本トピックスは(217)住友の錬金術:1,300億円の事業で含み益が1,300億円?の関連記事です。
なんと街中が「かわら版」だらけ!
現場は東京都港区の「芝3丁目西地区」。
ここは都内の観光スポットである「東京タワー」や「増上寺」までわずか600mの距離に位置し、更に1km圏内にはオーストラリア、イタリア、ロシアと言った主要国の大使館も点在する、まさに「都心の一等地」に立地する住宅街です。
近所を散策していた区民の方から「気になる掲示物が住宅街の至る所に貼ってある!」との情報が当HPへ寄せられたため、さっそく現場を見に行ってきました。
するとどうでしょう?路地裏の至る所に再開発業者の「ぼろ儲け」を問題視する「かわら版25号」なる掲示物がラミネートされて掲示されています。
わずか200m四方の再開発計画区域内に貼られた掲示は、確認できただけでも10か所以上。これだけ至る所に貼られると再開発業者も地権者への勧誘がし難くなるであろうことは想像に難くありません。
掲示されたかわら版が「第25号」となっているところを見ると、現場ではかなり以前から住民たちが活発な運動を展開していることが伺えます。
それにしても掲示内容が気になります!
いったいどのような内容が書かれているのでしょうか?
気になる掲示物の内容は?
街中の至る所に貼られた「かわら版」。
その内容を読むと、
三菱が事業費1,500億円の再開発で
1,850億円もの「含み益」を得るのでは?
と書かれています。
一方で、
地権者側への利益配分はなく不公平
と言った主旨の記載もあります。
もし事実であれば、極めて不当な再開発計画と言うことになります。
「三菱」と書かれているのは三菱地所(三菱地所レジデンス)のようです。
三菱地所レジデンスと言えば、昨年発覚した「登記簿疑惑」に関して、品川区及び港区の合計17もの住民団体が同社社長へ質問状を送付したにも関わらず、何も語ろうとせずノーコメントを貫き通した不動産業者です。
(注1)
従い、今回も三菱側には「地権者へ語れない」何かがありそうな気がしてなりません。(単なる直感ですが…)
(203)えっ?この「土地登記簿」は何だ?
(204)この「土地登記簿」は何だ?(続編)
(205)登記簿疑惑で関連業者から「怪文書」が!
(210)登記簿疑惑:17団体が三菱社長へ質問状!
(219)登記簿疑惑に三菱社長は回答せず!
(220)登記簿疑惑に三菱社長は回答せず!(続編)
南池袋二丁目の住友再開発と極めて類似
● 南池袋二丁目の再開発事業では住友不動産側が
1,279億円の事業費に対し1,364億円以上の「含み益」
を得る試算結果が出たことから、豊島区民が区へ問題提起する事態となっています。
● 一方、芝三丁目に掲示された「かわら版」では、三菱側が
1,500億円の事業費に対し1,850億円もの「含み益」
を得るのでは?と記されています。
「かわら版」では、近隣のマンション分譲相場が1,000~1,300万円/坪であるにも関わらず、
三菱は約440万円/坪で保留床を買おうとしている
として、三菱側による「ぼろ儲け」のカラクリは
激安保留床単価
にあるのではと結論付けています。
しかし果たして本当にそうなのか?
この点については後日、「事業計画数字」を含む関係資料の分析を当方でも独自に行い、専門家のアドバイスも交えながら検証してみたいと思います。
まとめ
再開発は補助金(=税金)まで投入される公共性の極めて高い事業ですから、もし民間業者が再開発事業に乗じてこれほど「大儲け」する実態が事実として存在するのであれば、その妥当性をめぐり、地権者だけでなく社会全体で議論されるべきテーマではないでしょうか?
幸い、芝三丁目西地区では、再開発計画はまだ初期の段階にあります。既に工事が始まり、もはや後戻りのできない南池袋二丁目とは対照的に、これから準備組合が「都市計画決定」に向けて地権者の「合意形成」を目指す段階にありますので、「この地区でいったい何が起きているのか?」について三菱地所側の説明を聞くと同時に、再開発行政の監督官庁である港区の対応も含め、じっくりと時間をかけて再開発事業の妥当性を検証して行く所存です。
昨今、都内の複数の現場で、再開発業者が
激安保留床単価
と言う「打ち出の小槌」を用いて莫大な「含み益」を生み出す手口が表面化しています。その裏で犠牲を強いられるのは常に地権者たちです。
しかし本当にそうなのか?
全国の地権者の皆さまにとっても、今回の芝三丁目の再開発計画は良い参考事例になる筈です。就いては当HPで引き続き今後の進捗状況を公開して参りますので是非ともご注目頂きたいと思います。