TOP_Topics 再開発、ここに注意

(4)80%の地権者が準備組合へ加入?

投稿日:

2018年3月、まだ初期の頃の話です。

地元地権者を集めた再開発説明会があり、100名ほどの地権者が出席しました。その席上、事業者側から「再開発を進めたい。詳しい条件は後日決めさせて貰うとして、先ずは都市計画提案への地権者の同意がほしい」との要請がありました。その際、「既に80%の地権者が準備組合に加盟している」との説明がなされたため、「もう殆どの地権者が再開発への同意を決めているのか。再開発の流れには逆らえないのか」と多くの出席者が感じたことと思います。

しかし、説明会の終盤に行われた質疑応答で地権者側から出てきたのは再開発への疑問を呈する質問ばかり。肌感覚では当日の出席者の圧倒的多数が事業者側の説明には納得をしていない様子でした。

どう考えても「既に80%が加入」なる説明とは大きなギャップを感じたため、後日事業者側に尋ねてみました。彼らの説明はこうでした。「区域内の地権者は260人いる。このうち区分所有のマンションが5棟あり230人を占めるが、マンションを全体として1人と計算すると合計32人の地権者がいることになり、この計算で行くと準備組合への加入率は80%程度となる」との説明でした。

世間一般の感覚とは異なる説明でしたが、彼らは80%が「加入した」と言ったが、再開発に「賛成した」とは言っていない。だから間違いではないのです。しかし私たち地権者側から見ると、このような算出方法には違和感があり、またこのような算出方法に関する事前説明もないまま「80%」と言う数字を持ち出されると、地権者が賛成の方向に誘導されてしまう懸念もあります。

このような説明のしかたは極めて巧みでありフェアではありません。

地権者としては注意が必要です。

-TOP_Topics, 再開発、ここに注意

関連記事

(5)地権者団体の設立

●再開発計画が立ち上がると、事業者側から計画区域内の地権者に対し様々な説明や提案が行われ、そしてほどなく「再開発を進めることに対しての皆さまのご了解を頂きたい」として同意書への捺印を求められるようにな …

(26)新手の「同意」取り付け工作? 

アンケート調査を名目に不誠実な同意の取り付けか… 泉岳寺における再開発計画は一方的で且つ不公正・不公平であるとして、現在も多くの地権者が「再開発への同意」に難色を示しています。このため事業 …

(10)謎の「モデル権利変換書」

「モデル権利変換書」は、地権者の大切な資産に関し、現在評価額(従前評価額)が、従後(再開発後)にどのように変換されるのかを示したもの。 資産評価額に係る書類であるだけにある意味、地権者が最も関心を示す …

(180)「開発利益」をめぐるカラクリと手口 

  本トピックスは「カラクリと手口シリーズ」の第5弾です。 「開発利益」をめぐっても様々な「落とし穴」が存在しますので要注意です。 開発利益とは? 「開発利益」とは、容積率の緩和に伴う従前土 …

(96)準備組合がサイト開設か? 

「泉岳寺の準備組合がウェブサイトの開設を検討中」 との情報が入ってきました。 泉岳寺では準備組合設立から既に5年が経過しています。 なぜ今ごろになりサイトを立ち上げるのか? その理由も詳細も私たちには …