TOP_Topics 再開発、ここに注意

(31) 住友不動産の弱点

投稿日:2020年3月3日

有名企業ともなれば、一般的にメディアが発信する「負の情報」に対して極めて弱い体質があると言えます。これが企業としての「弱点」とまでは言えないにせよ、脆弱性があることは間違いありません。

住友不動産のような有名企業の場合、ひとたび問題や不祥事が起きればたちまちマスコミの注目の的となります。特に彼らのように一般消費者相手の取引をも行う企業にとり「企業イメージの低下」は致命的であり、何としてもこれを回避しなければなりません。
一旦問題や不祥事が社会へ報道されると、内容によっては同じ「住友」名を冠するグループ企業各社へも影響が波及しかねません。このため住友グループ内には「広報委員会」なる組織まで存在し、グループ各社が平時から社会との良好な関係を構築し、健全な企業活動を通じて住友ブランドのイメージアップを図ることが求められています。

住友不動産も、グループの一員として日頃から社会との良好な関係を構築し、且つ健全なる企業活動を実践しているのであれば、たとえ問題や不祥事が起きたとしても「企業イメージの低下」を最小限に抑えることが出来ます。
しかし、地権者を始め関係先との信頼関係が構築できていない場合にはこの限りではありません。

ひとたび悪いニュースが報道されると、いくら企業側が正当性を主張したとしても
「“大企業”対“地権者”」と言う構図の中で、世間は弱い立場の者に対して同情しがちで、また多くのマスコミもそのような視点で報道を行う傾向が見受けられます。
ましてや地権者相手に「不公正」、「不平等」な取引が展開されていたなどと報じられれば、再開発事業者は社会からの強い批判にさらされることになります。

これが住友不動産のような企業の持つ弱点と言えます。

再開発事業者はこのことを公には認めたがらないでしょうが、地権者側としてはこのような相手側の弱点をも知った上で、彼らと対等、且つ公平・公正な形で渡り合って行くことが肝要です。
地権者が主体となるべき再開発ですから遠慮する必要などありません。
少しでも不平等、不公正に扱われていることを感じたら、問題点を指摘し直ちに是正を求めて行くべきです。

あくまでも対等な立場での話し合いが大前提ですが、相手側が聞く耳を持たないのであれば「行政」へ訴えるべきです。それでも解決しないのなら「社会」へ訴えるべきです(その際にメディアは強力な助っ人になってくれる筈です)。
また地権者の有する権利が侵害されたと感じたのであれば「司法」へ訴える道もあります。実際にそこまで行うかは別としても、再開発事業者に対してはそのような厳しい目で接することがなによりも肝要です。
それを行ってこそ真に「地権者が主体と言える再開発」が実現できるのではないでしょうか?

-TOP_Topics, 再開発、ここに注意

関連記事

(72)同意者の水増し事例 (その2)

新手の「水増し手法」か? トピックス(69)同意者の水増しに注意 及び(70)同意者の水増し事例からの続きです。 今般、新たな「水増し」(に繋がりかねない)手法を具体例として確認しましたのでご紹介しま …

(177)「木を見せ森を見せない」業者の手口!

本トピックスは「カラクリと手口シリーズ」の第2弾です。 一般に再開発計画が立ち上がると、再開発事業者は先ず区域内の地権者たちを説明会場へ集め、「持ち出しなしで新築マンションに住める」などと言った地権者 …

(22)準備組合に不穏な動きが…

再開発計画の現状 「泉岳寺周辺地域市街地再開発」計画は”第1種再開発”に該当するため、地権者による合意形成が再開発の大前提となります。 (法令では地権者の2/3の同意取得が基本的な要件とされ、また港区 …

(138)「準備組合離れ」の具体的要因

本トピックスは(137)「準備組合離れ」はじまる?からの続きです。 「準備組合離れ」の背景には「皆さまの準備組合」とは名ばかりで、その実態は「住友不動産が牛耳る組織」であることが地権者の間で知れ渡って …

(51) 耐震補強工事始まる!

泉岳寺の再開発区域の中心部にある某マンションで「耐震補強工事」が始まりました。 紆余曲折を経てやっと始まったこの工事は再開発事業者にとって逆風となる可能性があります。以下に詳しく説明します。 耐震補強 …