作成したかもわからない「モデル権利変換書」ですら今よりも狭い面積しか提供できないことを明記しているのですから、実際の権利変換時に取得できる面積がどうなるかは推して知るべしです。

移転後に果たして生活再建ができるのか不安が残ること
老朽化したマンションから新築の地権者棟へ移り住むわけですから、それ自体は悪い話ではありませんし、事業者は盛んにこの点を強調してきます。
しかし真の問題は果たして移転後に生活再建ができるのかと言う点です。
高騰する「管理費」と「修繕積立金」、更には新たな「固定資産税」を払いながら果たして生活再建が出来るのかと言う点です。
特に現在または将来「年金中心の生活設計」を想定されている地権者にとりこれは死活問題です。この点をしっかりと確認しないまま再開発への同意を行ってしまうと、将来後悔することになります。

表面上は費用負担なしで新築マンションの床が取得でき、一時的に資産価値が上がったように見えても、冷静に考えれば床面積は減り、確実に高くなる管理費、修繕積立金、固定資産税などを払い続けなければならない。もしそれが現実となれば、もはや新居での生活再建は困難となります。

上記の問題は過去に港区議会でも指摘がなされています。しかし一方で事業者があまり触れたがらない部分でもあるのです。

「タダほど高いものはない」と言う格言を肝に銘じておきましょう!

以上で問題点をご理解頂けましたでしょうか?

先ずは再開発への同意を行う前に、地権者の「資産」や「生活再建」が確実に保証されることを事業者から書面で取り付けておく必要があります。

これを怠ると、将来「こんな筈ではなかった」と後悔することになりかねません。

事業者が言う「取り敢えず同意を、詳細は後日に」などあり得ないのです。

同意書は「資産や生活を手放す契約書」だと思って下さい!

「再開発に同意する」とはそういうことなのです。

注)当ホームページで使用する「事業者」又は「開発事業者」の用語は、住友不動産の他、再開発推進に携わるコンサル、設計事務所、その他関係企業や個人を包括しています。

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