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(190)再開発後に待ち受ける新たな地権者地獄(後編)

投稿日:2023年7月25日

触らぬ神に祟りなし!
「区域外構築物」で地権者は永遠に搾取され続ける?

そのような可能性が濃厚となって来ました。
トピックス(189)での前編に引き続き、後編でも住友不動産が進める「三田三・四丁目地区再開発事業」(以下「三田3」と言う)において再開発区域外に設置される「歩行者デッキ」を事例として取り上げます。

三田3の「再開発組合」は「歩行者デッキ」を建設して、これを港区へ「寄付」し、更に「エレベーター」も含め日常の清掃、管理、修繕、保守点検、将来の回収・更新までの費用の一切を負担すると港区に約束していることがわかりました。
(添付「維持管理契約書」をご参照下さい)
一方、再開発が終了すれば「再開発組合」は法律により解散します。契約当事者が解散となれば、いったい港区へ約束した維持管理費の支払いはどのように処理されるのか?

「維持管理費」の支払いは誰が引き継ぐ?

既に三田3では「再開発ビル」も「地権者棟」も完成し、再開発は最終段階に来ています。再開発が終われば、再開発組合は法律に基づき解散します。そうなると、再開発組合が背負った支払い義務はいったい誰に引き継がれるのか?
再開発組合が港区と締結した「維持管理契約書」(正式名称:田町駅西口周辺の歩行者デッキ等の維持管理に関する協定書)の「第6条」には以下のような記載があります。

第6条(承継)
乙(再開発組合)は、三田三・四丁目地区第一種市街地再開発事業により整備される施設建築物にかかる管理組合が設立された場合、本協定における乙の地位とそれに関する一切の権利、義務等を、当該管理組合に承継するものとする。

この条文が規定する「管理組合」とは「地権者棟に入居する区分所有者の『管理組合』」を意味すると思われます。
もしそうだとすれば大変なことです!
マンション住民にしてみれば、再開発が終わり権利変換で待望の地権者棟へ入居できたと言うのに、「歩行者デッキ」の維持管理費の支払いに今後も追われることになるのです。
しかも契約には、維持管理費の支払いにとどまらず「一切の権利、義務等を再開発組合から承継する」と記載されています。
「歩行者デッキ」はJR駅への動線上にあるため、多くの歩行者の利用が想定されることから傷みや劣化も早く、しかも契約にはエレベーターの維持管理費まで含まれています。更に国道をまたぐ大がかりな構築物ですから、事故などの不測の事態により、膨大な費用が発生する懸念もあります。
果たしてマンションの区分所有者たちは、そのような説明を事前に再開発組合から受け、了承していたのか?
また現実問題として彼らに債務の支払い能力はあるのか?
過度の負担で生活再建に支障をきたす懸念はないのか?
もしマンション管理組合が再開発組合の債務を引き継ぐとなれば、区分所有者たちにとってはまさに地獄です。
「再開発が終わる」どころか、今後も引き続き、再開発の「置き土産」によって「頭」を悩ませ、「ふところ」を痛めることになるからです。もちろん、そのような生活を誰も望んではいません。

問われる再開発組合の説明責任

果たして再開発組合は地権者棟へ入居する権利者たちに対し、港区との契約前に十分な説明と協議を行ったのか?
そしてそれに対し地権者たちは了承したのか?
ここは大変重要なポイントです。(注1)

(注1) 私たちが複数の地元地権者へ「歩行者デッキ」の契約書を見せた限りでは、誰もその事実を知りませんでした。「聞いたことも無い」と皆さん驚かれていました。何という事でしょう!

一般の株式会社でも株主に影響を与え得る重要事項に関しては、少なくとも会社側は株主総会などの場で必ず詳細説明を行います。一方、再開発組合の場合には、株式会社よりも組合員の地位ははるかに高く、組合が行う重要な行為には、都度、個々の組合員へ説明を行った上で同意を求めるのが筋です。
果たして三田3の再開発組合は、これを適切に行ったのか?
まさかとは思いますが、再開発組合側が十分な説明も議論も行わず、総会を形式的に開催することで、委任状ばかりの総会賛成多数で可決してしまった実態は無かったのか?
もしそのような状況だったとすれば、再開発組合は地権者棟へ入居する権利者たちを欺いたことにもなり兼ねません。(注2)

(注2) まだそうと決まった訳ではありません。何故なら再開発組合は今も地権者に対して何ら具体的な説明を行っていないからです。いまさら説明できないのかも知れません。何れにしても私たちの心配が杞憂に終わることを願うばかりです。

住友再開発の恐るべき「第三者管理方式」!

もし地権者棟の住民が真実を知れば当然反発が起きます!
そのことを知ってか、再開発組合は地権者棟の入居開始の僅か3か月前になってから突然、

地権者棟では通常の「理事会方式」を認めず
住友の関連会社による「第三者管理方式」を採用する

などと言い出し、これを強引に既成事実化しようとしたのです。地権者に考えるための十分な時間すら与えようとしない、極めて不誠実なやり方です。多くの区分所有者がこれに反発し、結局、今も「管理方式」は決まらぬまま、再開発組合と区分所有者たちとの間で駆け引きが続いています。(注3)(注4)

(注3) 現在、地権者棟では、約120名の区分所有者の内、既に40名が「理事会方式」の採用を求めて立ち上がりました。(再開発組合が個人情報を開示しようとしない中で40名もの賛同者が集まったことは注目に値すべきです) 一方、理事のなり手も二桁の人数が集まったそうです。
(注4) この騒動により、地権者棟では現在、管理規約のない管理組合が成立すると言った全国でも珍しい現象が起きています。「理事会」が存在しないため、何も決定することが出来ない状態が今も続いています。区分所有者たちが「理事会」を設立したくても、「第三者管理方式」に固執する再開発組合側は、個人情報を盾に区分所有者の名簿も開示しようとしないそうです。この異常事態をもたらしたのが再開発組合であることに疑いの余地はありません。既に地権者棟では区分所有者で構成される「管理組合」が区分所有法により形成している以上、再開発組合はもはや外部団体であり、「住民の自治」に横やりを入れるべきではないのではないでしょうか?

因みに、マンション管理は住民の自治が大原則です。
一方で「第三者管理方式」と言うのは、住民代表により構成される「理事会方式」を否定(=区分所有者の発言力を形骸化)し、これにとって代わる方式です。従い、この方式は一般的には老朽化したマンションで「理事のなり手がいない」と言った場合などにやむを得ず第三者へ管理全体を委託する方式です。
新築マンションで理事候補者が多数いるにもかかわらず、「第三者管理方式」を採用することは、マンションの「住民自治の原則」にも反する行為であり違和感があると言わざるを得ません。
推測ですが、再開発組合側の意図は、「第三者管理方式」に持ち込むことで区分所有者の反発を予め力で抑え込み、「歩行者デッキ」の維持管理費を半ば強制的に地権者棟の区分所有者たちから取り立てることにあるのでしょう。しかもその「第三者」には住友不動産の関連会社がなると言うのですから組合側の意図が見えてしまいます。

再開発の終了後も住友は地権者を支配し続ける。
これではまるで「終戦後の進駐軍」と同じだ!

と嘆く住民まで出てきています。

皆さま、これが住友再開発の正体です!

まさに「地権者にとっては地獄」だとも言えます。(注5)

(注5) 現時点ではあくまでも懸念であり、まだそうと決まった訳ではありません。何故なら再開発組合は今も地権者に対して何ら具体的な説明を行っていないからです。もちろん私たちの心配が杞憂に終われば良いのですが、一方で、住友不動産が全国各地で展開する再開発事業でも各所で「区域外構築物」の提案が行われている実態が判明したため、私たちは、その維持管理費の負担先として、三田3の地権者棟の住民たちが今後どのような扱いを受けるのかに注目し、結果を各地の皆さまへ情報発信してまいります。

まとめ

世の中には「触らぬ神に祟りなし」と言うことわざがあります。
まさに「区域外構築物」の設置話にはこの言葉がぴったりかも知れません。
設置を許したばかりに再開発の「置き土産」を拾わされ、再開発終了後も長期にわたり費用負担の義務を負わされる。
しかも支払いを確実にするため、地権者棟の入居者たちは「第三者管理方式」により、本来の発言権を奪われた上、住友不動産側から管理され続ける。もしそれが現実となれば地権者はたまったものではありません。まさに地獄絵です。
トピックス(189)で「区域外の構築物」への注意喚起を全国へ促したところ、各地の住友再開発の現場から多くの情報が寄せられました。
中には「住友不動産が某JR駅の改札口増設まで計画している」と言った驚く情報まで舞い込んできました!
「JR駅の改札口」となれば、維持管理費用も「歩行者デッキ」の比ではありません。
住友再開発では、地権者へ正しい情報が提供されず、議論も行われぬまま、粛々と事業が進められる懸念がありますので皆さまご注意ください!
決して「無知」、「無関心」、「他人任せ」であってはなりません。
「黙認」もご法度です。不当行為には恐れず声を上げて下さい。

「区域外の構築物設置」で潤うのは再開発事業者です。
その裏で、再開発終了後も費用の支払いに苦しむ地権者たち。そのような再開発など、私たちは見たくもなければ考えたくもありません!

【追記】
尚、「第三者管理方式」の弊害については今後のトピックスにて詳しくその実態を報じる予定です。

【添付:歩行者デッキ等の維持管理に関する協定書】

 

 

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