
準備組合の約束は守られない!
遂にこの問題が国会でも審議される運びとなりました!
11月28日開催の国会審議で立憲民主党・阿部議員が準備組合問題を取り上げ、準備組合が地権者へ十分な情報を与えず、また自らが行った約束にも一切責任を負わぬ形で「同意」が集められ、同意した事実のみが「組合」へ引き継がれる実態を指摘し、法規制の必要性を訴えました。
これに対し、金子国土交通大臣は、法が適用されるのは「再開発組合」(以下「本組合」と言う)が設立されて以降であり、それ以前に設立される「準備組合」なる組織は任意団体にすぎないため法規制の対象外だと答弁しました。
国が「準備組合」の言動を規制できないことをはっきりと示した形です。
「規制できない」とは、即ち「準備組合は何を言っても責任追及されない」と言うことです。準備組合の実態が国会の場でも明らかにされました!
もはや準備組合を信じる理由は何もない!
「準備組合が単なる任意団体にすぎず法規制の対象にもなり得ない」となれば、もはや準備組合の言動を信じて再開発に同意し、彼らに土地資産を差し出すことは地権者にとっての大きなリスクとなります。
阿部議員は、例えば準備組合が「あなたの土地は1億円の評価」などとバラ色の話を持ち掛け、それを信じて地権者が「同意」を行ったとしても、「本組合」が設立されたとたんに準備組合の約束は一旦リセットされ、1億円とされた評価額も新たに設立された「組合」のもとでは大幅に減額されて行くケースがあることを指摘。地権者がその時点で気づいても、「時すでに遅し」であり、抗議したところで相手が任意団体にすぎない準備組合であるため、たとえ裁判に訴えたとしても勝訴することは困難。
結局、地権者は「泣き寝入り」せざるを得なくなるとして「準備組合」との関りを持つことの危険性を指摘しました。(注1)
(注1) 大手不動産業者がなぜ「準備組合」の名の下に地権者を(敢えて周りに証人となり得る人物がいない)「個人面談」へと誘い込み、そこで地権者に対し様々な約束(しかもその多くは口約束)を行うことで地権者から再開発への同意を巧みに引き出そうとするのか、その理由の一端が今回の国土交通大臣の答弁でおわかり頂けたかと思います。
つまり「準備組合」が行った地権者への「約束」は反故にされる一方で、「地権者が同意した事実」だけは確実に本組合へ引き継がれると言うのが準備組合の実態だと言えます。そしてこの役目を終えた準備組合は、本組合の設立と同時に「お払い箱」となります。
準備組合がいくら「あなたの土地評価は〇億円」、「当面積の床と交換できる」、「陽当たりの良い部屋を提供」などとバラ色の約束をしたところで、それは地権者から同意を得るための「絵に描いた餅」にすぎないことを地権者は認識する必要があります。
準備組合が地権者へ行った「約束」は
本組合へは引き継がれない。
その一方で「同意した事実」だけは
本組合へ引き継がれる!
阿部議員が指摘したこの矛盾は地権者にとりあまりにも不平等であり、地権者には「百害あって一利なし」だと断言しても過言ではありません。
今国会で「準備組合は単なる任意団体組織にすぎず、今後も法規制の対象とはなり得ない」ことが明らかとなった以上、少なくとも営利目的の再開発業者が「事務局業務」を一手に担うなど、業者の強い関与が認められる準備組合の場合には要注意だと言えるのではないでしょうか?
国土交通大臣への国会質問の詳細について
下記のURLで国会答弁の模様を視聴することが出来ます。
● 会議名:国土交通委員会
● 案件:国土交通行政の基本施策に関する件
● 質問者:立憲民主党・阿部祐美子議員
● インターネット中継URL:
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=56012&media_type=
(質疑者リストの中から阿部祐美子(立憲民主党)をクリックしてください。)

まとめ
当サイトが6年に亘り指摘し続けてきた「準備組合」の諸問題が、遂に国会の場でも審議される運びとなりました。
今回、金子国土交通大臣の答弁でわかったことは、「準備組合が約束を守らない」ことに対し、国は法規制の対象外であることを理由に関与しないとした点です。そうなると準備組合の言動は「野放し」ということになります。まさに地権者にとり
準備組合は信頼に値する組織ではない
ことが明らかとなった瞬間です。
今回の国会審議で阿部議員が指摘した諸問題のうち、
準備組合の約束は守られない!
この一点だけをとっても、地権者が準備組合に対し「再開発への同意」を行う合意的理由は無くなります。
国が守ってくれない以上、地権者の土地資産は自らの責任で守る必要があります。
この場面では、先人たちの残した「君主危うきに近寄らず」、「触らぬ神に祟りなし」と言った格言が参考になるかも知れません。
本組合は土地所有者及び借地権者のそれぞれの2/3以上の同意がない限り設立されません(都市再開発法第14条)。このことから地権者同士が多人数で団結して「準備組合の活動とは関りを持たない」と言う判断も自らの土地資産を守るための一つの立派な選択肢(=リスク回避策)となるのではないでしょうか?
何れにしても「こんな筈でなかった!」と後日後悔だけはしたくないものです!