本トピックスは(80)住友不動産への質問状、及び(85)地権者必見!4.30付質問状の中味、からの続きです。
地元「地権者の会」では再開発問題への打開策を見いだそうと、上記トピックスにて報じた書簡を含め、合計5通の主要書簡を住友不動産へ送付し、各種質問・要望・提案事項への回答を求めて来ました。
しかし、
住友不動産は
ほぼ全ての質問等について回答を拒否しました!
その理由はなんと、
自分たちは「事業協力者」であり「事業者」ではない。
従い、回答する立場にはない
と言う極めて杓子定規なものでした。
何と言うことでしょう!泉岳寺で再開発計画を実質的に主導するのは住友不動産であることは周知の事実です。また住友不動産は、彼らが言う「事業者」(=準備組合)の理事も兼務しているのです。更には、その組織へ常駐者まで出しているようにうかがわれます。
ここまで深く関与していながら、住友不動産は「事業協力者」だから何も答えられないと言うのです。不動産業界大手でもある同社の、「地権者の声を聞こうともしない」対応はとても残念です。
地権者側の質問や要望事項はどれも正論ばかりです。それにも係わらず、理由を付けて回答を拒む背景には、よほど住友不動産の社名を出しては答えたくない(=答えられない?)何らかの事情があると思わざるを得ません。
住友不動産しか答えられない質問ですら回答を拒否!
私たちの提起した質問には、例えば「土地から床への変換の問題」や「マンション区分所有者のいわゆる1票の格差問題」と言った、準備組合レベルでの回答には適さない、地権者の「財産権」や「人権」にも係わる重要な問題も含まれています。また「仲見世優遇住宅疑惑」のように、もはや自浄能力の欠如した準備組合に代わり、住友不動産が責任を持って説明すべき問題も含まれています。
住友不動産が本来回答すべきこれらの重要な問題に関しても、「自分たちは事業協力者にすぎない」との理由で一律に回答を拒否してきたのです。
本来、「住友不動産が自ら回答すべき質問」にも答えようとしないこの会社の姿勢は如何なものか?責任ある大企業の取るべき行動ではないことに私たちも大変驚いています。
再開発を進めるには地権者の理解と同意が不可欠なのに、なぜ住友不動産は地権者の質問や要望等に対して「門前払い」のような態度をとるのか?
やはり、自社の企業名を出しては答えることの出来ない何らかの特殊な事情でもあるか?或いは、自社の責任を回避すべく、全ての問題は「信用」も「実績」も「賠償責任能力」も有さぬ「準備組合」と言う名の任意団体へ責任転嫁してしまおうと考えているのか?
少なくとも地権者の目から見れば、今回の住友不動産の対応は「責任ある企業なのに責任を取ろうとしていない」と思わざるを得ない対応です。
地元「地権者の会」は、住友不動産との直接コミュニケーションに再開発問題の打開策を見いだそうと期待していただけに、今回の住友側のこの対応により、もはや再開発を協議する窓口が閉ざされてしまったとして、落胆の意を表する書簡を住友不動産へ送付したそうです。
そもそも住友が言う「事業協力者」とは何?
住友不動産は、自分たちは「事業協力者」なので「事業者」である準備組合と対話してほしいと言って来ました。なるほど、「事業協力者」だからと言う「断り文句」は、一般の地権者にはもっともらしく聞こえるかも知れません。
しかし、そのような理屈は今回、質問への回答を拒絶された地元「地権者の会」のメンバーには通用しません。
なぜなら再開発を実質的に牛耳るのは「事業者(準備組合)」ではなく、住友不動産であることは泉岳寺の地権者の間では周知の事実だからです。
また「地権者の会」のメンバーの多くは準備組合には加入していません。その彼らからすれば、誰が「事業者」で誰が「事業協力者」なのかは、一部の地権者が結成した「準備組合」と、「住友不動産」との間の私的な取極めに過ぎず、準備組合へ加入すらしていない一般地権者にとってはあずかり知るところではないからです。また「事業協力者」は法律や条令に基づく制度でもないため、部外者である一般地権者にはますますその実態がわかりません。
そのような状況にも係わらず、住友不動産は外部の地権者たちに対して、「事業協力者の立場なので答えられない」との論理を一方的に振りかざし、回答を拒否したのですから、「責任ある企業が責任を取ろうとしない」と思われても仕方がありません。住友不動産が地権者目線でものごとを考えていないことがここでも明らかとなった感があります。
それにしても、「自分たちは事業協力者だから回答する立場にない」と言う住友不動産の主張は、実にうまく考えられた「責任回避の逃げ口上」だと感心する地権者もいるほどです。
しかし、住友不動産ともあろう大企業が、契約にさほど詳しくはない一般の地権者を相手にこのような説明を行うべきではありません。
住友不動産は、「回答の拒絶」や「責任の回避」と言った自らの保身よりも、むしろ「地権者への質問や要望に丁寧な説明を行ってゆく」ことに注力されてみては如何でしょうか?行政監督官庁である港区も「地権者への丁寧な説明」を事業者側へ指導している筈です。
再開発は一方的な事業者側の論理で地権者を抑え込むものではないことを住友不動産は自覚すべきです。
地権者は準備組合と対話しなければならないのか?
実は地権者にそのような義務はありません。
むしろ、泉岳寺では「準備組合」が公平・公正、且つ透明性の面で多くの問題や疑念を抱えていることから、地権者の間では「準備組合離れ」の動きさえあるほどです。もちろん対話をするか否かは、地権者個々人の自由意思ですが、住友不動産からいくら「準備組合と話してほしい」と言われたところで、地権者側にそのような「義務」はないことは、行政監督官庁である港区も書面にて確認しています。(詳しくは(95)準備組合と対話する義務はない!をご覧下さい)
「事業者」も「事業協力者」も一業者にすぎない
泉岳寺では、日々、XX建設、YY建託、ZZコーポレーションと言った、それこそ無数の業者が不動産取引を求めて地権者のもとへやってきます。その地権者からみれば「準備組合」も「住友不動産」も、やってくる業者の一つに過ぎないとの位置付けです。業者が提案する不動産取引に関心があれば話を聞くし、関心がなければ断る。ただそれだけのことです。
残念ながら多くの地権者は、今まで「準備組合とだけは対話しなければならない」と信じ込まされていた節があります。 たしかに事業者側が、「街づくりのため」、「多数が準備組合に加入」、「行政も認知」などと吹聴すれば、地権者側が「再開発は既定路線」だと思い込んでしまっても不思議ではありません。
しかし現実は違います。地権者には再開発の是非に関して選択肢があり、再開発ありきで勧誘を続ける「準備組合」と対話をする義務などないのです。
準備組合との対話の義務はない!
そのことを港区役所は泉岳寺の住民たちに対して書面で確認をしました。
なぜ役所は「義務ではない」と認めたのか?
それは地権者には再開発の是非に関して選択肢があるからです。
準備組合との対話が義務では無い以上、もし彼らの勧誘が不要・不快だと判断すれば「もう来ないで!」と断ることが出来ますし、断るべきです。
まとめ
地元「地権者の会」では、再開発問題への打開策を見いだそうと、住友不動産へ合計5通もの主要書簡を送付しましたが、彼らは「事業者ではない」ことを理由に回答を拒絶して来ました。
地権者側がせっかく住友不動産との関係構築を試みようとしたのに、先方から「他の団体と話をしてくれ」などと門前払いされれば協議はそこで終わりです。
再開発を進めるには地権者の理解と同意が不可欠なだけに、住友不動産の今回のこのような対応は、「地権者が主体ではない再開発」であることを想起せざるを得ません。
準備組合設立から5年が経過しましたが、今も地権者との間で問題は山積しており、また同意も集まっていません。住友不動産の地権者に対する今回のこのような杓子定規な対応を見る限り、とても再開発計画が進展するとは思えない状況にあります。
既に5年が経過し、地権者の高齢化も進んでいます。今も問題が山積して、先の見えない再開発話に夢を託すよりは、「再開発には依存せず、今のままの生活で人生を終えたい」と考えるご高齢のシニア世代も増えつつあるようです。再開発事業に皆が賛同するような新たな提案が出てこない限り、
そろそろ再開発の是非について結論を出す時期が近づいているのではないでしょうか?
写)港区・開発指導課
2021年9月2日
住友不動産株式会社
用地開発事業本部
首都圏第三事業所長
■■ ■ 殿
泉岳寺周辺地区・地権者の会
代表 ■■ ■■
泉岳寺周辺地区市街地再開発計画
弊要望書・質問書等に対する貴社ご回答の件
拝啓、貴社益々ご清栄の段、大慶に存じます。
さて、今般、貴社より8/20付、並びに8/25付の両書簡を受領致しました。
これにて当方が貴社へ送付致しました主要5通の書簡(4/30付質問状、5/17付質問状、5/29付要望書、6/11付要望書、及び8/6付提案書)を通じて提起しました各種質問・要望・提案事項のほぼ全てに関し、貴社は「自分たちは事業協力者にすぎない」との従来の主張に固執され、貴社から直接当方へ回答されることを拒まれました。
貴社のそのようなご判断の結果、再開発を建設的に協議する窓口が閉ざされてしまったことを当方としては大変残念に思います。
貴社は「事業主体は準備組合である」と主張され、その準備組合と話合うよう言われますが、当該準備組合は地権者に対し公平・公正、且つ透明性の観点から問題や疑念が山積していることから、多数の地権者が準備組合を認知していないと言う現実をご認識下さい。貴社もご認識のことと存じますが、5名の地権者(=土地所有者)は準備組合とは完全に絶縁しております。また本年7月には16名の地権者が港区長へ準備組合を今後認知しないことを求める「嘆願書」を提出する等、準備組合を認知しない動きは今も地権者間で着実に広がりつつあります。
私たちが認知すらしない組織と、貴社がいくら話し合えと言われたところで、それは無理な話であることをご理解下さい。本年4月以降、私たちが貴社とのコミュニケーションを通じて再開発問題の解決の糸口を見いだそうと努力してきたのはまさにこのような状況を打開したいと考えたからに他ありません。
しかし、貴社は私たちが提起した質問や要望等への回答をほぼ全面的に拒絶されました。このことを大変残念に思います。
そもそも私たちの提起した質問には、例えば「土地から床への変換の問題」や「マンション区分所有者のいわゆる1票の格差問題」と言った財産権や人権にも係わるマクロ的な問題も含まれておりましたが、これらは当然のことながら一地域の準備組合が回答出来る内容ではありません。また「仲見世優遇住宅疑惑」に関しましても、もはや自浄能力の欠如した準備組合ではなく、貴社に説明責任を果たして頂くのは当然のことと考えておりました。貴社にしか回答出来ないこれらの重要な質問事項に関しても、貴社は「自分たちは事業協力者にすぎない」との立場に固執され、回答されることを拒否されました。残念でなりません。
そもそも、貴社は事あるごとに自分たちは「事業協力者」であり、実際の事業者は「準備組合」だと主張されますが、それは貴社側の組織内部での決め事であり、私たちの関知するところではありません。私たちの多くは準備組合には加入しておらず(名目上加入したこととされているマンション区分所有者の一部も含む)、その私たちから見れば、誰が「事業者」であろうと「事業協力者」であろうと、共に不動産取引を求めて日々私たちの元へやって来る数多くの不動産業者の一つに過ぎないとの位置付けです。また、仮に対話を行うとしても、どの業者とこれを行うかは私たちの自由裁量ですし、もしそこに同一の不動産取引を提案する先が複数あれば、「信用」、「実績」、「財務基盤」のしっかりした業者と対話したいと考えるのは世間一般の地権者として当然の行動だと思料します。
本年4月以来、私たちは再開発問題への解決の糸口を探ろうと貴社へ各種質問状・要望書・提案書を送付させて頂きましたが、これらのほぼ全てに関し、貴社からご回答を得ることができませんでした。残念でなりません。
一方、準備組合は私たち「地権者の会」が彼らとの対話に応じないことをたびたび揶揄しているようですが、私たちは準備組合を公平・公正、且つ透明性を持った話し合いができる組織として認知しておりません。従い、その様な団体との対話は今後も考えておりませんし、また準備組合と対話を行わなければならない義務も私たち地権者にはありません。港区もこの点は同意されておられます。
最後にもう一度申し上げますが、貴社が「回答をされない」とご判断されたことにより、もはや再開発を協議する窓口が閉ざされてしまったことを当方としては大変残念に思っております。
貴社が如何なる理屈を述べようと、私たち地権者は再開発事業の主体であり、再開発事業を行うか否かに関しての選択肢を有しております。
過去にも貴社へお伝えしております通り、私たちが提起した各種質問・要望・提案事項に対し、貴社から誠意あるご返答を頂き、その内容を私たち地権者が理解し納得しない限り、貴社が推進されようとする再開発事業へ私たちが「同意」を行うことはございませんので、この点をお含み置き願いたく存じます。
敬具