港区民を主体とする公園移設反対運動が立ち上がりました。
泉岳寺の再開発区域内には港区が所有する「泉岳寺前児童遊園」と言う公園があります。この公園を民間業者が再開発と称して高層ビルを建設するために他所へ移転させてしまおうとする計画が明らかになったことから、区民の間で疑問の声があがり、移設反対署名運動にまで発展しています。
反対するには大きな理由があります。
「泉岳寺前児童遊園」は閑静な住宅街の中で3方向をマンションやビルに囲まれた場所に立地し、主要道路にも面していないことから、昔から子供たちにとり安心・安全な遊び場として利用されて来ています。
ここはまた、その安全で安心できる立地ゆえ、近隣の園庭を持たない数カ所の保育園の園児たちが毎日遊びにもやってきます。(注:現在、都心部では園庭の無い保育園が増えており、「泉岳寺前児童遊園」は子供たちを安心して遊ばせることが出来る数少ない公園として貴重な存在なのです)
事業者は移設先として泉岳寺の山門横一帯の土地を考えていることが彼らの計画図により判明しましたが、そこは交通量の多い都道に面しており、また泉岳寺を訪れる観光バスなども公園脇に出入りするため、子供がボールを追いかけて飛び出し交通事故に遭遇する可能性も否定できない危険なロケーションであると地元では考えられています。
寺の山門に隣接するため子供たちの放ったボールが屋根瓦に当たれば文化財が破壊されかねませんし、これを防ごうと山門横にフェンスを設置すれば今度は景観の破壊となります。移転先としては大変不適な場所なのです。他に再開発区域内で適当な場所があるわけでもありません。要するに現在の場所以外に安全な移転候補地などないのです。
その公園を民間業者が営利目的のために、子供たちの安全・安心を軽視して移設することは断じて許されるべきではないとして、「泉岳寺前児童遊園移設に反対する会」が組織され、港区民を中心に既に600名を超える反対署名が集まり、港区長へ移設を認めないよう陳情がなされました。
反対者の多くは再開発区域内に住む地権者ではなく、区域外に住む港区民です。彼らは「再開発」の是非を議論する以前に、純粋に子供の安心・安全を考えて公園移設に反対しています。
上述の通り「泉岳寺前児童遊園」は港区の所有、即ち港区民のものです。
その港区民が中心となり600名を超える人々が公園移設計画に意義を唱えたのですから、港区ももはやこの事態を放置するわけには行かない筈です。仮に区民の声を無視して移設を断行すれば本格的な反対運動へと発展しかねません。
泉岳寺の再開発問題は、公園の移設計画に端を発し、今や区域内の地権者だけでなく、区域外の住民へと広がりを見せるようになってきています。
幸い、再開発はまだ計画段階にとどまっており、地権者の同意も得られていません。まだ白紙に近い段階の今だからこそ、行政には是非とも区民の声を聞いていただき、公園(=児童遊園)を移設しない形での再開発を進めるよう事業者への行政指導を徹底願いたいものです。当ホームページでは引き続きこの問題を注視しながら、進捗状況を皆さまへお伝えして行きます。
(2019.8)