アンケート調査を名目に不誠実な同意の取り付けか…
泉岳寺における再開発計画は一方的で且つ不公正・不公平であるとして、現在も多くの地権者が「再開発への同意」に難色を示しています。このため事業者は正攻法でこれ以上の同意を地権者から集めることは容易ではなく、簡単には再開発(=都市計画決定)の手続きを進めることが難しくなっています。
このような状況下、「アンケート調査の実施」の名目で、新らたな「地権者同意」の取り付け活動が始まった可能性があります。それも不誠実な形で…
区域内にある某マンションでは先日、今後マンションをどうするかについての「アンケート調査票」が地権者へ配られました。
配ったのはこのマンションの管理組合であり準備組合ではありません。
しかしその内容が驚きです!先ずは添付アンケート調査票をご覧下さい。
アンケートでは以下4つの選択肢から選べとあります。
(カッコ内は添付された案内文に記載の費用)
2. 単独建替(1住戸平均約4,430万円の負担)
3. 再開発(1住戸平均 0円の負担)
4. 全員一斉売却(別途買換費用・引越費用が発生)
※誰が見ても明らかに住民を「再開発」へ誘導しようとする意図が見受けられます。(後述しますが、ここで安易に再開発を選択すれば大変な事になりかねません)
※またアンケートには選択肢が4つしか与えられておらず、地権者にとり大切な「5番目の選択肢」が含まれていません。
それは、JR新駅開業後の「地価の動向を見極めた上で個別売却する」と言う多くの住民が感心を寄せるであろう選択肢です。
この選択肢が含まれなければ公正・公平なアンケートとは言えません!
(住民を「再開発」へと誘導するためには、住民に感心の高いこの選択肢は邪魔だったのでしょう。それにしてもやり方があまりにも乱暴すぎます!)
※さて最も警戒すべきは、回答が記名式であるため、軽い気持ちで「再開発」を選択したならば、それがそのまま「再開発(=都市計画決定)への同意書」として扱われてしまう懸念があることです。
※「再開発」以外を選択したからと言っても安心はできません。準備組合側がその情報を入手すれば、何れ住友不動産側の人間が「ちょっとお話をさせて下さい」と家を訪問してくることでしょう。(再開発に同意するまで彼らは何度でも訪問してくるのでこれを嫌がる地権者は大勢います)
多くの地権者がまだ「再開発への同意」を行っていない現状下でこのような、公平・公正さに著しく欠けるアンケート調査票が配られたことは問題です。
さて、冒頭でも申し上げましたが、アンケート調査票を配ったのはこのマンションの管理組合であって準備組合ではありません。準備組合が関与している明確な証拠は今のところありません。
しかし、このマンションは以前から管理組合理事会が「再開発寄り」の運営を行うとして多くの住民が理事会との距離を置いており、昨年末に理事会が3度開催した「マンションの今後を検討する住民集会」でも、地権者による無言のボイコットなのか参加者が地権者全体の1割にも満たない状況も発生。
しかも3回目の住民集会には準備組合が招待される等、およそ公平・公正とは言えない運営が行われたと聞いています。
アンケート調査にはどのように対処すべきか?
基本的には当該マンション内の問題ですので、住民はアンケート調査票の発行者に対し公平・公正さの欠如を指摘した上で、「やり直し」又は「中止」を勧告するのが筋です。そうでなければアンケートには回答しないことです。(公平・公正さを省く以上、無回答も一つの立派な意思表示です!)
アンケート結果がなぜ「再開発への同意」とされかねないのか?
泉岳寺の場合、港区が「都市計画決定」を実行する権限を有していますが、これは行政行為であって、その実施に際して厳格な法的要件があるわけではありません。
何をもって「地権者同意」と見做すのかについても、厳格な規定はなく定義は曖昧です。
通常は書面による「都市計画決定の手続きへの同意書」への捺印をもって同意とされますが、泉岳寺では多くの地権者が事業者のやり方は公平・公正ではないとして、同意書への捺印を拒否しています。
このため事業者側はアンケート調査を実施することで、再開発を選択した地権者を「再開発への同意者」と勝手に見做し、全体の同意率を人為的に高めようと考えているのではと懸念しています。
(アンケート内容が地権者を「再開発」へと誘導するよう仕向けられた不公平・不公正なものであるため、これを行う可能性は高いと思われます)
今回のアンケート調査の主体はマンション管理組合ですが、ここの理事会は準備組合と密接な関係にあると多くの住民が認識していることから、注意が必要です。
さて皆さまがお住まいの地域での状況は如何でしょうか?
「地権者同意がなかなか集まらない」と言った場合、もし事業者が同じであれば彼らが使ってくる手法も同一だと考えられますので、今、泉岳寺で起きていることを是非とも参考として頂きたいと思います。