本トピックスは(109)虎ノ門でも同意者数の「水増し」が!からの続きです。
港区の求める「地権者同意率80%」が達成されたと見せかけるため、事業者側が意図的に土地の分筆を行い、同意者を増やしたのではとの疑いがかけられている「虎ノ門1丁目東地区」の事案。
朝日新聞も11/18付夕刊にてこの地区で起きていることを「突然オーナー増、賛否を左右」なる見出しで報じており、一般社会もこの件について知るところとなりました。
事実関係の検証は今も続けられているようですが、いずれにしても再開発への同意者を増やすため、再開発事業者の関連会社が所有する1筆の土地が、申請の直前に複数の土地へ「細切れ分筆」されるなど、倫理上は決してあってはならないことです。
「倫理」とは、「私たちの社会生活において、人として守るべき道理」のことを言います。もしこれが守られないとなれば、それこそ区内の再開発計画は、すべて最初から結論ありきの「出来レース」となりかねません。行政監督官庁である「港区」も、「同意」があったことを客観的に証明する書類を保管していなかった事実が明るみになる等、私たちが頼りとすべき行政機関にも「中立性」や「透明性」の点で不安があることもわかって来ました。
結局は自分たちで資産を守るしかない
このような状況を危惧した区内7つ住民団体が団結し、「不正は断じて許さない」との強い信念から、本年9月に「再開発・区民の会」を結成。相互間での情報共有や再開発手続等が公正、且つ透明性ある形で実施されているかの検証作業を開始しました。
そして同会では早速、港区長に対し、「虎ノ門1丁目東地区において区としてどのような処理がなされたのか」を問う書簡を送付し受理されました。(添付書簡を御参照下さい)
不当な再開発から自己の資産を守るには、結局は地権者同士が一致団結して積極的に行動を起こすしかないと言うのが「再開発・区民の会」のコンセンサスです。
今までは、「地域の問題は準備組合が聞き役となり地域内で解決して行く」ことが事業者側により推奨される傾向があったようですが、今後は「地域の問題」を狭い地域内に留めておくことはせず、広く社会へも公開して区民全体で「公平・公正、且つ透明性ある形」で解決して行こうと言う雰囲気が区内で芽生えつつあります。
再開発は、税金も投入される公共性の高い事業ですからこれは当然のことです。朝日新聞の実にタイムリーな報道とも相まって、この問題を広く区民が共有し始めたと言う意味では一歩前進ではないでしょうか?
各地の地権者の皆さまも、「事業者による不正行為は一切許さない」との強い決意のもと、地域住民間で団結されてみては如何でしょうか?
昔から「数は力なり」と言います。また「三人寄れば文殊の知恵」と言う言葉もあります。多くの知見が集まることで決して損はない筈です。
2021年11月19日
東京都港区長 武井雅昭 殿
港区へ公正で透明性ある再開発事業の
審査・手続を求める区民の会
(虎ノ門1丁目東地区市街地再開発)
都市計画決定に際しての不透明な処理に関する件
拝啓、貴所ますますご清祥の段大慶に存じます。
さて、頭書の再開発案件に就きましては、都市計画決定の申請時から事業者が同意率をかさ上げするため従前地を意図的に分筆したのではとの疑惑が持ち上がり、港区都市計画審議会の場においても議論がなされた結果、付帯意見付で決定がなされたと伺っております。
港区への確認願い
本事案に関しましては、当会が独自に調査した結果を以下に列記させて頂きますので、先ずは事実関係に付き区としてのご確認をお願いします。
1. 港区は都市計画決定の実行にあたり、「概ね80%の地権者同意」を取付けることを区内各現場の事業者へ指導している。
2. 港区は虎ノ門1丁目東地区で都市計画決定への申請がなされた際、「80%以上の地権者同意」があったことを確認している。
3. 港区はその同意率の数字を小数点1桁まで把握している。
4. 港区は同意を行った地権者の全員が「本人の意思」で同意したことを確認している。(即ち、同意を行っていない地権者が同意者に含まれている、或いは、家族など地権者本人ではない人物の確認を以て同意と見做している、と言った事例が存在しないことを区として確認している)
5. 港区は問題の「事業者側による従前地の分筆」に関し、それが1筆の土地を僅か4.5坪と言う狭小の土地に3分筆された事実を把握している。
6. 港区は、もし分筆が行われなかった場合、或いは上記4の確認が区として適切に行われていなかった場合、申請時における同意率が80%に達しない可能性があったことを認識している
都市計画決定申請受領後の区の処理に関する質問
法的要件は存在しないものの、港区は同意率が80%以上となったことを確認した上で都市計画決定を判断されたとお聞きしています。更にその同意率に関して港区は、例えば「83.6%」などと小数点1桁まで詳細に把握されたとお聞きしています。
然る処、私たち区民が区政情報公開制度を利用して地権者同意状況(具体的には、同意した人数、及び同意率の根拠となる同意書のすべての写し)の情報公開請求を行った際、区からの返答は「不存在」と言うものでした。
区は同意率を小数点まで詳細に把握していながら、その根拠となる同意書が不存在だとして公開しなかったのはどのような理由があってのことでしょうか?区が透明性ある区政を行っていることを区民へ示すためには、個人情報を黒塗りしてでも、同意書の写し、若しくはそれに準ずる客観的証拠書類を区民へ公開すべきだったのではないでしょうか?
私たち区民の懸念事項
私たちは、区内各地で進行中の再開発事業に深く関わる住民団体です。私たちの住む地域も何れ「都市計画決定」が実行される可能性があることから、今回、虎ノ門1丁目東地区で「同意率が不当にかさ上げされたのではないか」との疑念に関しては、深い関心を持って注目しております。
「地権者の同意率」は再開発事業の根幹をなす極めて重要な要素であるだけに、同意率が地権者に不透明なまま不当にかさ上げされたのではないかとの疑念は、区の都市計画審議会においても問題視され、付帯意見が付された上で決裁が下りたと伺っております。
このような事態にまで発展し乍ら、区には同意書の写しすら不存在だと言うのはいかにも不自然ではないでしょうか?
疑惑が生じた事案にも係わらず、監督官庁である港区には透明性を持って処理が行われたことを示す証拠が何ら残されていないとなれば、区の職員と事業者との間に癒着関係があったのではと勘ぐる区民が出て来ても不自然なことではありません。
区には同意率の算定が客観的に、且つ透明性を持って行われたことを具体的証拠と共に区民へ説明頂く責任があると存じます。
都市計画審議会で問題視され、付帯意見まで付された本事案を、区は真相を究明しないまま曖昧な形で終わらせるべきではありません。
仮にこのような形での「同意率の水増し」行為が各地で常態化すれば、区内のすべての再開発案件は事業者の思惑通りの「出来レース」となってしまいかねません。
区内にはこれから都市計画決定を迎えようとする再開発案件が多数存在することを区も再認識下さい。もし港区に公平・公正、且つ透明性ある審査・手続きを行って頂けないのであれば、今後、私たち区民、とりわけ再開発区域内に住む地権者が再開発事業に同意し協力する事は難しくなります。
区にはこの点にもご留意頂いた上で、区民が理解し納得できる説明を可及的速やかに書面にて当会へご返答頂きますようお願い申し上げます。
敬具
【署名者】
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