事件は東京・港区の某再開発現場で起きました!
再開発組合理事会の席上で、事務局(=再開発事業者)側の不透明な「従前資産評価」や「保留床単価」の決め方を批判し、その是正を求めていた理事に対し、再開発事業者寄りの立場をとる別の理事(以下「加害者理事」と言う)が突然立ち上がり、その理事(以下「被害者理事」と言う)の両腕を強く握り椅子ごと押し倒した上、更に殴りかかろうとしたところを業者側の人間に羽交い絞めにされて取り押さえられたと言う事件です。
加害者理事は被害者理事に暴行を加えただけでなく、倒れた際に頭部を損傷させ、また勢いで隣に座っていた別の理事までをも押し倒してしまい、弾みで椅子2脚を壊し、さらに強制退場させられる際に被害者理事に対し「外で待っている」、「公園わきで待っている」と脅迫じみた捨てゼリフまで吐いています。
罪状で言えば、「暴行罪」、「傷害罪」、「器物破損」、そして「脅迫罪」にも該当し得る犯罪です。まさにこれは暴力による「言論の自由」の弾圧そのものであり、バブル期の不動産地上げの際に横行した反社会勢力による行為を想起せざるを得ません。驚いたことに、加害者理事はその筋の人間かと思いきや、なんと元警察官だったとの情報も届いています。
暴力事件を問題視した地元「再開発・区民の会」は、これを「対岸の火事」として見過ごすわけには行かないとして、6月16日付書簡にて港区長へ事件を報告すると共に区へ調査を依頼しました。
その書簡を本トピックスに添付しますのでご覧下さい。(注1)
区としても「ご意見として承った」ではすまされない内容ですので、今後、港区がどう対応するかに注目です。
今後更に「刑事告訴」や「民事訴訟」へと発展する可能性もあるため、
裁判等への影響も配慮し、個人情報の秘匿はもちろんのこと、再開発現場名や再開発事業者名もあえて非公開とさせて頂きましたので、この点お含み置き下さい。
事件は起こるべくして起こった?
当サイトでは、「従前資産」、「保留床単価」、「開発利益」、等の各場面で存在する再開発のカラクリや、再開発事業者が地権者に対して仕掛ける「手口」などを社会へ情報発信し続けています。
そのことも手伝ってか、いまや各地の再開発現場で地権者が再開発の「落とし穴」に気づき、行動をとり始めていると言った現実があります。
今回の暴力事件も、被害者理事が、まだ「従前資産」や「保留床単価」も確定していない段階なのに、なぜ権利変換を進めようとするのか?と、不明瞭な形で再開発を進めようとする事務局側へ「正論」で迫ったことが発端となったようです。
ではなぜ事件は「起るべくして起った」のか?
私たちは、以下2つの要因が作用したと考えています。
① 正論を持ち出されると論破できない再開発事業者側の裏事情。
② 傀儡化された組合内で起用される「知識に疎い素人理事」の弊害。
あくまでも想像ですが、被害者理事から「正論」による追及を受け、劣勢に立たされ曖昧な説明に終始し続ける事務局(=再開発事業者)の対応を見かねた「加害者理事」が、我慢しきれずに手を上げてしまったと言うのが実情ではないかと推測されます。加害者自身が再開発の本質を理解出来ていないため議論について行くことが出来ず、暴力をふるうことでしか、自らの思いをアピールする手段がなかった可能性があります。まさに素人理事を起用することの弊害が現れたケースだと言えます。(注2)
(詳しくは、(169)「準備組合支配の3要件」をご参照下さい。これはなにも準備組合だけでなく、「組合」においても言えることです。)
本当の責任は再開発事業者にあり!
如何なる理由があろうと暴力は決して許される行為ではありません。
もし暴力その他の不当な圧力により地権者の「言論の自由」が抑圧されるとなれば、それこそ再開発事業は最初から「出来レース」となりかねないからです。
ただ今回の暴行事件は単なる「地権者同士の争い」だとして片づけるわけには行きません。私たちはこれを、再開発事業者が必要な情報を正しく地権者側へ伝えなかった結果、起きてしまった事件だと認識しています。
各地では、再開発事業者の言動が原因で、長年仲良く暮らしてきた地元地権者たちが互いに「不和」となり、「争い」、そして「分断される」状況が散見されます。再開発事業者はこの現実を重く受け止めるべきです。
地元地権者が目指すのは新たな「街づくり」であって、互いに反目し合う「街壊し」ではありません。従い、地権者の「分断」を助長するような言動を平然と続ける再開発事業者は直ちに現場から退場すべきではないでしょうか? 地権者はしっかり再開発事業者を見ています!