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(193)住友再開発の「種明かし」

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皆さま、手品はお好きですか?
たとえ有名マジシャンによる巧妙な手品でも、毎日見せられていれば、誰の目にも自然とそのカラクリやトリックが見えてしまうものです。
住友不動産から再開発話を5年に亘り聞かされ続けてきた泉岳寺の地権者たちはまさにこれと同様で、住友再開発の背後にある「カラクリ」や「手口」、更には「不都合な真実」までが見えてしまった感があります。
せっかく知り得た知見ですので、「再開発のことが良くわからない」と言う方々や「これから住友再開発が始まる」と言う地域の地権者の皆さまにも知って頂けるよう、主なポイントをわかりやすくまとめてみました。
(尚、より詳しい実態に関しては、当サイトのトップページにある「カラクリと手口」のメニューボタンにて検索願います)

これから「住友再開発」が始まる地域の皆さまへ

住友再開発の手法は、地権者が「再開発の知識に疎い」ことに乗じ、「準備組合」の名を語る住友不動産の社員たちが自ら地権者と個別に接触し、「聞こえの良い話」と「強引な勧誘」をセットで駆使しながら出来るだけ多くの「地権者同意」を早い段階でかき集め、一気に再開発に持ち込もうと画策する点にあります。
彼らは「準備組合」の名を語りながらも、地権者を安心させる目的なのか、要求もしないのに先方から住友不動産の名刺を差し出して来るのですぐに「住友」だとわかります。(当然、勧誘に来るのは住友の社員です。そこに準備組合の地元理事たちの姿はありません。)
彼らは熱心に再開発への説得を行うものの、地権者には知られたくない「不都合な真実」も数多くあると見え、疑問に思った地権者が住友不動産の社員へ「核心部分」を問いただしても、彼らは口頭で「問題はない」と言った類の返答を繰り返すばかりで、住友不動産としての書面による回答は決して行いません。これを不審に思い、更に住友社員を追及すると「自分たちは事業協力者にすぎないので、詳しいことは準備組合に聞いてほしい」と言って逃げます。実際に住友不動産へ公開質問状を送っても、彼らは書面による回答を拒絶してくる有様です。
わからないから住友不動産へ質問するのに彼らは答えようとしない!
これが各地で再開発を進める業界大手企業「住友不動産」の驚くべき対応なのです。準備組合の陰に隠れることで自らの責任を回避しようとする住友不動産の姿を見ていると情けないとさえ思えて来ます。
住友不動産は事業計画全体を主体的に取り仕切りながらも、彼らの逃げ口上は「自分たちは事業協力者にすぎない」なのです。
残念ながら、これが当地の地権者たちの目に映った住友不動産の実態です。

住友不動産は地権者と対話しようとしない!
こんな再開発があってよいのでしょうか?

住友再開発では地権者の意見は尊重されない!

再開発は、地権者の土地資産の処分に深く関係する事業ですから、当然、地権者たちには検討するための十分な時間が必要です。
しかしその実態はと言うと、当地区では5年前に形ばかりの再開発説明会が開催された後、地権者へ「考える時間」すら与えぬまま、説明会の直後から同意書集めが開始されました。今考えると、極めて不誠実なやり方です。地権者が「無知」なうちに、出来るだけ多くの同意書をかき集めてしまいたかったのでしょう。そこには「地権者が主体」であることへの配慮などありません。あるのは住友不動産が営利目的で再開発を一刻も早く実現させたいと言う思惑だけだったと言えます。
この様な状況ですから、皆さまの地元へ住友不動産が再開発目的でやってきた際にはくれぐれもご注意下さい。
大切なことは、再開発について自身で「理解」し「納得」しない限り、決して再開発への同意は行わないと言うことです。
相手が有名企業だからと言って安易に信用して同意するなど論外です。再開発は地権者の土地資産の処分に係る不動産取引であることを認識願います。更には、営利目的の「住友不動産」と地元「地権者」とは、随所で利益が相反する関係にある(注1)こともご認識下さい。

(注1):利益相反(りえきそうはん)とは、二者間の関係において、一方にとり利益となる行為が、同時に他方には不利益になることを言います。
住友不動産が実効支配する再開発計画のもとで、「住友」の利益が優先されれば「地権者」は不利益を被ることになるので注意が必要です。
利益相反となる事例は当HPでも随所に掲載していますのでご覧下さい。

「住友再開発」は住民主体の事業とは言えない!

再開発(第一種市街地再開発事業)は、地権者が自らの発意と合意に基づき協同で進めて行く街づくりです。従い、再開発計画が真に「住民主体」で進められるのであれば問題はありません。
しかし住友不動産の進める再開発の実態はこれとは大きく異なります。それは、地権者の犠牲のもとで住友不動産が自社利益の極大化を目指す地上げ事業ではないかと言う点です。少なくとも住友再開発話を5年も聞かされ続けた泉岳寺の地権者の目にはそのように映っています。
一言で言えば、費用と事業リスクは地権者に負担させ、その一方で、収益は住友不動産が独占すると言う構図です。
この構図を簡単に纏めれば以下の通りとなります。

住友不動産にとり「再開発」は笑いの止まらない事業

住友不動産にとり「再開発」とは、知識に疎い地権者に「土地を供出」させた上、「事業リスク」まで地権者に負わせ、行政からは開発利益の源泉となる「大幅な容積率の緩和」を受けることで高層の再開発ビルを建設し、更には「多額の補助金」まで貰える。そして最後は、彼らの収益源である再開発ビルの床(保留床)を、地権者の無知に乗じて「格安の床単価」で購入することで、知らぬ間に床の大半を「独占」してしまう!まさに

住友不動産にとり再開発は、「笑いの止まらない」事業

だと言っても過言ではありません。

その一方で地権者は悲惨です。
再開発は地権者が供出する土地があってこそ実現できる事業であるにもかかわらず、地権者は数百億円規模にも及ぶ膨大な事業リスクを背負わされたあげく、最後は等価相当の「床」しか貰えないのです。(注2)
更に土地所有者に至っては、「土地」が「床」と交換されることで損をする(注3)のですからたまったものではありません!
少々大袈裟な言い方かも知れませんが、

再開発が終われば、地権者は「お払い箱」

と言うのが当地区の地権者の目に映った「住友再開発の実態」です。
他地区の皆さまも是非ともお気を付け下さい!

(注2) 再開発に応じた結果が「等価相当の床」では割があいません。
住友の手法を以下に説明します。先ず、再開発のイメージ図(下記)をご覧下さい。再開発ビルの総床面積=「保留床」+「権利床」です。
ここで地権者が得る権利床は、住友不動産が確保する保留床の面積で決まります。その保留床の面積は、その時々の相場に基づき決定される「保留床単価」で決まると言うのが筋です。しかし、住友はこの事実を地権者には説明せず、「地権者は従前評価に応じた権利床を権利変換で取得します」などと、あたかも最初に権利床面積ありきの説明をします。つまり「地権者は等価交換して終わり」なる説明にすり替えるのです。
逆を言えば「開発利益はすべて住友不動産のもの」と言うことです。
地域の再開発のために土地を供出させられ、何百億円と言う事業リスクまで負わされた結果が「等価交換して終わり」では地権者は納得できません。10年、20年と待たされたあげくに等価交換して終わりならば、今すぐ市場価格で土地を売却し、好きな場所へ移転したほうがよほど簡単で楽です。これも住友再開発の「不都合な真実」ですので要注意です!

再開発のイメージ図

(注3)土地所有者にとり、「土地」が「床」へ変換されることほど不平等な取引はありません!土地は所有していれば30年後も50年後も土地としての資産価値は残ります。一方、「床」は減価償却資産です。たとえ権利変換のその「瞬間」は等価交換であったとしても、交換後、価値は年々目減りして行き、30年もたてば二束三文となってしまいます。もし皆さまが「1,000万円の土地を同額の高級車と交換してほしい」と頼まれたら応じますか?再開発における権利変換も基本的にはこれと同じ考えですので、土地所有者の方々はくれぐれもお気を付けください。

住友不動産は事業者としての責任を自覚すべき

住友不動産へ地権者が公開質問状を送っても、彼らは回答を拒絶して来ます。カラクリと手口を地権者に知られてしまった以上、答えるに答えられないのかも知れません。
しかし、もし地権者側の主張が正しくないと言うのであれば、住友不動産は地権者からの疑問や公開質問に率直に答え、抽象的な形ではなく具体的にそれらを書面にて提示することで説明責任を果たすべきです。
これこそが再開発事業者としての役割であり責務です。
皆さまもそう思いませんか?
しかし住友不動産はこれを実行しようとしません。それどころか、問題提起した人物が特定されれば、「ちょっとお話をさせてください」などと本人に近づき、個別に話し合うことで水面下で問題を処理しようとします。
地権者が単独で百戦錬磨のプロ集団と話し合えば、結果がどうなるかは言わずもがなです。たとえ地権者が納得しなかったとしても、住友不動産側は「説明は尽くした」、「一定の理解は得られた」などと一方的に宣言することで既成事実化をはかる懸念があるので要注意です。

「再開発は住民の利益になる」
と言うのであれば、
住友不動産は堂々と地権者に対して
書面をもって具体的に説明すべき

です。いつまでも任意団体にすぎない「準備組合」の陰に隠れ、水面下でいろいろと画策すべきではありません。
地権者には知られたくない住友不動産の「手の内」が露見してしまった以上、彼らは答えるに答えられないのかも知れません。また5年が経過し、「知識」と「知見」と「知恵」を身に付けてしまった地権者たちとは正論では議論したくはないのかも知れません。
しかしどのような事情があれ、

地権者との対話を拒絶し
公開質問状へも回答しようとしない
デベロッパーなど言語道断です!

住友不動産はいつまでも自己の論理に固執せず、少しは自らの持つ社会的責任を自覚して貰いたいものです。

まとめ

当地区の地権者は決して再開発そのものに反対しているわけではありません。しかし残念ながら、住友不動産のもとでは「地権者は尊重されない」ことがわかってしまいました。いかに巧妙な手品でも、何年も見せられ続ければ自然とその「カラクリ」や「トリック」が見えてしまうものです。
住友再開発への勧誘もこれとまったく同様です。
住友不動産の立場で考えればよくわかりますが、彼らも手品師と同様に、相手に「手の内」は知られたくはない筈です。
だからこそ住友不動産は、地権者が再開発に対する知識を身に付ける前に(=まだ「無知」であるうちに)出来るだけ多くの同意をかき集めることで、再開発(都市計画決定)へ持ち込む戦略なのだと推測します。
事実だとすれば、地権者を軽視したとんでもない手法です!
「これから住友再開発が始まる」地域の皆さまは特にこの点にご留意下さい!
再度言いますが、再開発は地権者の土地資産の処分に関係する不動産取引であるだけに、

自身で「理解」し「納得」しない限り、
決して再開発に同意すべきではありません。

このことは後日「こんな筈ではなかった」と後悔しないためにも重要ですので、この点も併せてご記憶ください!

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