不安商法とは、その名の通り住民へ過度に不安を煽ることで契約を獲得しようとする不当な商いのやり方を言います。
不動産分野で「不安商法」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、悪徳な「シロアリ駆除業者」や「リフォーム業者」などです。
しかし最近、住友不動産が主導する再開発事業でも「不安商法」と酷似した手法で勧誘が行われ、地域住民とトラブルになっている地域があることが判明しました。
事実であれば許しがたい行為です。
皆さまの今後の参考のためにも詳細を以下にお伝えします。
どのような現場なのか?
現場は住友不動産が再開発を計画中の「三田五丁目西地区」(東京都港区)。ここはいわゆる「木密地域」と言われる、古くからの木造住宅が立ち並ぶ住宅街で、地権者の多くは戸建てに住む、現役を退かれたご高齢の土地所有者です。
住友不動産の社員たちは1年前から「準備組合」の名のもとに、この地で地権者に対し再開発への勧誘活動を続けています。
しかし、彼らの強引で一方的な手法に疑問を持つ地権者が多く、今も再開発に必要な「地権者同意」は集まっていません。
その様な状況下で今回の問題は起きました。
いったい何が起きたのか?
再開発が順調に進まない地域では事業者の「本性」が露呈し、時には「言動」や「態度」が豹変することさえあると言われます。
住友不動産が主導するこの再開発現場では、あろうことか準備組合は「木密地域」であることを逆手にとり、住民へ災害への不安を過度に煽ることで地権者たちを再開発へ誘導しようと工作を始めたのです。
地権者が主体である筈の「準備組合」が
その地権者を不安に陥れる行為に出たのです!
事実であれば許しがたい行為です。
もし、皆さんのところへ突然「準備組合」の名を語る住友不動産の社員がやって来て、
「あなたの住まいは災害時の危険性が特に高いエリアだ!」
「地震で倒壊の恐れがある」
「火災で延焼の恐れがある」
「水害の恐れがある」
だから早く再開発に応じるべきだ!などとまくし立てられたらどう感じられますか?
準備組合が発行する「まちづくりニュース」や、その他配布資料を読んでも、地震や火災など防災上の不安を過度に煽る記事が満載です。紙面ですからこれらは全て証拠として記録に残っています。
一例として以下の記事をご覧ください。
これは準備組合が発行した「まちづくりニュース」の一部ですが、冒頭で「〇〇地区は、老朽化した木造建物が密集しており、災害時の危険性が特に高いエリアとなっております。」などと記載されています。(下線の表現にご注目下さい!)
何が問題なのか?
この地域が真に「災害時の危険性が特に高いエリア」であれば何ら問題はありません。
しかし、それが「事実ではない」点に問題があります。
その「事実ではない」情報を流布することで地権者の不安を煽ろうとしたことに、住友再開発の本質的な問題があります。
実は東京都が行った「災害危険度調査」で、このエリアは「特に高い危険度は無い」ことが認定された地域だったのです!
調べてみて初めてわかった事実です!
因みに、東京都は都内の再開発事業の許認可権限を有する監督官庁です。その東京都が行った調査結果を住友不動産が知らない筈がなく、都の調査結果に一切触れることなく地域住民を不安に陥れようとした彼らの行為を見過ごすわけには行きません。
東京都は「三田五丁目」を対象に、災害危険度を「建物倒壊危険度」、「火災危険度」、「災害時活動困難度」、「総合危険度」の4項目に分け、それぞれの危険度を、最も高い「ランク5」から最も低い「ランク1」へと5段階評価していますが、何れの項目でも「三田五丁目」のランクは2~3の範囲であり、総合評価も「2」との結果でした。
尚、都内各所の災害危険度については東京都のホームページにてご確認下さい。
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/chousa_6/home.htm#project
日本経済新聞も本年3月4日付朝刊で、東京都が実施した「災害危険度調査」について報道しており、「都心3区(港、千代田、中央)で危険度ランクが4~5と判断された地域は1か所もなかった」と報じています。もちろん三田五丁目もこれに該当します。
さて、このような事実を
一般の地権者はほとんど知りません。
一方で、
住友不動産は業者ですから当然知っています。
「どうせ地権者は無知だから不安を煽ればどうにでもなる!」とでも考えたのでしょうか?私たちに真相はわかりません。しかし、実際に住友再開発の現場で、地権者に対し防災上の不安を過度に煽る行為が堂々と行われたことは事実です。
少なくとも地元住民はそのように認識し、認識したからこそ問題となっています。この事実を見過ごす訳には行きません!
まとめ
同意書が集まらないと知るや、防災面での不安を過度に煽り始めた住友再開発。
対象エリアが「木密地域」であることを逆手にとり、災害への不安を過度に煽ることで、地権者を再開発賛成へと誘導しようとした彼らの行為は、もし事実であれば言語道断です!
これが住友不動産と言う、業界大手の不動産業者が深く関与する再開発事業の中で平然と行われている行為なのかと思うと情けなくなります。
住友不動産もしたたかで、彼らの企業名は前面には出て来ません。しかし、単に「準備組合が勝手に行った行為だ」で済む問題ではないことを住友不動産は認識すべきです。
災害への不安を過度に煽ることで
地権者から再開発への同意を取り付けようとする。
もし事実だとすれば言語道断です!
全国の「木密地域」に住む地権者の皆さま!
これは決して「対岸の火事」ではないことをご認識下さい。
住友再開発の現場で起きた問題は、全国どの現場でも起きる可能性があります。
「明日は我が身」と心得て、決して油断することなく緊張感を持って対応されることが肝要なのではないでしょうか?
言うまでもありませんが、防災対策に「絶対安心」はありません!
「高危険度地域ではない」からと言って決して安心せず、日頃から災害への対策を怠らないことが何よりも大切です。
災害はいつも突然やってきます。まさに「備えあれば憂いなし」です。