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(76)住友はやはり保留床を買わない?

投稿日:2021年4月12日

本トピックスは、(63)住友は本当に「保留床」を買うか? 及び(71)住友は本当に「保留床」を買うか?(その2)からの続きです。

やはり住友が保留床を買う確約など存在しなかった?

そう思わざるを得ない状況となりつつあります。

今までの経緯

1.泉岳寺「地権者の会」では住友不動産が保留床を買い取ること(即ち、地権者に対する金銭的負担が生じないこと)の書面による保証を以前から求めています。

2.これに対し、住友不動産(準備組合)は過去から「準備組合ニュース」や新聞報道等で「すべての保留床は住友不動産が買い取る予定なので心配は無い」などと主張はするものの、今もその具体的なエビデンスを地権者側へ開示していません。

3.しかし2021年3月に準備組合が地権者宛に郵送した書簡では、保留床の取得に関して具体的に踏み込んだ形で、「住友不動産(株)による書面での事業に対する確約を求める声もありますが、既に為されているのが実態です」と明記。更に、そのことは準備組合との間で締結済の「覚書」に書いてあるとして、その「覚書」の写しまで書簡に掲載してきたのです。

4 もし本当に住友不動産がすべての保留床を買い取ることが「覚書」に明記されており、それが客観的に確認されるのであれば一歩前進です。
しかし残念ながら書簡に掲載された覚書は文字が小さすぎて読めない!
そこで地元「地権者の会」では会報を通じて、再度「覚書」の全文を皆が確認出来る形での公開を住友側へ要求したのです。

これに住友不動産(準備組合)はどう反応したか?

2021年4月に入り、準備組合は地権者宛に郵送した新たな書簡内で「覚書」の公開に関わる回答をしてきました。
しかしその内容は、
「複写のお渡しは出来ないが事務局員立ち会いによる閲覧なら認める。しかしその場合も撮影はご遠慮下さい」と言うものでした。

なんということでしょう!
「覚書は見せますよ」とのポーズは示しつつも、様々な条件を付記することで、実質的に「見せたくはない」態度を鮮明にしたのです。
しかも文中には「理解を深めて貰うための参考資料となるので見せる」と言った、論点の重大性を軽視するかのような表記まであるのです。更に「保留床の買取り」と言う地権者にとっては事業リスクにも関わる大変重要な問題にも関わらず、書簡における回答文はわずか5行しかありませんでした。

読めない覚書なら見せるが、読める覚書は見せたくない、担当者立会いの下なら見せても良いが複写も撮影もダメ
そのような住友不動産側の姿勢では、どうやって客観的な検証ができると言うのでしょうか?
素人には見せるが専門家を入れての検証は行わせない
という姿勢では、「住友不動産側は何かを隠している」と思わざるを得ません。

準備組合が「皆さまのもの」ならば、
地権者側が検証できるよう堂々と開示すべきです!

再開発ビルの保留床買取りにも関わる重要な覚書ですので、
専門家を交えて「全文」を検証するのは当然のことです。
覚書には免責事項などの「縛り」があるため、専門家も交えて全文を検証して行く必要があるからです。ビジネスの世界では当たり前のことです。
それを行わせず、単に素人である一般地権者に「覚書」を事務局員立ち会いのもとで形式的に閲覧させ、それを以て「見せたことの既成事実化」を図ろうとでも言うのでしょうか?

住友不動産へ申し上げます。
あなた方のような不動産業界屈指の大手企業が、自らが深く関与する「準備組合」にこのような対応を行わせて公平・公正だと言えるのでしょうか?

地権者が主体の再開発だと言いながら
重要な情報は開示しようとしない

そのような姿勢で世間が納得するとお思いでしょうか?

あなた方が以前から「保留床は住友不動産が買い取るから問題はない」と言い続けているからこそ、私たちは「ならばその保証がほしい」と言っているのです。
あなた方は準備組合書簡において「確約を求める声もあるが、既に為されている」とまで断言し、そしてその証として「覚書」の写しまで掲載したのです。

企業としての責任を自覚して下さい!

そこまで地権者にコミットしながら、いまさらその証として掲載までした「覚書」を「判読不能のもの」は見せるが、「判読できるもの」は見せたくないとの姿勢は一体どう言う理屈から出てくるのでしょうか?
社会で通用するとお思いですか?
残念ながら現時点では住友不動産が買取る保証は存在しないと認識せざるを得ません。

こんな準備組合で大丈夫か?

そうなると準備組合は誤った情報を地権者へ流布したことになります。
なんと驚いたことにその準備組合が地権者たちに送りつけてきた書簡の表題が「皆様に正しく知って頂きたいこと」となっているのですから、もはや笑うに笑えません。更に書簡内には「正確な情報に基づき、正しくご判断いただくために」「事実を踏まえた実態をお伝えします」なる文言まであります。言うのはとても簡単です。
しかし「言うこと」と「やること」がまるで違っているのです!

あらためて住友不動産へ申し上げます。
この状況を放置したままで良いと思っておられるのでしょうか?
まさかすべて準備組合が勝手にやったことだとして幕引きを図るつもりではないでしょうね?
速やかに、住友不動産が保留床を間違いなく買い取ること(即ち、地権者に金銭的負担が生じないこと)が客観的に確認出来るエビデンスをお示し下さい。

再開発には当事者間の信頼関係が不可欠です!
信頼関係無くして住友再開発は進みません。

その点をご勘案の上、地権者が納得できる形での回答を行って頂きますよう、改めて当「心配する会」からもお願い申し上げます。

まとめ

第一種市街地再開発事業のもとでは、地権者は共同にて事業リスクを負うことになります。再開発を進めてはみたものの、「結果として損失が生じてしまった」場合、地権者がその責任を負うのです。(都市再開発法第39条)
再開発ビルを建てても、保留床の買い手が現れなかった場合には地権者が共同で損失の補てんを行うことになります。
それだけに、泉岳寺では「地権者の会」が住友不動産に対し保留床の買取り保証を求めて来ています。これに対し、住友側は「保証する必要はない。既に為されている」と明言し、その証拠として「覚書」の写しまで書簡へ掲載したのですから、あとは地権者が客観的に納得出来るエビデンスを示して頂く。
ただそれだけのことです。

住友不動産のような大企業が
地域の一般地権者に対して
「有言不実行」であってはなりません。

400年の企業グループの歴史に傷がつきます!
是非とも地権者へエビデンスの開示を早急にお願いします。

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