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(166)「石の上にも5年?」 地権者に見えてきた真実!

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「石の上にも3年」と言う言葉がありますが、3年どころか5年近くも住友不動産から再開発への勧誘を受け続けていれば、さすがに地権者たちの目にも住友再開発の背後にある様々な仕掛けが見えてきます。
地元「地権者の会」が発行した「会報」(新年号)は、5年の歳月を経て地権者を再開発へと誘導する住友再開発のメカニズム(=カラクリ)がほぼ解明できたと報じました。同時に、今後はそれらの一つ一つを具体的事例と共に検証して行き、わかりやすい言葉で地権者へ情報発信して行くと報じました。
当HPでは、今後「地権者の会」が発信する検証結果も踏まえながら、住友再開発の実態を更にわかりやすい形で皆さまへお伝えして行きます。

さて、以下は同会が新年号(会報第175号)にて報じた内容の抜粋です。住友不動産が全国各地で進める再開発事業の手法は、地域に関わらずどこも大同小異であることがわかっていますので、各地の地権者の皆さまにおかれましても、是非ともこれらを参考にして頂ければ幸いです。

準備組合が「事業者」で住友は「事業協力者」?

地元地権者たちは長年、住友不動産や準備組合からそのように聞かされ続け、またそう信じ込むよう誘導されて来ました。
しかし5年も経てば、さすがに当初は無知であった地権者の目も肥えて来ます。昨年、組合員からの質問を受けた準備組合は、自ら「事業主体」ではなかった事実を、彼らの機関誌である「準備組合ニュース」を通じて認めました。(注)

(注) 準備組合は、再開発事業の主体は「市街地再開発組合」(=本組合)であり、自分たちは「その前身」として再開発の検討を行っていると回答しました。しかし、都市再開発法で正式に法人として認められている「市街地再開発組合」と、法人格も持たず単なる任意団体にすぎない「準備組合」とでは雲泥の差があります。
医学部生が「医者の前身」だからと言って医療行為に従事することは許されません。未成年者が「大人の前身」だからと言って、酒を飲んだりタバコを吸ったりすることも許されません。今まで準備組合の行って来た行為もこれと類似だと考えています。
自らを「事業主体」だと名乗れば、無知な地権者は準備組合が正式な組織だと信じ込み、再開発へ同意しかねないからです。極めて不誠実な手法です。

準備組合が自ら「事業主体」でないことを認めた点は評価したいと思います。しかし、地権者たちは長年騙されていたことになります。
一方、住友不動産は今も自らを「事業協力者」だと称しています。しかし「事業協力者」に法的定義などありません!従い、住友の「事業協力者」としての役割や権利義務関係を具体的に知るには、準備組合が住友と締結した「事業協力に関する覚書」の条文を精査することが不可欠です。
しかし、準備組合はその「覚書」の詳細を開示しようとしません!
5年も経てば、当初は無知だった地権者にも住友再開発がこのような秘密主義で溢れている実態が見えて来ます。
各地の皆さまもご注意ください!

準備組合は「地権者が主体」の組織なのか?

地元地権者たちは長年、住友不動産や準備組合からそのように聞かされ続け、またそう信じ込むよう誘導されて来ました。
しかし5年も経てば、さすがに準備組合は住友不動産が主導する組織である実態が誰の目にも見えて来ます。
住友再開発の対象区域に組み入れられた地権者なら誰でも気づくと思いますが、「地権者が主体」だと言いながらも、地権者のもとへ再開発への同意を求めてやってくるのは決まって住友不動産の社員たちです。地元の人間ではありません。説明会においても議事進行から質疑応答までの一切を取り仕切るのはきまって住友不動産の社員とその関係先です。事業計画の策定や資金調達、設計、各種調査、等を取り仕切るのも住友不動産側の人間です。当地区では、金融機関から融資さえ受けられない準備組合に対し、住友不動産が数億円単位の資金の貸付まで行っていると言うのですから、もはや住友の準備組合への影響力は甚大です。
準備組合は「地権者主体」ではなく、住友不動産の「御用組合」だと考えるのが妥当です。
なぜそのことが問題視されるのか?
それは「地権者」と「住友不動産」とでは利害が根本から異なるからです。
本来「地権者が主体」である筈の準備組合が、営利目的で再開発を進める住友不動産により牛耳られているとなれば、地権者の利益が尊重されないであろうことは火を見るより明らかです。
もし地権者がそのような準備組合を信じれば、後日「こんな筈でなかった」と後悔する懸念が増しますので注意が必要です。

真実を語ろうとしない住友不動産

住友不動産は再開発全体を実質主導しながらも、すべての説明責任を任意団体に過ぎない準備組合へ転嫁しようとします。極めて不誠実です。
地元「地権者の会」では過去に住友不動産に対し複数の「公開質問状」を送付しました。
そこには住友不動産にしか回答できない質問が多数含まれていたにも関わらず、

住友不動産は質問状への回答を拒絶しました。

(詳しくは(97)住友不動産が回答を全面拒否!をご参照下さい)
真実を語れば誰も再開発に同意しなくなる。だから答えることができない。そこで準備組合に玉虫色の回答をさせることでなんとかその場を切り抜けようとする。 そのような住友不動産の手口がはっきりと見えてきました。

まとめ

5年間も住友不動産から再開発への勧誘を受け続けていれば、さすがに地権者たちの目にも住友再開発の背後にある様々な仕掛けが見えて来ます。よくもこのような巧妙な仕掛けを作ったものだと感心もしますが、地権者にとっては決して笑いごとではすまされません。

因みに、地元「地権者の会」は「再開発」そのものには反対していません。
この会が反対するのは「情報を公開しようとせず、地権者に著しく不利な形で再開発を一方的に進めようとする住友不動産」に対してです。
誰も「損をしてまで再開発を進めたい」とは思わないからです。

地権者からの公開質問に一切答えようとしない住友不動産の姿勢は問題です。やはりそこには地権者へは答えられない何かがあるのでしょう。

もし住友不動産が
「地権者の損にはならず、むしろ利益になる」
と言うのであれば、自ら地権者の公開質問に率直に答え、抽象的な形ではなく具体的にそれらを書面で提示すべきです。
それこそが再開発業者である住友不動産の役割であり責務ではないでしょうか?

住友不動産はいつまでも準備組合に「その場しのぎ」の曖昧な回答をさせるべきではありません。
地権者はこの点をしっかり見ています!
5年前に「無知であった地権者」は、もはや存在しないことを住友不動産は認識すべきです。

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