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(233)住友不動産とトランプ氏の共通点

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米国の不動産王と言われるドナルド・トランプ氏。第45代大統領まで務めた同氏は国民に対して「虚偽の説明」はもとより、「事実と異なる発言」「誤解を招く発言」何度も繰り返すことで広く知られており、米国の有力紙である「ワシントン・ポスト」は、4年間の大統領在任期間中に同氏が3万573回もの虚偽や誤解を招く主張を繰り返したと報じています。(Washingtonpost.com dated Jan 24, 2021)

一方、日本の不動産大手と言われる住友不動産。この会社もトランプ氏と同様、「事実と異なる説明」「誤解を招く言い回し」を地権者に対して長期にわたり何度も繰り返すことが地権者間で広く知られています。
その住友不動産は、最近では「虚偽の説明」まで平然と行うようになってきたので厄介です。(注)
まさに住友不動産はトランプ氏と共通の言動パターンだと言っても過言ではありません。

(注) 住友不動産による「虚偽の説明」に関しては(224)住友は遂に虚偽の説明までし始めた!をご覧ください。

それにしても名門「住友グループ」の一員である住友不動産の社員が、なぜ「不正確な情報」を地権者に対し何度も何度も繰り返し流布しようとするのか?

そこには理由がある筈です!

彼らは決して「感情」や「単なる思い付き」で不正確な情報発信を行っているわけではありません!そこには彼らなりの緻密な戦略がある筈であり、そのことを地権者も認識しておく必要があります。

「真理の錯誤効果」について知っておこう!

心理学の世界には「真理の錯誤効果」(illusory truth effect)と言う言葉があります。同じ言葉を何度も繰り返し発していれば、例えそれが事実でなくても人々は信じるようになることを言います。
そのポイントは、

同じ言葉を繰り返す!

と言う点にあります。トランプ氏のようなカリスマ性のある人物や、自社利益最優先の著名企業などが、無知な相手をマインドコントロールしようとする際に使う手法です。

2020年の米国大統領選を振り返れば、敗北したトランプ氏が現実を認めたくないあまり、「票が捨てられた」、「死者が投票した」などと言った根拠に乏しい主張を何度も繰り返し言い続けたことで大衆がこれを信じるようになり、それが後の米国議会議事堂襲撃事件の誘因となったとも言われています。
知識層であれば即座にこれらが「事実と異なる説明」「誤解を招く発言」であると判断できます。しかし一般大衆は必ずしもそうではありません。
トランプ氏はこの点に着目し、敢えて一般大衆に向け「真理の錯誤効果」を利用することで一定数の支持者を得ようとしたのだと考えられます。

一方、国内に目を転じると住友不動産も同じようなことを行っています。住友不動産の初期の目標は一定数の同意者を得ることにあります。
住友不動産はトランプ氏と同様、「無知」、「無関心」、「他人任せ」の地権者層が一定数存在する点に着目し、彼らに向けて「真理の錯誤効果」を利用し、再開発への同意を不当に得ようとしているのだと考えられます。

トランプ氏と住友不動産

両者は共に不動産事業で「財」と「名声」を得たと言う点でも共通しており、どうしても「似て非なるもの」とは言い切れない何かを感じざるを得ません。

地権者を洗脳する「魔法の言葉」にご注意!

「真理の錯誤効果」の典型例として、住友不動産の社員が地権者に対して長期間に亘り何度も繰り返し言い続ける常套句があります。
それは、

「権利床は従前評価に応じて決まります!」

と言うフレーズです。
これは地権者に「再開発の本質」を理解させようとしない極めて曖昧な説明であり、地権者を誤った方向へ導く言葉ですのでご注意ください。

「権利床は従前評価に応じて決まります!」
「権利床は従前評価に応じて決まります!」
「権利床は従前評価に応じて決まります!」
「権利床は従前評価に応じて決まります!」
「権利床は従前評価に応じて決まります!」

連日、この言葉を何度も何度も繰り返し住友不動産から聞かされ続けていれば、知識に疎い地権者であれば「それが真実だ」と信じてしまいがちです。
しかし、これは「地権者は等価交換して終わり」と言う意味であり、特段の事前取極めが無い限り、権利床に「地権者が享受すべき開発利益」は含まれないことにご注目ください!(注1)(注2)
このような言動は、

誤った考えを相手に植え付けかねない不誠実な言動

ですので、地権者の皆さまはくれぐれもご注意ください。

(注1) 再開発(第一種市街地再開発事業)は、地権者が自ら数百億円規模の莫大な額の「事業リスク」を引き受けながら進めて行く「街づくり」です。その地権者が再開発後に開発利益を享受することが出来ず「等価交換して終わり」だとしたら、まさにこれは「ハイリスク、ノーリターン」のビジネスであり、地権者にとりこれほど不平等な不動産取引はありません。
(注2) 再開発は地権者が事業リスクを負って進める事業であるにも関わらず、なんと「都市再開発法」には「開発利益」に関する規定がありません。
業者側は地権者に対して「法律に従って進めるので問題はありません」と言う言葉をよく口にします。しかし再開発を律する「都市再開発法」自体が曖昧な形で書かれていることから、再開発業者側が自らに都合の良い法令解釈を行いながら事業を進める実態があることを地権者は忘れてはなりません。住友不動産に関して言えば、彼らはこの実態を利用して地権者に対し「地権者は等価交換して終わり」との印象操作(マインドコントロール)を行う一方で、「開発利益」については言及せず、利益をすべて自社で取り込んでしまおうと企むのだと考えられます。

本来の正しい説明はこれ!

尚、参考までに再開発事業者が行うべき正しい説明は次の通りです。

【誤】 【再開発業者の、地権者に本質を理解させない曖昧な説明】

権利床は従前評価に応じて決まります
或いは
地権者は従前評価に応じた権利床を権利変換で取得します。

つまり、「地権者は等価交換して終わり」だと言う説明

【正】 【再開発業者が本来、地権者に対して行うべき正しい説明】

地権者は保留床を除いた残りを権利床として取得し、
地権者間で権利床を従前評価の割合で分配します。

ここで重要なことは、

権利床は従前評価ではなく、
保留床単価で決まる

と言う点です。
権利床面積は従前評価により最初から確定しているものではありません。
あくまでも保留床面積が確定した後に、残った床が権利床となるのであり、そのようにして得た権利床は「従前評価の割合に応じて各地権者へ分配される」と言うのが再開発の基本的な考え方です。
ここで注意すべきは、再開発業者(=参加組合員)が払う「保留床処分金」は定額ですから、その中でもし「保留床単価」が激安だと保留床面積は激増し、逆に地権者の得る権利床面積は激減してしまうと言う点です。
従い、地権者が損をしないために「保留床単価」は近隣相場に準じた額で決定される必要があります。残念ながら、住友不動産をはじめとする一部の再開発業者は平然と近隣相場の半値以下と言った激安保留床単価を提示してくるので地権者はご注意ください。
もしこれを受け入れてしまえば、地権者の権利床は極限まで減らされ、気が付けば業者が言い続ける、

「権利床は従前評価に応じて決まります」

が現実のものとなってしまいます。もちろん、そこに開発利益が含まれないことは言うまでもありません。
(詳しくは(213)「保留床」激安総取りのしくみ(図解)をご参照ください。)

まとめ

再開発業者の最終目的は、地権者の犠牲のもとで「保留床の独占」(即ち「開発利益の独占」)を目指す点にあることがわかって来ました。(注3)
その実態を覆い隠す目的もあってか、業者側は「真理の錯誤効果」を狙って「事実と異なる言質」を地権者に対し何度も繰り返すことで地権者をマインドコントロールしようと企てることもわかって来ました。

まさにトランプ氏と共通した手法

だと言えます。
再開発取引にはこのように地権者が気づき難い「落とし穴」も多いため、決して一人で悩まず、常に家族、友人、近隣住民などと話し合うことが大切であり、場合によっては専門家へ相談することもお勧めします。
後日「こんな筈ではなかった!」と後悔することだけは避けたいものです。

(注3)開発利益独占の事例としては「南池袋二丁目C地区再開発事業」が挙げられます。ここでは住友不動産側は1,270億円の総事業費に対し、1,364億円もの「含み益」を得る試算結果が明らかとなり、豊島区民が区議会へ陳情書を提出する事態へと発展しています。(詳しくは(222)住友の「ぼろ儲け商法」に豊島区民が動いた!をご参照ください。)

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