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(195)住友不動産が「地域防災」の妨げに?

投稿日:2023年9月11日

住友不動産こそが
地域防災対策の阻害要因だ!

そのように考える地権者が最近、当地区で増えて来ました!
今年は関東大震災の発生からちょうど100年の節目にあたり、メディア各社も将来の首都直下地震への注意喚起の報道を頻繁に行っています。
そのような状況下、当地では「防災対策」が一向に進まない現状に多くの地権者が不安を抱き、住民間で危機感が高まりつつあります。

なぜ防災対策が思うように進まないのか?
その理由の一つに「住友不動産の存在」があると言われています。
住友不動産は、表では「防災にも配慮した安心・安全な街づくり」などと唱えながらも、裏では「再開発こそが唯一の選択肢」だとして、建替え、改築、耐震補強と言った再開発以外の「防災対策」を実行させないよう巧みに地権者を誘導しようとしている。そのような見方をする地権者が増えて来ています。

本当にそうなのか?

本トピックスでは住友不動産の活動実態を、当地区特有の事情も織り交ぜながら検証してみます。

当地区は典型的な「老朽マンション」街

泉岳寺周辺地区では地権者総数約260名の内、その9割にあたる230名が、4棟の「老朽マンション」の区分所有者で占められています。
従い、当地区は地権者総数で見る限り、「典型的な老朽化マンション街」だと言っても過言ではありません。
(注1)

(注1) 因みに当地区の地権者総数は約260名ですが、住友不動産は「マンションは1棟全体で1人」としか見做さないため、住友側が行政へ提出した「準備組合結成届」を見ると「地権者数は32名」となっています。4棟で「230名」もいる区分所有者が、再開発の合意形成に於いては僅か「4名」としかカウントされないと言う、まさに「1票の格差」と言われる不平等な現実がそこにあります。都市再開発法には確かにそのような計算方式が存在します。しかし、これは再開発が決まって以降に適用される法律であり、まだ再開発など何も決まっていない平時の時点から都市再開発法の規定を準用しようとする業者側のやり方には違和感があります。

「防災対策は待ったなし」…しかし実行出来ない!

これら4棟のマンションは何れも築50年前後が経過し、老朽化も激しく、「建替え」、「改築」、「耐震補強」、等の防災対策が急務となっています。
しかし乍ら、「再開発こそが唯一の選択肢」だとして執拗に再開発への勧誘を続ける住友不動産の有形無形の企業行動が、いまや阻害要因として地権者の前に立ちはだかり、可及的速やかな防災対策が実施できないと言った不満と不安がマンション住民の間で広がりつつあります。

住友に翻弄される某マンションの例

当地区には「建替え推進決議」を行ったマンション(築53年、区分所有者46名)まで存在しますが、今も実行できないままとなっています。
既に図面は完成し、建替え業者も内定しており、あとは詳細条件を詰めた上で正式決定がなされる寸前でしたが、そこへ割って入って来たのが住友不動産です。彼らは当初から再開発メリットを訴え続け、都市計画決定を得るスケジュール案を示すので検討してほしいとマンション管理組合側へ申し入れました。
しかし再開発への勧誘から5年が経過した今も、彼らからは再開発の実現に関し具体的、且つ明確な説明はありません。
それどころか、

その間に住友不動産は館内の7戸を地上げしました。

彼らが「地上げ」すること自体は合法的な経済行為であり、そこに違法性はありません。しかし、建替え目前であったマンションに於いて、全46戸中7戸を地上げした住友不動産の行為を全国の皆さまはどう評価されますか?
もし皆さまの住むマンションが同じ目にあったらどうされますか?

これが住友不動産のやり方であり現実なのです!

区分所有法が建替えに際して「区分所有者及び議決権の5分の4以上による決議」を要件としていることを勘案すれば、住友不動産による地上げ行為は、「地権者VS事業協力者」という立ち位置で見た場合、利益相反の懸念があるケースだと考えられます。事業の公共性の観点からも、再開発事業者や事業の協力者としての立場においては、より高い倫理観が求められるべきではないでしょうか?
因みに、地上げした7物件は今も「空き家」のままとなっているようです。

従いまして、このマンションの問題は、

最終段階を迎えていた「建替えプロジェクト」が
住友不動産の「再開発ありきの姿勢」により
5年以上も手続きが止まったままとなっている

点にあります。
住友不動産は「建替え」が実現することを今後も認めたくはないでしょうから、このまま膠着状態が何年も続く懸念があります。
しかし当該マンションの老朽化は着実に進行して行きます。
その間に災害が発生すれば、人命にも関わる被害が生じるかも知れません。このマンションの「防災対策」は、もはや待ったなしの緊急課題であるにも関わらず、住友不動産の存在により実行できないのです。

なぜ住友不動産はそこまでやるのか?

そこには明確な理由があると考えられます。
再開発を進めたい住友不動産としては、再開発以外の「選択肢」が住民により民主的に決定されることを何としても阻止したいからなのでしょう。(注2)

(注2) 再開発事業者は営利目的で「再開発」を進めようとする業者ですから、地権者が「再開発以外の選択肢」を選ぶことを望みません。
例えば地域内の老朽化マンションが、自らの意思で高層マンションへの「建替え」を選択すれば、再開発計画自体が頓挫してしまう懸念がありますし、たとえ「改築」「耐震補強」であっても、それにより「災害に強い街」へ生まれ変わるとなれば、やはり再開発業者には逆風となります。

一方で、マンション管理は「住民による自治」が大原則です。例え表面上は「住民主体」に見えても、裏で外部組織がマンション住民の意思決定に影響を及ぼそうとするのだとしたら、それは「住民自治」の原則を根本から否定する問題行為だと言わざるを得ません。
例え間接的行為であれ、社会的影響力が大きい大手上場企業は、その自らの行動について高い倫理観が求められることは明白です。

まとめ

住友不動産こそが防災対策の阻害要因だ!

そのように考える地権者が当地区で増えてきたことを、住友不動産は重く受け止めるべきです。
マンション管理は「住民自治」が大原則です。再開発実現のためにその原則を曲げ、金と時間を使ってでもマンション住民の意思決定に影響を及ぼそうとしているのであれば、直ちにそのような行為はやめるべきです。当地区の主要マンションはどこも築50年前後と老朽化対策が急務だからです。

「再開発が真に住民の利益になる」と言うのなら、
住友不動産は地権者側の公開質問に率直に答え、
正々堂々と書面をもって具体的に説明を行う!

それこそが再開発事業者としての責務ではないでしょうか?
住友不動産は業界大手の不動産業者なのですから、いつまでも準備組合の陰に隠れ「先延ばし」を図ることで地権者を災害の危険にさらし続けるべきではありません。世間はしっかりとこの点を観察しています!

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