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(119)歴史から学ぶ「再開発の実態」

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本トピックスは(118)時代劇はお好きですか?の続きとしてお読みください。

歴史は繰り返す?

「歴史は繰り返す」と言う言葉があります。
人間の思考や行動パターンはいつの時代も変わらないことから、「過去に起きたことは後生において再び繰り返される」と言う格言です。
再開発事業は「難しいから」と言う理由で背を向けるべきではありません。
少しでも理解できるよう工夫をこらす必要があります。
その工夫の一つが、「過去の歴史から再開発を学ぶ」と言う手法です。
難解と言われる再開発も、「誰もがよく知る歴史上の出来事」と重ね合わせて考えることで、意外と簡単にその仕組みやカラクリが理解できることがあります。
一つの例を以下にご紹介します。

「戦時下の資源回収運動」から学ぶ再開発の実態

【戦時下の資源回収運動で起きたこと】

昭和の戦時下では、国を挙げての「資源回収運動」が展開されました。当時、軍需産業向けの金属資源が圧倒的に不足していたことから、市民が保有する各種金属類の供出が、「市民の自発性」を装う形で「半ば強制的」に行なわれたのです。しかも戦争末期に向けて資源不足は一層深刻さを増し、しまいには家庭における鍋・釜類の日常使用品まで供出を余儀なくされたそうです。
また、市民に資源を確実に供出させるため、国は「隣組」と言う実働部隊を各地で編成。その組織が「お国のため」と言う大義名分のもとで一般市民の本意とは裏腹に、あくまでも市民が「自発的に供出した」と言う形で各種金属資源を半ば強制的に供出させたのです。
「隣組」は、官の号令で編成された組織だけあり、表向きは「資源回収」や「食料配給」、「防空活動」と言った市民生活の基盤となる活動を担いながらも、裏では「住民の監視」や「思想の統制」を行なう役割も併せ持っていた由。

【再開発事業者の手法との共通点】

さて、このような歴史を知れば、当時行なわれた「資源回収」の手法が、再開発事業者が使う手法と酷似していることに気づかれる筈です。
具体的にどのように酷似しているのか?以下では「資源回収活動」で用いられた手法と対比させながら、再開発の手法を考えてみます。

1.資源の供出が、市民の自発性を装う形で半ば強制的に行なわれた
まさにこれは土地の供出が、地権者の自発性を装う形で半ば強制的に行なわれようとしている再開発事業と共通する手法だと言えないでしょうか?
再開発(第一種市街地再開発事業)は地権者が自らの発意と合意により自発的に進めて行く事業であるにも係わらず、実際には再開発事業者が最初から「再開発ありき」の姿勢で地権者に対し、あの手この手で執拗に再開発への同意を畳みかける(=半ば強制的に同意を迫る)と言う手法が各地で横行しています。「自発性を装う形で市民へ半ば強制する」と言う基本構造は今も昔も何ら変わっていません。まさに「歴史は繰り返す」です。

2.家庭における鍋・釜類の日常使用品まで供出を余儀なくされた
鍋や釜と言った家庭の日常使用品まで供出を余儀なくされると言うことは、生活を営むことが困難になることを意味します。このことは再開発において、権利変換後の生活再建が出来なくなる懸念とも共通するテーマです。
たとえ地権者が等価交換で再開発ビルの「床」を得たとしても、高騰する維持管理費を支払うことが出来なければ、生活再建は困難を極め、結局は新居から出て行かざるを得なくなるからです。
戦時中に鍋や釜と言った市民の日常使用品まで半ば強制的に供出させたことは無謀な施策でしたが、地権者の生活再建への保証を行なわぬまま、再開発を一方的に進めてしまおうとする再開発事業者の姿勢もまた同様に無謀だと言わざるを得ません。「歴史は繰り返す」です。

3.「隣組」と言う、官により作られた地元組織が各地で編成された
まさに「隣組」は、再開発事業者が主導する「準備組合」の姿そのものだと言えるのではないでしょうか?「隣組」は資源回収の実働部隊としての役割を担ったのに対し、「準備組合」も同意集めの実働部隊としての役割を担う点において両者は共通していると言えます。
「隣組」は裏では「住民の監視」や「思想の統制」を行なう役割も担っていました。「準備組合」に関しても、「どうも言動を監視されている気がしてならない」との意見を、再開発には否定的な地権者からよく耳にします。
市民を有形無形の圧力で従わせようとする手法は昔も今も変わらないようです。

4.「お国のため」と言う美辞麗句が語られた
再開発事業者や準備組合を正論で問い詰めて行くと、最後に彼らの口から出てくるのは「街づくりのために協力してほしい」と言う観念的な言葉です。
戦時中に語られた「お国のため」なる言葉が、再開発では「街づくりのため」なる言葉にみごとにすり替えられた形です。
「街づくりのため」は理念としては理解出来ます。反対する人はいないでしょう。しかし現代社会において「再開発」は立派な不動産取引の一つであり、戦時中とは市民の置かれた立場も権利も大きく異なります。不動産取引では、対価を含む詳細条件が決まらぬまま契約書へ捺印する当事者などいません。いくら「街づくりのために協力を」と懇願されたところで、篤志家でもない限り、自己の資産が具体的にどうなるかを曖昧にしたまま喜んで資産を供出する地権者など殆どいません。そのような状況にも係わらず、再開発事業者や準備組合は平然と「街づくりのため」と言う常套句を持ち出してくるのです。
いったいそれは何故なのか?
それは再開発の実態が「地権者の犠牲のもとではじめて成立する事業」であることと深く関連しています。
事業者側は地権者からこの点を理詰めで追求されると、次第に論破出来なくなって行き、結局最後は「街づくりのために協力してほしい」と言った観念的な回答しか出来なくなるからだと私たちは考えています。

まとめ

再開発事業は一般の地権者にはなかなか理解し難いと言う現実があります。しかしそれを「誰もがよく知る歴史上の出来事」と重ね合わせてみることで、意外にもその実態が見えて来ることがあります。
冒頭で紹介した「歴史は繰り返す」なる格言ですが、「失敗は繰り返される」と言い換えても良いかも知れません。
「過去の失敗から学ぶ」ことは地権者にとり極めて有意義です。何故な
ら過去の失敗に学ぶことで多くの「知識」や「知恵」が身につき、再開発事業の実態を自力で解明する力を培うことができるようになるからです。更に自身の「判断力」や「決断力」を培うことも出来るようにもなります。
是非ともそのような観点から再開発を見つめ直してみては如何でしょうか?

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