「もし再開発計画が頓挫したらどうなるのか?」
当地区では再開発への勧誘開始から4年が経過した今も「地権者の同意」は集まらず、まだ「都市計画決定」にすら至っていません。
また、依然として多くの問題が未解決のまま山積した状態となっており解決の目途もたっていません。
このような現状を目の当たりにすれば、「再開発に否定的」な地権者が増えるのは当然で、最近では「再開発の頓挫」も巷で話題にのぼるようになってきました。
さて冒頭の「もし再開発計画が頓挫したらどうなるのか?」の回答ですが、本来ならば「昔の平和な生活が戻りますよ」と答えたいところです。しかし現実にはそう簡単には行かないようです。
準備組合加入者に膨大な金銭負担が発生?
とりわけ心配されるのは、準備組合が今まで費やした数億円とも言われる資金の精算をめぐり「準備組合加入者」に多額の金銭負担義務が生じるのでは?と言う懸念です。
何故そうなるのかを以下にご説明します。
準備組合の末路
準備組合と言う組織。法人格のない任意団体とは言え「解散して終わり」と言った単純な話では済まないようです。今まで費やした金の精算が生じるからです。
そもそも銀行から融資を受けることも出来ない任意団体が、数億円規模とも言われる多額の活動資金を一体どこから得て、何に使うのか? 使用した資金の返済はいつ誰がどのような形で行うのか?
準備組合へ加入する前に、この点をしっかり確認しておかないと、後日思わぬ出費を強いられる懸念が生じます。
因みに、当地区の準備組合は、事業協力者である住友不動産から数億円単位の資金を借り入れて運営を行っているようです。
住友不動産は「再開発」を目的に活動するデベロッパーです。
その様な企業から借金をすれば、「地権者主体の組織」を標榜する準備組合と言えども、住友不動産の顔色を見ながら運営せざるを得なくなります。当然、住友不動産の影響力は増して行きます。
「地権者が主体であるべき準備組合が、気が付けば住友不動産が牛耳る組織と化してしまっている!」
多くの地権者がそのようにコメントする理由の一つがここにあります。
準備組合側は「そんなことはない」と否定にかかるでしょうが、資金の提供者が強い発言力を持つことはビジネスの世界では常識です。
世間には「金がものを言う」と言う格言さえあるほどです。
準備組合はこのことを知りつつ資金を借り入れたのでしょうか?
さて再開発計画が頓挫するとなった場合、問題は数億円規模になると言われる準備組合の借入金返済を誰がどう行うかです。
借入契約の内容によっては準備組合加入者全員に返済義務が生じる可能性が出て来ます。それだけに地権者は準備組合への加入にあたり、「借入契約の内容」を知っておく必要があります。
準備組合は加入者を募集する際、「情報を得るためにも加入を」などと言って勧誘することが知られていますが、その際、彼らは果たして借入金の処理に関する説明をきちんと行っているのでしょうか?
もし準備組合がこの点の説明を怠り、地権者側もよく理解しないまま安易に準備組合へ加入してしまったとすれば、ある日突然、多額の資金返済を求められ「こんな筈ではなかった!」と狼狽することになりかねません。準備組合加入者はくれぐれもご注意下さい。
この問題に関しては、次トピックスで更に深く掘り下げて論じることとします。