不平等な「同意書」を正当化するための新たな手口?
本トピックスは(42)これが同意書の正体だ!(その1)からの続きです。
住友不動産(準備組合)が地権者に対して捺印するよう求めている「都市計画決定への同意書」の中身をよく読むと、それは事業者側に一方的に有利な内容となっており、まるで地権者の資産を無条件で事業者へ差し出す「白紙委任状」だと公言する地権者もいるほどであると前回お伝えしました。
残念ながら、住友不動産が地権者から取付けようとする「同意書」の中身は今も昔も変わってはいません。彼らには、地権者のことを考え「同意書」の中身を修正しようなどと言う発想はまったく無いように見受けられます。
一方で、以前とは異なり、彼らが同意書を地権者へ配り難くなっていることも事実です。同意書が地権者にとり著しく不利な内容であり、その実態は事業者へすべてを任せる「白紙委任状」に近いものであることが徐々に世間に知れ渡ってきたからです。
しかし住友不動産としては、なんとしても現行の「同意書」の内容を修正せずに地権者から捺印を取りつけたい。そう考えた結果、思いついたのが以下でご紹介する手法ではないかと推測します。
「不平等な同意書」を正当化しようとする仕掛け!
先ずは住友不動産(準備組合)が最近、ある地区で行った全体説明会で地権者へ配布した以下の「同意書」に関する説明資料をご覧下さい。
【住友不動産(準備組合)が配布した資料】
私たちが注目したのは、彼らが地権者に対して「同意集めを開始する」と宣言したにも関わらず、配布資料に掲載された「同意書」には、「同意書(例)」や「現時点での想定であり、確定したものではありません」などと明記されている点です。3年前に泉岳寺で同じ資料が配られた際には無かった表記です。
再開発の知識に乏しい地権者を相手に「持ち出し無しで新築マンションに住める」などと言った甘い言葉を投げかけ、巧みに「同意」を取ろうとすることで知られる住友不動産がなぜこれほどまでに地権者に配慮した謙虚な姿勢を示すのか?
「何かがある筈だ」と考えた結果、彼らの真意が見えて来ました!(あくまでも推測ですが)
これが手法か?
彼らが地権者へ配布したのは40ページ近くもある膨大な説明資料です。
その中の1ページの片隅に「例です」、「想定です」、「未確定です」といった表記があったとしても通常の場合、地権者はいちいち意見などしません。そこで「意見など出てこないだろう」と見越した住友不動産側が敢えて謙虚な姿勢を見せたのだと推測します。彼らの真意は数日間待った上で、地権者側から「意見」が出されなかったことを大義名分に、「皆さまからは異論がありませんでした。従い、例示した内容でご了解頂いたものとして決めさせて頂きました」として従来からの同意書の内容で一気に地権者から同意を取り始める。その様な算段だと推測します。
もし説明資料に「例です」、「想定です」、「未確定です」といった表記がなかったならば、後日地権者から「不平等な内容」について問われた場合、住友側は合理的な説明に窮する筈です。しかし、「例です」、「想定です」、「未確定です」と表記しておけば、後日地権者から詰め寄られても、「皆さまから異議がなかったからやむなく当方で決めた」、「今更文句を言われても困る」などと言って責任を地権者側へ転嫁でき、またそのことを根拠に説明の回避が可能となるからです。
この手法は通用するか?
もし地権者から何の異論も出なければこの手法は通用したかも知れません。
しかし残念ながら同地区では地元の地権者団体が説明会の開催直後に同意書に内在する問題点を指摘し、この同意書をそのまま使用することに対して異論を差し挟んでしまいました。
さて住友不動産側は今後、この問題にどのように対処して行くのか?
指摘を受けとめ「同意書」の内容を修正するのか? それとも指摘を無視して原案のまま強引に同意取得活動に入るのか?
この事例は住友不動産側が常に言う「地権者が主体の再開発事業」が問われる良い事例ですので、引続き皆さまと共に注視して参りたいと思います。
全国各地の住友再開発の地権者の皆さま!
各地の住友再開発の現場ではどこも似たような手法が使われると想定されますので、地権者の皆さまにおかれましては是非とも問題意識を持たれた上で、「同意書」へ捺印されるか否かをご判断頂きたいと思います。
将来「こんな筈ではなかった!」と後悔されないためにも、このことは重要です。