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(223)住友の「ぼろ儲け」に早くも反響が…

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本トピックスは(222)住友の「ぼろ儲け商法」に豊島区民が動いた!の続きです。
前トピックスでは、「南池袋二丁目C地区市街地再開発事業」において住友不動産側が民間業者として再開発事業に協力する立場にありながら、竣工後には総事業費(1,279億円)を上回る1,364~1,418億円もの「含み益」を得るとの試算結果が出たこと。そして、このことを問題視した豊島区の住民団体が豊島区議会へ陳情書を提出したことを報じました。
これに対し、多くの質問やコメントが寄せられましたので整理してお伝えします。

「ぼろ儲け」は許されるのか?

「ぼろ儲け」とは苦労せずに莫大な利益を得ることを言います。
資本主義の世の中ですから、営利目的で不動産事業を進める住友不動産が手早くいくら儲けようと基本的には彼らの自由です。
しかし再開発事業(第一種市街地再開発事業)の場合は少し事情が異なります。再開発は市民の税金も投入される公共性の極めて高い事業ですから、事業主体である地権者側は自らの土地資産まで差し出して事業を真摯に進めています。その傍らで、事業主体でもない住友不動産が計画当初から「事業協力者」と言う立場を巧みに利用しながら、最終的には総事業費1,279億円をはるかに上回る1,364~1,418億円もの「含み益」を稼ぎ出すとなれば「利益相反」も考えられる由々しき事態ではないでしょうか?
たとえ住友側が違法性はないと主張しても、「公益目的の事業」である以上、住友不動産が得る「莫大な利益」の妥当性については、広く「行政」や「議会」、更には「一般社会」をも巻き込み議論されて然るべきです。
再開発は多額の「補助金」(=税金)支出も絡む事業なだけに、この問題を避けて通るわけには行きません。

「利益の横取り」を問えないのか?

今回、そのような手厳しい意見も頂戴しましたので一応お伝えしておきます。その根拠は、再開発の事業主は再開発組合(=地権者)であり、地権者は事業リスクまで引き受けながら事業を進めている以上、利益が出れば当然それは組合側に帰属すべきであり、従い、住友不動産がこれを自己の利益として取り込む行為は当然認められるものではないとの意見です。
たしかに取引の全体像としてはそうかもしれませんが、私たちは南池袋二丁目の再開発事業において、実際に組合と住友不動産との間にどのような合意があったのか、契約内容等の詳細を知る立場にはないため、法的側面からの判断は難しい状況です。ただ社会に対してこの問題の是非を問うことは有益であり、実際に豊島区の地権者団体が区議会へ問題提起を行っています。再開発は多額の補助金支出も絡む問題であるだけに、今後、「行政」、「議会」、「社会」の各レベルで活発な議論が行われることを期待したいところです。

それでも「補助金」は支払われる?

今回の豊島区民による区議会への問題提起は、「補助金のあり方」についても一石を投じるもので、この問題は将来の再開発案件について論点となる可能性があります。では南池袋二丁目の場合はどうなるのか?
現場となった「南池袋二丁目C地区」の再開発事業では、行政から337億円もの補助金が支払われます。その補助金は私たちの税金です。

住友不動産と言う一民間企業の「ぼろ儲け」のために
337億円もの公金が「補助金」名目で事業に支払われる!

納税者の立場からすればどう考えてもおかしな話ですから、その意味で豊島区民の議会への問題提起はまさにタイムリーだったと言えます。
但し、南池袋二丁目の再開発事業に限って言えば、現場では既に工事が始まっていること、更には補助金の支出も開始されている現状を勘案すれば、今から補助金を差し止め、全額を回収することは現実的ではないかも知れません。

そもそも「開発利益」は誰のものか?

「開発利益」とは、主として再開発事業の容積率緩和に伴う土地価格の上昇分のことを言います。
南池袋二丁目の事例で言えば、住友不動産が得る「含み益」1,364億円(当サイト試算値)が「開発利益」に相当すると考えられます。
再開発は地権者が「主体」となり「事業リスク」まで引き受けながら進める事業ですから、開発利益が生じれば、当然それは地権者に帰属すべきものです。
しかし、住友不動産は参加組合員として保留床処分金を支払うことに乗じ、そこへ近隣相場から著しく乖離した激安保留床単価を適用することで、結果として再開発施設の床の大半を保留床として獲得し、開発利益を地権者には渡さず自社で独占してしまうことが地権者目線から見えてしまいました。住友不動産が行う再開発事業の根本的な問題は、まさにここにあると言っても過言ではないかも知れません。(詳細については(213)「保留床」激安総取りのしくみ(図解)をご参照ください。)

では、どうすれば「開発利益」を得られるのか?

さほど難しく考える必要はありません。
再開発施設の「総床面積」=「保留床」+「権利床」ですから、保留床面積が近隣相場に準じて適切に決まりさえすれば、後は引き算により権利床面積が自動的に決まる仕組みです。事業が順調に推移すれば地権者の還元率は100%を超える筈ですので、その超えた分が開発利益だと見做すことが可能です。
さて、ここで地権者が決して忘れてはならない重要な点があります。
それは、

業者の「ぼろ儲け」(=開発利益独占)の根源は、
彼らが設定する「激安保留床単価」にある!

と言う点です。このことをしっかりと頭の中に叩き込んだ上で、あとは近隣相場(注1)から大きく乖離した「激安保留床単価」を業者側(参加組合員)が採用することを地権者が一丸となって阻むことです。

(注1) 近隣相場を調べる方法にはいろいろあります。
タワマンの場合は近隣タワマンの分譲坪単価がそのまま参考となります。一方、オフィスビルの場合は一般分譲しないため、他の指標が必要となって来ます。オフィスの場合は不動産リートの売買データが参考になります。また月額賃料から4~5%と言った利回りで算出した坪単価を一般の流通価格(=近隣相場)と見做す方法もあります。
もし、業者が設定する保留床単価が上記の数字より著しく低い場合、その業者は開発利益の独占を企んでいるとみて間違いありませんので断固阻止する必要があります。

開発利益を得るためのロジックは至ってシンプルです。
再開発施設の「総床面積」=「保留床面積」+「権利床面積」です。
一方、「保留床面積」は「保留床処分金」÷「保留床単価」で決まります。
従い、保留床単価が安いと保留床面積は増える一方で権利床面積は減ってしまいます。逆に、保留床単価が高ければ保留床面積は減るので、その分、権利床面積は増えます。
この仕組みを理解していれば、業者が設定する「激安保留床単価」は、保留床を総取りする目的で権利床面積を極限まで少なく抑えようとする施策であることがわかります。(その結果が「地権者は等価交換して終わり」と言った冷遇となるのです。)
このことから、業者(参加組合員)側に相場に準じた適正保留床単価を認めさせれば、地権者(権利変換者)は自動的に開発利益を享受することが可能となります。言い換えれば、一旦、業者側の得る保留床面積さえ決まれば、残りの床はすべて権利床として地権者は負担無しで取得することが可能となります。そして取得した権利床は地権者間で従前評価(=土地建物の評価)の割合に応じて分配されることになります。これが再開発事業の本来あるべき姿です。業者側が保留床の独占を目的に展開する様々な理屈を安易に信じてはいけません。

まとめ

南池袋二丁目C地区の再開発で見えて来たこと。それは、住友不動産が長年「事業協力者」として地権者側に寄り添いながらも、最終段階では事業主体からは独立した「参加組合員」に姿を変え、「激安保留床単価」を適用することで床面積を独占し、最終的には1,364~1,418億円もの「含み益」を得るとの試算結果が明らかとなったことです。
今回の豊島区民による区議会へ向けた行動は、今までブラックボックスだった住友不動産の「ぼろ儲け」の実態を明らかにし、「議会」のみならず、「行政」や「社会」に対しても問題提起を行なおうとしている点で画期的であると言えます。

住友不動産は他地区でも同様の手口で再開発事業を進めている懸念がありますので、各地の地権者の皆さまはご注意ください!
特に再開発業者側が、傀儡化させた再開発組合や自社の息のかかったコンサル、不動産鑑定士等を使って正当化させようとする「激安保留床単価」は、地権者の犠牲のもとに業者が儲けるためのツールであるだけに、地元地権者は断固としてその適用を阻止すべきです。

毎度言い続けている言葉ですが、地権者の「無知」、「無関心」、「他人任せ」は「自己の土地資産」と「将来の生活設計」を失うことになり兼ねませんので、地権者の皆さまはくれぐれもご注意ください。

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