例え「手続き上は合法」だったとしても、
事業者が再開発を進めるために
同意者数の水増しを行うなど
決してあってはならないことです。
ましてや、その疑惑が生じたにも関わらず
行政が事業者の行為を疑問視せず
これを是認したとなれば
大問題です!
港区・虎ノ門1丁目東地区の再開発事業
で、この疑念が発生しました。
この件は、既に、(109)虎ノ門でも同意者数の「水増し」が!及び(110)虎ノ門でも同意者数の「水増し」が!(その2)でも報じていますが、本トピックスでは
行政監督官庁である港区の対応に焦点
を当てる形で、あらためてこの問題を検証して参ります。
都内港区にある「虎ノ門1丁目東地区」は住友不動産・日土地・URの3社が協同で再開発を進めようとしている地域です。ここでは昨年「都市計画決定」の申請に際して、港区が事業者に対して求める「地権者同意率80%」が達成されたと見せかけるため、「禁じ手」ともいわれる「土地の分筆」が事業者側により意図的に行われたのではとの疑惑が生じました!
いったい何が起きたのか?
あろうことか、申請前に
「1筆」の土地が「5筆」に分筆されたのです!
しかも分筆されたのは、
事業者側の企業が所有する土地でした!
分筆の結果、同意者数が5倍となり「同意率」がかさ上げされたのです。
分筆された土地の中には、
わずか20㎡と言う狭小な土地も複数ありました!
都心の超一等地に「20㎡」では建物は建ちません。
この行為に対し業者側は、
経営上の理由により分筆したなどと説明!
また都市計画審議会の席上でも、ある委員は、
地形が悪いから分筆したなる理屈は通らないと断言。
将来の土地の有効利用を考え「分筆」を行うのであればまだしも、再開発を前提とする側の人間が「形状に問題があるから分筆した」と説明すること自体に論理的矛盾があります。
以上からおわかりの通り、一般社会の常識をもってすれば、
何から何まで不自然なのです!
一方、これだけの疑惑にも係わらず、
港区は「法的に問題はない」との立場から是認
する姿勢に出ました。区民からすればまさに「不透明」な行政です。
しかも、区は都市計画審議会の席上で委員から「80%の同意があったことの説明」を求められると、当時の手島再開発担当課長は
「3日前に準備組合から新たに
同意者が2人増えたとの報告を受けた」
なる主旨の答弁をその場で行っています。(審議会議事録より)
手島氏が審議会の場で発した「新たな同意者の存在」は「実際には同意率は80%に達していなかった」事実を隠すための答弁であったと推測できないこともありません。
実際に、区はその後も「同意者が2名増加した」ことの根拠について詳細を開示していません。(このため区民からは「嘘だった可能性もある」との意見さえ出てきています。まさに区の「不透明」さがもたらした疑念だと言えます)
「同意率」が正しく算出されていることの開示は極めて重要です。
しかし、区はこれを行おうとしません。また区民からの強い要望にも関わらず、疑惑を晴らすための説明責任すら果たそうとしません。
これではまるで、
港区は業者を擁護している!
とも見做されかねず、行政監督官庁としてあるまじき対応です。
この不自然な分筆行為に対しては、地元地権者団体がいち早く問題提起を行いました。再開発を審議する区の「都市計画審議会」も分筆の件を問題視し、「事業推進に際しては分筆の事実に充分留意すべき」との付帯意見まで付けています。更には、区民で構成される「再開発・区民の会」も不自然な分筆行為を問題視。区の「都市計画決定」に際して「同意率が正しく計算された」ことを検証すべく、港区に対し区民が納得できる具体的、且つ客観的証拠の提示や説明を求めています。
これほど多くの組織や団体が問題視しているにも関わらず、
港区は問題に正面から向き合おうとしません!
検証しようともせず、様々な理由をつけて
証拠の提示すら拒んでいます。
港区は区民への説明責任を果たすべき!
第一種市街地再開発事業は「地権者が主体」となる事業である以上、「地権者の同意率」は、事業の根幹をなす重要な要素です。
今回の「水増し問題」に端を発して「同意率」の正当性が複数の組織や団体により疑問視されているにも係わらず、区はその検証さえ行おうとしません。
「区が確認したのだから区民はそれを信じてほしい」、「同意率は法的要件とはされていない」などと言う主張が万が一にも正当化されるようなことがあれば、それこそ
区内のすべての再開発案件は
区と事業者との協議で決まる「出来レース」
となりかねません。地権者として、区民として、そして一般社会としても決してこれを是認するわけには行きません。
区内7つの住民団体により組織される「再開発・区民の会」では、「不正は断じて許さない」との強い信念から、虎ノ門1丁目東地区で発覚した「水増し疑惑」の検証を始めており、多くの質問状を港区へ送付しています。
港区はこの問題に関して、公平・公正、且つ透明性ある区政を行っていることを広く社会へ示すためにも、直ちに区民が理解し納得できる形で説明責任を果たすべきです。
今後も全国の皆さまへ進捗状況をお伝えして参ります。